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日々是好日・心理学ノート

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#知能

頭が悪くなる可能性があるという信念

暗黙の知能理論は,知能の可変性や可鍛性に関する人々の信念のことを指します。心理学者ドゥエックによると,知能が変化しうると考える増加的で成長的なマインドセットをもつ人もいれば,知能は固定的で変化しないと考える固定的なマインドセットをもつ人もいるとのことです。 固定か変化か増加的なマインドセットは,頭のよさが努力や戦略,社会的支援などによって変改するという信念を表します。このようなマインドセットをもつ人は,学習目標指向的で自分の能力を高めることを目標にしやすく,他者からの肯定的

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自己愛と学業成績の複雑な関係

最近は,就職活動にも大学のGPA(Grade Point Average)が重視されるのでしょうか。以前に比べて,進路や留学などGPAが用いられる場面が増えています。 それで学生たちが何をしているかというと,できるだけGPAを落とさないように難易度の低い科目を探して,たとえそれが自分の興味・関心とはそれほど関係のない科目であっても履修していく,という現象が生じるわけです。はっきりいって,大学の教育にとっては大問題が発生している可能性もあります。これを変えて行くには,GPAに

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認知機能と身体機能の密接な関係

高齢になると,身体面の健康と認知面の健康の両方を上手く維持することが大きな課題になります。この両側面は,日常生活にも不可欠な要素であり,高齢期の介護による社会的負担を軽減するためにも重要なポイントになります。 衰え年齢を重ねると認知面も非認知面も衰えていくのは致し方ありません。しかし,加齢が何を引き起こしてどのように問題が波及していくのかという点については,分かっていない部分も多そうです。 加齢によって生物としての生理機能の低下が生じ,そこからさまざまな能力の低下に波及し

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知能の高い人は生存率が高いのか

世界中で高齢化が進んでいます。もちろん,長生きすることが常に「よいこと」であるとは限りません。社会的な状況によって,また観点によって,長生きが「よいこと」であるかどうかは変わります。 長生きすることは,社会にとっては正直言って負担です。為政者の立場からすれば,高齢者が増えることはリスクです。しかし個人にとっては,もちろん健康も伴ってのことですが,長生きは目指すべき望ましい目標のひとつになりえます。 要因生存率の高さに影響する要因には何があるのでしょうか。大きくわけて,外在

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知能と創造性との関連

知能と創造性は,私たち人類の発明や発見にとって不可欠な要素です。知能については,100年以上前に知能検査が開発されて以降,基本的にその枠組みがずっと続いてきています。それに対して,創造性の測定は確定しているわけではありません。 拡散的思考創造性については,いろいろな観点があって,なかなか難しいものがあります。自分自身でどの程度創造的だと考えるかという測定方法もありますし,各種の創造性検査も開発されています。 その中で,歴史的にもいちばんよく研究されているのが,拡散的思考(

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ナルシストは自分が賢いと思うのか

知能という概念はいまから百年以上前につくられたもので,これまでに心理学のみならず社会の中でも大きな影響力を持ってきた概念のひとつです。実際に研究の中では,知能(知能検査によって測定された結果)の高さは,仕事の面でも学業成績の面でも,健康の面でも長寿の面でも,人生にとってよい結果をもたらす心理特性であるという地位を確立してきました。 自己認識された知能しかしまたその一方で,自分自身を知的だと認識する傾向,つまり自己評価された知能の高さも,現実の様々な結果に影響することが分かっ

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能力が不十分だと自覚するときナルシシストは

自己愛(ナルシシズム)には,誇大な側面と脆弱な側面があることが知られています。 ◎誇大な自己愛:自己評価が高く,特別な人間だと感じ,周囲にも特別扱いを期待する ◎脆弱な自己愛:自己評価の高さが崩れてしまうのではないか,他者から否定されるのではないかと気にする そして,誇大な自己愛の中にも複数のパターンがあることも知られています。とある研究で用いられているのが,次のような枠組みです。 ◎自己愛的賞賛:注目や賞賛を受けたいという欲求,自分を周囲に宣伝する傾向,自分の能力やス

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思春期の知能は50歳時点の健康を予測するのか

知能の高さは生死をも左右する,と言われたらどう思うでしょうか。 でも研究によると,実際に知能が高いことは死亡リスクを下げ,知能の低さは死亡リスクを高める方向に影響を与えるのです。しかも,何十年にもわたる長期の縦断的研究で,その関係は見られるのです。 ということは,そもそも知能指数は身体の健康にも関連するのでしょうか。寿命と関連するのですから,それはあり得るはずです。実際にはどうなのでしょうね。 社会経済的地位しかしそもそも,家庭の中で十分な資源を子どもにかけることができ

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自分の知的能力を過大評価するナルシスト

ナルシシズム(自己愛)は,自己中心的な感覚と社会的な利己主義,自分自身をほかの人よりも優越しており,特別な存在であり,特権的な意識をもつ人物だとして認識する傾向にも関連しています。 そしてナルシシズムはエージェント的な領域を重視することに関連するといわれています。これは,自分自身を拡張して,自己評価を高めようとする動機づけに関連します。 加えて,エージェント的な領域の代表的な特性が「知能」です。知的に優れているという感覚は,ほかの人よりも優れた人物であるという認識をもたら

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知能は創造的な活動にどれくらい関連するのか

知的な能力と創造性は,ともに私たちの活動にとっては不可欠な要素です。特に,何らかの形での創造性は,私たちを取り巻く世界をより良い方向へと導いていく可能性を秘めています。 ただもちろん,何をもって創造性と呼ぶのかについては,大きな問題があります。家族をびっくりさせるために新しい料理を作るというのも創造性ですし,偉大な研究業績をあげるというのも創造性です。身近な想像性もあれば,非常に大きな領域の創造性まであって,厳密に言えばそれらを価値づけるのは難しいことです。 創造性達成度

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知能と人生の成功との関連はどれくらいあるのか

知能という概念の価値は,「人生の多くの結果を予測できること」にあります。いや,もっと広い話についていえば,そもそも私たちの生活のなかのいろいろなことを予測できる心理学的な概念は,「価値のある概念」と考えられて,多くの心理学者が研究の対象とするのです。 それが「知能以外」となれば,「非認知能力」と呼ばれたりもします。 成功を予測人生の成功といえば,何があるでしょうか。たとえば,学歴はどうでしょう。日本で「学歴」というと「どの大学に進学するか」を指して言うことがあるのですが,

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性格の「Big One」

人間の性格(パーソナリティ)特性が,知能のようにひとつにまとまるのではないか,という議論は100年以上前からあります。 1915年,Webbは知能とパーソナリティの因子を探す試みの中で,一般因子(g)と同じような一般的なパーソナリティ因子を見つけました。そして,この因子は意志や意志から生じた行動の一貫性を表すと考えて「w」と名づけました。「will」の頭文字です。 21世紀それから約100年くらい経って,21世紀に入った頃に,パーソナリティの統合因子(General Fa

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知能全体で男女の差はないけれど

男女で知能に差があるのか,という問題は根強く研究されるテーマの一つのようです。実に100年以上,男女の違いが研究されていると言われています。 知能だけでなく心理学的な変数の多くの場合,男女で平均値の差を検討したとしてもそれほど大きな「差」が見られるわけではありません。平均値の差を標準偏差を基準に示した値を効果量といいます。 身長の効果量はだいたい「2」くらいの値になるのですが,心理学的な変数の多くの場合,男女の差は「2」どころか1を割り込んでくることも多く,「0.2」とい

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非認知能力は認知能力よりも本当に重要なのか

20世紀初頭にフランスで知能検査が開発されてから,知能検査の結果を使った研究は世界中で行われてきました。なかには多くのサンプルを対象とした長期縦断的な研究も行われており,知能検査の結果がよい人はよくない人に比べて,さまざまな面で社会的に恩恵を受けることが示されてきています。 たとえば学業成績,学歴,収入,健康,そして寿命などです。このように,実際に社会のなかで「望ましい」結果をもたらすような心理学的特性は,「役に立つ」そして「向上させるべき」特性として研究だけでなか卯社会的

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