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さよならベイベー②

さっき見た夢には、働いてるバーのお客さんが出てきた。彼は悪い奴らに追われていて、裏稼業とかそっち系の、殺人を厭わない怖い人たち。私は何故か彼と別れ、出会ったことのない彼の友人と新宿の街を逃げ回っていた。夢の中の私は走っても人の五分の一くらいのスピードしか出ないのですぐに捕まって、殺されかけながら、やばい、仕事に間に合わないぞと思ったところで目が覚めた。まだ遅刻の時間じゃなかった。


あなたへの恋を失ってから、私は再び世界と恋に落ちた。夕方の月や、軽い雑談や、アナリティクスや、そういうものへのときめきが止まらない。
みずみずしく、鮮やかで、足取りも軽い。重力を感じずにうずくまれるし、白い希望の光がさす絶望の中を自由に泳ぎ回ることができる。音楽を聴くときの二人称はぼやけて、なんだか素敵なものの輪郭だけが残った。
もう誰にもわかってもらえなくていいから、存分に複雑な存在でいられるのだ。


あなたを忘れることさえもあなたのためじゃなくなるとき、私はとっても素晴らしいひとつの生命で、なんの自覚もなく狂想の中にいて、そして、喉が千切れるほどに寂しい。

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