入院日記~プロローグ~

唐突だが、現在入院をしている。

とはいってもそれほど大袈裟なものではなく、ちょっとした手術と、その経過観察によるもので、明日には退院することになっている。
人生40年余り生きてきて初めての入院、いや、厳密に言えば初めてではないのだが、ほぼ初体験となったこの記録を、病院のベッドの上で何もすることがなくボーっと過ごすだけのいま、それならアカウントだけ作って何も記事を書いていないnoteに書いてしまおう、というわけである。

ちなみに念のため書いておくと、本当にただのなんでもない日記であって、感動を呼ぶ壮絶な闘病生活だとか、医療に関する役に立つ知識とか、そういうものは皆無なのでご容赦を。

「一度ちゃんと調べないとどうなっても知りませんよ」
最初のきっかけは、この脅し文句のような医者の一言だった。

いまの職場に勤め出してから、毎年きちんと定期的に健康診断を受けているのだが、昨年の9月に受けた健康診断でも、例年のごとく血圧が高かった。それも尋常じゃない高さだ。
一般的には最高血圧が130を超えると「高血圧」と言われるそうだが、それどころじゃない。

200、だ。

もっと細かく言えば、最高血圧/最低血圧が217/128とかいう、とんでもない超高血圧なのである。もともと血圧は高めではあったが、ここまで高くなったのは3年ほど前からであろうか。
とはいえ、血液検査はコレステロールや血糖値などなにも異常がなく、体型も175cmで62kgと至って標準的。食生活もそれほど乱れてると思わなかったし、なにより日々の生活に支障が出るような症状が全くないことから、とくに重くは受け止めていなかった。

もちろん、これまでにも「再検査を受けなさい」と毎年のように忠告されてはいたのだが、それに従わなかったのには、こちらにも言い分がある。
それこそ、健康診断を受け始めた最初の年、いまから8年程前であろうか、いまほどではないにしろ最高血圧が160を超えていたので、再検査を勧められた。そのときは素直に従って最寄りの病院に予約をして再検査を受けに行ったのである。

再検査って何をするんだろうか。MRIとか?もしかして、いろんな所から管とか入れられちゃったりするんだろうか。ドキドキしながら待っていると、ほどなくして名前が呼ばれる。
入室して、初老の医師に椅子に座るよう促される。なにをされるんだろう。「じゃあお腹出して」。なるほど、まずは聴診か。「ハイつぎ背中」。言われるままシャツをまくり上げる。しばしの沈黙。次はなんだ。こうなったらとことん調べてやるぞ。

「高血圧ね…うん、じゃあ、薬出しとくから、あとは食生活気をつけて」

…は?

いやいやいやいやそれだけかよ!それだったらわざわざ金払って貴重な時間まで使って来ねーわ!なんだよ!再検査受けろっつーから来てやったのに、聴診器でちょっと音聴いてそれで終いか!ふざけんな!

という言葉をぐっと喉の奥で押し潰して、黙って薬を受け取って帰ったあの日。
この日以来、再検査を促されても、は?どーせ薬出して終わりでしょ?なんて完全に捻くれてしまっていたため、まったく、一向に、これっぽっちも気が進まなかったのである。

ところが、今年の健康診断で問診をした先生は本気度が違った。「去年も受けるように言いましたよね」「なぜ受けないんだ」「本当にどうなっても知らないぞ」などなど、40歳を超えたオジサンがけっこう本気で怒られると、これはさすがにちょっと考えた方が良いな、と。
8年前の顛末を交えつつ、再検査って何するんですか?とおそるおそる聞いてみると、普通の健康診断では調べないところまで血液検査をしてくれることや、結果によっては原因を突き止めるまで繰り返し検査します、との答え。ここまで言われてしまっては、さすがにもう再検査を受けないわけにはいかない。

こうして、高血圧の治療は始まったのである。

入院日記~検査~」へ続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?