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日々是好日・心理学ノート

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2023年7月の記事一覧

高齢期の性格と認知機能

「認知症を予防するにはこれ」というウェブサイトは,とてもたくさんヒットしてきます。YouTube動画もたくさんアップされていますし,本も多いですね。 高齢期の問題認知症は,今でも高齢期のひとつのとても大きな問題です。そもそも高齢になると認知機能は低下するものなのですが,個人差が大きいものでもあります。また生活習慣や日常生活の行動は,認知機能の維持や改善に大きくかかわってくるものです。しかし,認知症になるときはなってしまいますし,ならない人はなかなかならない,という現実もあり

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先行研究のギャップを埋めるリサーチ・クエスチョン

リサーチ・クエスチョンを考えるときに,「まずは先行研究を読んでいきましょう」と指導されることがあるのではないでしょうか。でも,先行研究を読んでいくと「あれもこれも,もうすべて手がつけられていて,何をしたらいいのかわからない」という感覚に陥るという話も,学生からはよく聞きます。 リサーチ・クエスチョン今回も,『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方: 論文刊行ゲームを超えて』から,リサーチ・クエスチョンの立て方について考えていきましょう。 ギャッ

仲間外れに関連する性格

古代ギリシャのアテネでは,非合法の独裁者である僭主の出現を防止するために,市民がそのおそれのある人物を投票によって国外追放にするという制度を運用していました。日本での,掟や慣習を破った人に対して制裁行為をする村八分のような制度です。 この陶片追放から,オストラシズム(ostracism)という英単語ができており,心理学でも「仲間外れ」の現象として研究されています。 オストラシズムは,他者から無視されたり排除されたりすることを指す言葉です。これを経験した人は,自分の帰属意識

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リサーチクエスチョンの4つのタイプ

以前,リサーチクエスチョンについて記事を書いたことがあります。こちらの記事です:『良いリサーチクエスチョンを立てるためには』。実はこの記事は私のnote記事のなかでも,一番読まれているもののひとつになっています。それだけ,多くの人が必要とする話題なのでしょうね。 オススメ本最近,リサーチ・クエスチョンについて,面白い本が刊行されました。『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方: 論文刊行ゲームを超えて』です。 よいリサーチクエスチョンを立てるこ

ギフテッドな子どもたちは自己効力感が高いのか

日本語で「ギフテッド」という言葉があります。英語だと,” intellectual giftedness”と,知的に優れたとか,知的な才能があるといった表現になるようです。 もともと「ギフテッド」は,「高い知能指数」を取るような子どもたちのことを指していました。これは狭い意味での「ギフテッド」です。現在では,知能検査で測定することができる認知能力だけを指す言葉ではなくなっており,内容は多様化しつつあるようです。この背景には,「才能とは何か」「望ましい能力とは何か」という考え

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ナルシストは自分が賢いと思うのか

知能という概念はいまから百年以上前につくられたもので,これまでに心理学のみならず社会の中でも大きな影響力を持ってきた概念のひとつです。実際に研究の中では,知能(知能検査によって測定された結果)の高さは,仕事の面でも学業成績の面でも,健康の面でも長寿の面でも,人生にとってよい結果をもたらす心理特性であるという地位を確立してきました。 自己認識された知能しかしまたその一方で,自分自身を知的だと認識する傾向,つまり自己評価された知能の高さも,現実の様々な結果に影響することが分かっ

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レジリエンスを高める方法はあるのか

レジリエンスという概念は,ネガティブな出来事に遭遇して一時的に落ち込んだとしても,そこから回復する現象,プロセス,また回復に影響する心理特性や環境要因も含む,非常に広汎な概念です。最近の研究では,レジリエンスを,個人の内部および社会生態学的な要因との間の複雑な相互作用によって生じるものとして考える傾向があります。 いずれにしても,レジリエンスは幸福やウェルビーイングをもたらす要因だと考えられています。そのことから,レジリエンスを高めようとする試みも,多くの研究で行われていま

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反対意見に抵抗しやすい人の性格

現状の政治体制に対して,肯定するか否定するかは,パーソナリティ特性が影響するということが研究で示されているそうです。個人はしばしば偏った情報処理を行い,自分の信念に反する情報にはあまり注目せず無視する傾向を伴います。すると,政治的な意見として個々人の信念が強くなり,分極化していくとも考えられます。 性格と政治的態度ビッグ・ファイブ・パーソナリティの中でも,政治的態度によく結び付くのが開放性(Openness) です。開放性の高さは,知的な刺激を求め,異質な議論の内容を受け入

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希望と気候変動に対する行動との関連

関東地方,いつの間にか梅雨が上がって一気に夏になってしまった印象があります。私が東京に引っ越してきた10年ちょっと前は,夏とはいえこんなに暑くなかったのにな……と思い返すのですが,人間の感覚や記憶というものはとても曖昧です。 それにしても,気候変動は人類が直面している深刻な問題のひとつです。毎年少しずつ変動してきているので,気づいたときには「もう手遅れ」という現象は世の中にも個人の生活の中にもさまざま生じるのですが,気候変動もそうですね。 希望気候変動の問題は,私たちに「

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思春期はリスクを好む

日本と海外の青年心理学の内容を比べてみると,ちょっと力点が置かれている部分が違うように感じることがあります。 日本の青年心理学では,どちらかというと「自己」に焦点が当たっているように感じるのですよね。青年期というのは「自分とは何か」を探す時期であって,その探究を通じて自分の人生に向かっていくときである,というところに力点が置かれている印象です。 一方で,海外の青年心理学でもそのような文脈はあるのですが,もっと「思春期や青年期というのは衝動的で活発で抑制が効かないものである

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ビデオゲームのいい面と悪い面

日本で任天堂からファミリーコンピューター(ファミコン)が発売されたのは1983年7月です。私が小学5年生の頃です。よく覚えているのは,小学5年生のときにファミコンを買って遊んでいた記憶があるからです。 友達を家に呼んだり,友達の家に遊びに行ったときも,ファミコンで遊んだ記憶があります。ソフトの貸し借りもよくしていました。 これからの人生のなかで時間があり余るほどあったら,ゲームに没頭してみるのも楽しい経験かもしれません(いつになるのでしょうか)。

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レジリエンスは性格なのかスキルなのか

さて今回は,レジリエンスとは何なのかということについて書かれたレビュー論文を見ていきましょう。 今から50年以上前の1971年,Wernerたちは,ハワイのカウアイ島の子どもたちを対象とした縦断的な調査の結果を報告しました。調査の対象者は1955年に生まれた子どもたちで,みな困難な状況下で出生していました。報告の中では,このような困難な状況の中で生まれ育った子どもたちであっても,約3分の1については,周囲から有能で自信にあふれており,自らを律することができる大人になったと評

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陰謀論を信じてしまうウサギの穴症候群

ちょっと変わった心理学用語(?)の紹介をしてみましょう。 心理学では「○○効果」とか「○○症候群」という言葉がたくさん出てくるのですが,これもそのうちのひとつです。今回紹介するのは,「ウサギの穴症候群」(rabbit hole syndrome)です。 ウサギの穴この比喩がどこから来ているかというと,ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」です。

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ナルシストの権力や地位への欲求

一般的に「ナルシスト」というと,鏡を見てうっとりしていたり,自分の身体を見せびらかすようなイメージを抱くかもしれません。確かにそういう一面はあるのですが,本質は「誇大で壮大な自分自身に対する意識」「自分は周りとは違うという特別な意識」「他の人々は自分のために動いてくれるはずという感覚」といったところにあります。もしかしたら,一般的なイメージと研究の中での定義は,少しズレてしまっているのかもしれません。 地位への欲求地位や権力を得たいという欲求は,自己愛(ナルシシズム)を理解

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