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日々是好日・心理学ノート

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2019年10月の記事一覧

2019年10月のまとめ

2019年10月も終わろうとしていますので,1ヵ月のまとめを書いておこうと思います。 よく読まれた記事今月投稿した記事の中で,もっともよく読まれた記事は「人でないものを人のように見る傾向が育つ背景は何か」です。擬人化傾向がどのような条件でよく発達するかについて調べた研究を紹介したものです。 次によく読まれた記事は,「自分を肯定するのは能力ですか」です。とあるところで耳にした「自己肯定力」ということばが気になって,考えてみたという内容の記事ですね。 その次によく読まれた記

パーソナリティの再現性

パーソナリティ特性は実生活に関連するのでしょうか。このnoteの記事でも,いろいろな実生活上の行動や結果にパーソナリティ特性が関連する論文を紹介してきました。 こういう問題を扱うときの難しさは, ◎結果が再現されるのか ◎関連の大きさはどれくらいなのか という点をちゃんと検討するところにあります。 パーソナリティと実生活のさまざまな問題との関連の大きさはやはりそれほど大きなものではないため,たまたまその関連が見られたわけではなく,繰り返し観察されるということを示すことに意

ムダ知識はムダではない

「覚えるのが苦手なのですよね」という人がいます。私自身も得意ではないのですよね。特に人の名前を覚えるのは苦手で……本当に申し訳ないなと思うことばかりです。 記憶というのは厄介なもので,覚えようと思っても忘れてしまい,忘れようと思ってもなかなか忘れることができません。自分で入力と出力をコントロールできないのが,もどかしいところです。 効率重視比較的うまく覚える方法としては,「覚えなければいけないことの周りの情報もいっしょに覚えるのがいい」と個人的には思っています。でも,「そ

きょうだいがいる人といない人の性格の違い

「結婚したら何人子どもが欲しいですか?」という質問は,芸能人の結婚記者会見では定番のものです。 城島リーダーの結婚会見でも,その定番の質問が出ていました。きっと,想定内の質問なので「どう答えるか」は事前に考えているのでしょうね。 話題になったこちらの記者会見でも,その質問はありました。「何人でもありがたい」というのが,共通した答え方になっています。 何人欲しい?実際に,結婚するカップルが子どもを何人ほしいと思っているかというと,「2人」がいちばん多くて「3人」がそれに続

なぜ泉にコインを投げ込んでしまうのか

名古屋で死んだワニの胃から会話が330枚以上出てきたというニュースがありました。 「どうしてコインが?」と不思議に思うかもしれませんが,人々が投げ込んだコインをワニがそれだけ飲み込んだということのようです。 コインを投げる観光地に行くと不思議な現象の一つが,なぜか人々は泉のような水がたまっている場所にコインを投げ入れてしまうということです。 投げ入れる瞬間を目撃したことはそれほどないように思うのですが,水の底にコインがたまっている様子はよく見かけます。 これは日本だけ

少子化と大学

2019年の日本は,とうとう1年間に生まれる子どもの人数が90万人を割り込む見込みになったそうです。 100万人を割り込んだのがほんの数年前の話でしたので,あっという間に90万人を下回ってしまったというのはちょっと衝撃的です。「とうとうこんな時代が来てしまったのか」という印象を受けるニュースでした。 大学業界子どもがどれだけ生まれるかというのは,私が働く大学業界にとっても深刻な問題です。 大学の定員は経営上の問題もあってそんなに簡単に増減させられるわけではありませんし,

非行とウソと性格

映画を見て感化される,ということはあるかもしれませんね。 自分が中学生の頃,とある映画がとても流行っていて,映画館から出てくると映画の登場人物に感化されて歩き方が変わると言われていました。 その映画というのは,ビー・バップ・ハイスクールです。たぶん,自分と同じ時代に中高生だった世代は覚えているはずです。 中学の様子自分の中学がそういう様子だったということは全くなく,むしろ自分よりもひと世代上がこういう様子がリアルな日常だった世代です。そういう集団はいましたよ。髪の毛を金

グリットなのかそうじゃないのか,それが問題

同じなのか違うのか,というのは概念を扱う心理学の領域では大きな問題になります。 普段の会話の中ではそんなに意識することもなく,言葉を使います。意味も厳密に決まっていませんし,深く理解する必要もありません。 なのに,何となく言葉を使うことができるというのは,本当に不思議なことではないかと思います。 今回紹介する論文は,ある概念と別の概念との間でよく似ているのではないか,もしかしたら一緒なのではないか?本当に違うの,それとも同じなの?という問題について検討しているものです。

どんな悪夢を見ますか?

こういう夢を見るのはこういう意味だ,という夢判断や夢分析は,私自身学生の頃に興味を持っていたことがあります。図書館で夢分析事典を借りてきて目を通したこともありました。 しかし,どんな夢を見るのかというのはとても個人的なことで,多くの人がふだんどんな夢を見ているのかについては,なかなかわからないことも多そうだなと思います。 皆さんが見た一番近い夢の内容は,どんなものだったでしょうか? ダークな夢や悪夢心理学では,夢の研究も行われています。そして,私の研究領域に近い範囲でも

人でないものを人のように見る傾向が育つ背景は何か

ペットや人間以外の動物についてもそうですし,動物以外のものであっても,それらをあたかも「人間のように」考えることはあります。 「うちのお掃除ロボットはおっちょこちょいで」とか 「いつも使っているパソコンの機嫌が悪い」とか 「今日の愛車は調子が良くて機嫌がいいみたい」とか。 このような擬人化は,人間が物事を考えるときのひとつの推論の方法です。擬人化は子どもっぽい思考のように思うかもしれませんが,人間以外への愛着を増したり,時には私たちの孤独感を抑制したり,良い面もあるようで

戦争にまつわる心理学用語の歴史

今回も,GoogleのNgram Viewerで遊んでみようと思います。これまでにも何度か書いていますので,過去の記事も是非ご覧ください。 今回は,戦争にも関連する心理学用語についてです。 使うときのコツさて,以前にも書いたと思うのですが,Ngram Viewerをうまく使うポイントは,単語を比較することじゃないかと思います。というのも,グラフの縦軸は出現頻度によって自動的に調整されます。ということは,ものすごく出現頻度が少ない単語でも,とても多いように見えてしまうことが

読みにくい名前の由来

自分自身の名前に対しては,昔からちょっと複雑な気持ちを抱いていました。 ◎小塩真司 という私の名前の漢字の羅列を見て,所見で本来の読み通りに読んでくれる人というのは,まずいません。 病院に行ってもたいてい,「こしおしんじさーん」とか「おじおまさしさーん」とかといったように,たいてい違う読みで呼ばれます。たとえ苗字は何とかかろうじて読むことができたとしても,下の名前の方はまず読んでもらえないという経験を子どものときから何度もしていました。 やっぱりそれは,あまり良い記憶

遺伝の影響が大きいので特定の遺伝子は見つかるはず

「身長は遺伝率が大きいですよね」 「前にもそういう話をしたよね」 「ええ,身長の遺伝率が大きいということは,それだけ身長に大きな影響を与える遺伝子が『ドン』と存在しているということですよね」 「どういうこと?」 「ですから,ある遺伝子を持っていたら一気に身長が高くなるような」 「いやいや,そういうわけではないよ」 「え?そうじゃないのですか?」 身長の分布身長や体重については,学校保健統計調査を確認すると良いでしょう。学校の健康診断で身長を測定しますが,その統計

違うのは当たり前,だけどそこに法則はあるのかという問題

自分に何人か子どもがいると,それぞれが違う性格をしていることが実感されます。 同じ親から生まれていても,同じように育児をしたつもりでいても,またそんなに違う対応をしたわけではないのに,子どもたちはそれぞれが違う個性を持つようになっていきます。