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日々是好日・心理学ノート

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2022年5月の記事一覧

戦闘のストレスをシミュレーションで測定する

戦争などの戦闘や戦闘に関連した活動に参加することで,精神的・身体的緊張や,プレッシャー,心理的苦痛を示すことを「戦闘ストレス」といいます。 実際のセント活動を経験すると,多くの兵士たちはその後に苦痛を訴えることが知られています。古くは,戦争神経症と呼ばれたり,シェルショックと呼ばれたり,ベトナム戦争以降はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と呼ばれるようになりました。呼び方は変わってきていますが,戦闘を経て多い名ストレスを経験する点は同じです。 自尊感情がストレスを軽減する

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バイオリンを弾くことと好きなこと

「昨日からバイオリンを始めたんだけどさ,ぜんぜん面白くないんだよね」 「どういうこと?」 「だって,思うように弾けないし,何なのあの楽器。もっと初心者にもとっつきやすい楽器にしてくれないとダメでしょう。だからバイオリンってダメなんだよ」 こんな会話を耳にしたらどう思うでしょうか。バイオリンというのはそういうもので,そういう難しいことをマスターした先に素晴らしい音楽が待っている。我慢して練習して,自由に曲を弾きこなすことができるようになったら,とても楽しいはずでしょう……なん

陰謀論に関連する性格をメタ分析でまとめると

何かの出来事が起きた時に,一般的に知られていることの背景に,なんらかの悪事を働く集団による陰謀が隠されていると信じることを,陰謀論と言います。 これまでにも,陰謀論を信じる傾向がどのようなパーソナリティ特性に関連するかという研究を紹介する記事を書いたことがあります。 陰謀論の功罪アメリカ合衆国の人びとのうち,約55%は少なくとも1つの陰謀論を信じているという報告があるそうです。もちろん,どの陰謀論を信じやすいかについては,内容のトピックによって大きく異なります。 ネット

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ブルシット・ジョブのパターン

今回は『ブルシット・ジョブの謎:クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』という本の紹介です。「ブルシット・ジョブ」という呼び方も気になるのではないでしょうか。いったいどのような「ジョブ(仕事)」のことなのでしょうか。 もと本この本にはもととなる本があります。それがこちら,『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』です。こちらの本もざっと読んだのですが,400ページ以上もある,とても読み応えのある本でした。 新書のほうは,このもととなる本の解説という位置づけです。

ネットワーク分析からわかる衝動性の中心的な部分

「あの人は衝動的に行動した」という表現がありますが,そもそも「衝動性」というのは,どのようなものなのでしょうか。 心理学では,衝動性とは「個人または他者に対する否定的な結果を考えることなく,さまざまな刺激に対して即座にかつ無計画に反応する傾向」のことを指します。この内容を見ていくと,いくつかの要素があることに気づきます。 ◎否定的な結果を考えない:よくない結果につながる可能性を気にしないことです ◎さまざまな刺激に対する:個人の外からの刺激も,内側からの刺激(欲求や不満,

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幸福な人はどんな行動をとりがちなのか

より幸福感を感じる人と,そうではない人とでは何が違うのでしょうか。幸福な人はどんな行動をとりがちなのでしょうか。 心理学者リュボミルスキー(Lyubomirsky)は,解釈理論と呼ばれる考え方を提唱しています。人びとは同じ状況を経験するのですが,より幸福な人はよりその状況を楽しむ傾向にあるというものです。 ということは,幸福感が高い人と低い人におなじ経験をさせると,幸福感が高い人のほうがよりポジティブな感情を抱くということになります。これは実験してみる価値がありそうです。

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いつ役に立つかわからないから維持することが大切

私たちは,将来の予測がとても苦手です。でも,「うまく予測ができている」と思い込むことによって,安心を得ているんじゃないかな,と思うことがあります。 後知恵バイアスその思い込みのひとつが,後知恵バイアスです。これは,何かが起きた時にあたかも最初からその結果を知っていたかのように思い込む認知的な特徴のことです。 この後知恵バイアスについては,これまでにも何度か記事にしたことがあります。たとえばこの記事は,私が東京に引っ越す直前に起きた出来事について書いたものです。 こういう

回答を偽るとよりダークになる

「就職活動のときに適性検査を受けても,みんな自分を偽って回答するのではないのですか」 こんな質問も,よくあるものです。「質問をすればみんな正直に答えてくれるものだ」とナイーブに考える心理学の研究者はいないと思うのですけれども……。 回答の歪み適性検査もそうなのですが,パーソナリティ特性の研究でも一般的に,自分のことを自分自身で回答する自己報告式の評定尺度法でさまざまな心理学的な特性が測定されます。たとえば,「私はまじめだ」という文章に対して「まったくそう思わない」「あまり

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世界中の縦断データを集めてみると年齢に伴う性格の変化は

「性格は完成するのか」問題は,いまでもパーソナリティ心理学のなかではホットな話題のひとつです。 パーソナリティのような心理変数の得点が安定するのか変化するのかという問題は,そんなに簡単なものではなく,どこに注目してどう変わるのかを理解する必要があります。以前もこのことについては,記事に書いたことがあります。 安定性を考えるときには,おおきく次の5つの観点があります。 ◎平均値の安定性:時間を経ても平均値が変わらない ◎順位の安定性:時間を経ても人々の間の順位が変わらない

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人のために噓をつくのは誰?

一時期,「Big Fiveパーソナリティモデルに代わるモデルになるのではないか」と期待されたパーソナリティのモデルがあります。それは,HEXACOモデルと呼ばれるものです。 このモデルは,ビッグ・ファイブ・パーソナリティに「H因子」が加わったかたちになっています。神経症傾向を「E」,外向性を「X」と置くことで,6つの次元がHEXACOと「6つ」を彷彿とさせる名前に収まっているという工夫もなされています。 ◎Honesty-Humility:正直さ・謙虚さ ◎Emotion

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遺伝率が上昇するのは社会が平等になった結果

こんなことを考えてみてはどうでしょうか。 ◎現在,小学6年生の自尊感情の遺伝率は約50%である ◎来年度から,全国一斉に小学校で「自尊感情向上プログラム」を実施することになった ◎このプログラムが実施されて10年間,十分に全国で子どもたちの自尊感情を高める実践が蓄積されていった。日本中,同じプログラムが浸透し,子どもたちの自尊感情向上が試みられていった。 ◎ふたたび小学6年生における自尊感情の遺伝率を,ふたごの研究で確かめた さて,このような状況の時,子どもたちの自尊感情

ガジェット好きは新しいものをもつと心が成長するのか

皆さんは新しいもの,とくに新しいデバイスやツールを手にすることが好きですか?私自身,若い頃は好きだったのですが,歳を重ねてくるとそこまで「ほしい」と強く思うこともなくなってきているような……それが「年をとる」ということなのでしょうか,それとも日々の生活でそこに意識を向けることができなくなっているのでしょうか……。 ガジェットへの関心製品のお披露目イベントといえば,昔からアップル社の様子が思い浮かぶかもしれません。アップル社は,各種の製品イベントの準備に4か月以上の時間を費や

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人種への偏見とパーソナリティとの関連

偏見の二重過程動機づけモデル,と呼ばれるモデルがあるそうです。 このモデルでは,偏見を伴う集団間の態度が,ふたつの異なる動機によってもたらされることが仮定されています。 ◎脅威によって誘発される権威主義・保守主義的動機:社会的な統制や安全を追求し,自律性や個人の自由に反対する態度 ◎競争誘発性の支配動機:他者に対する優位性,権力,優越性を追求し,平等主義や利他的な社会制度に反対する態度 そして,パーソナリティ特性は,直接的に偏見を伴う態度に影響するというよりも,こういっ

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SNSで問題を起こそうとする人の性格は

SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を使うときにおおきく2つの動機があるという指摘があります。 ◎反社会的な動機:ネットいじめや攻撃的な書き込みなど ◎向社会的な動機:他者を援助し慰めるような書き込みなど これらの動機には,どういった要因が関連してくるのでしょうか。 ダーク・トライアド自分に誇大な感覚を抱くナルシシズム(自己愛),他者を思い通りに捜査しようとするマキャベリアニズム,冷淡でスリルを求めるサイコパシーという,3つのパーソナリティのまとまりをダーク・ト

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