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ラ・リーガ文庫

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ラ・リーガを含む欧州フットボールの魅力を日本に伝えてくれる先人の方々。彼らの想いや汗水の上に成り立つ書籍の数々。読んだ数だけラ・リーガを楽しむ魔眼を得られるような気がしてくる。
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記事一覧

各紙が絶賛!世界のフットボールを巡る旅「サッカーの敵」

世界最古の日刊新聞タイムズは「サッカー好きの必読書、サッカー嫌いの必読書」と評し、世界各紙誌から賞賛を浴びた1冊。22カ国を取材し書き上げられた本書、読み進めるとまるで自分が世界を旅している様な気分になってくる。著者の底知れぬフットボール愛と探究心には脱帽しかない。 著者のサイモン氏がスペイン・バルセロナに訪れる章。ある平日の朝、彼はカンプノウを眺めながら「スタジアムは都市そのものだ」とつぶやいた。フットボールをここまで俯瞰し観察して、伝えてくれる人は貴重だと思った。 内

クラシコのガイドブック「レアルとバルサ 怨念と確執のルーツ」

私はこの本をクラシコのガイドブックと呼んでいる。何故あの一戦は特別なのか。そこには確実に積み上げられた因果の文化がある。それを歴史的事実から関係を紐解くこの一冊には、我々が抱く不可思議な高揚感の解答が全て詰まっている。読了後にみる伝統の一戦「El Clásico」は、サッカーの枠を超えた文化闘争にみえてくる。 この一冊でクラシコとラ・リーガの虜になった。本書を読む前と後ではクラシコの見え方がまるで変わった。「ライバル」「ダービー」と呼ぶには言葉が足りなすぎる。そんな二つのク

数々の事象が軌跡となって見える「レアルとバルサ その背中あわせの歴史」

スペイン2大クラブの軌跡。選手を含む「時代の象徴」を軸に紐解く本書は、民族や政治、90年続く対立関係…それら語り尽くせぬクラシコの解像度を格段に高めてくれる。まさに指南書。点で捉えられていた数々の事象が軌跡となって見えてくる。マドリーとバルサ、その背中合わせの歴史と物語。 あとがきに下記の一文がある。この二つのクラブは敵対し時に憎み合う。ただ、片方が欠けては成り立たない。そんな気がした。 レアル・マドリードというライバルがいなかったら、バルセロナはどうだったか。バルサなし

汗を流した現地取材の賜物「スペインサッカーの神髄」

LaLigaの神髄は「育成力と競争力」。一見ありきたりで実像が曇るこの言葉も、現地取材に汗を流し育成に精通してきた小澤氏によって明快に証明されていく。そして、本書によって浮き上がってくる各クラブの”違い"は日本で「2強以外」と一掃されるクラブ達の底知れぬ魅力に気づかせてくれる。 クリック数が求められるメディアはシンプルな「強さ」のあるマドリー、バルセロナ、アトレティコ等を中心に取り上げざる得ない。一方で本書は丁寧にクラブの特徴や背景を紹介し、スペインのフットボールの根幹には

手に汗握る闘争と我々の距離を確実に縮めてくれる。 「エル・クラシコ」

歴史的な対立や怨念。その生々しく異様な熱気を頭では想像できても、遠く離れた日本で、肌身で理解することは難しい。しかし本書はそれを優れた情緒的文章によって「世界観」を見事に描き、伝統の一戦の輪郭を捉える事を可能にしてくれる。読むほどに膨れ上がるリアリティは手に汗握る闘争と我々との距離を確実に縮めてくれる。 まるで映像をみてるかのような華麗な文章は、クラシコは頭で理解するものではなく、その熱狂を味わう、感じるものだと教えてくれている気がした。 内容覇道のレアル・マドリー、美学

footballista元編集長の”視点”を覗ける「フットボリスタ主義」

footballista元編集長の”視点”を覗ける貴重な一冊。スペインに導かれ30歳から言語を学び仕事をやめ移住した彼の一切気取らず、自由に満ちた言葉の数々は、未知に飛び込もうとする全ての人に人生は旅である、そんな本質を教えてくれる。 何者にも迎合しない木村氏の言葉は、身軽でリズムを持っている。とにかく読んでいて楽しかった。そして読了後、不思議な程にスペインとサッカーが愛おしくなる。こんなにも魅惑に満ちたラ・リーガのある生活(人生)があるなんて。 内容雑誌編集長?サッカー