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愛しい人へ

昨日は浜田省吾のライブに行った。
前回行ったのは、もう七年にもなろうかという頃だから、ずいぶん久しい。

デビューから八十年代の初めの頃のものを中心にセットリストが組まれていたので、ぼくには馴染みのある曲ばかりで嬉しかった。
ライブではあまりやってなかったように思う曲もいくつかあって、とりわけこの曲が始まった時には不覚にも目が潤んだ。

高校も終わり頃、ぼくも受験勉強なるものをせねばならない渦中にあって、深夜まで机に向かう日々を過ごしていた。
そんな時にお供になってくれるのはラジオだった。視聴者はハガキで番組に投稿して読まれるのを楽しみにしていた時代の話だ。
よく聴いていたのは地元CBC(中部日本放送)
当時深夜にやっていた番組に「星空ワイド今夜もシャララ」というのがあった。
途中、番組内容を一新して地元の女子大生をパーソナリティに起用した。
当時は女子大生ブーム(変な言葉だが)で、まぁそれに乗っかったというわけだ。

日替わりで色々な方が番組を担当するのだけど、ぼくは木曜日担当の加藤寿美さんがとても好きだった。
少しウィスパーボイスで囁くように話す人だったが、深夜に聴くと耳が引き寄せられるように感じたものだ。
あの時代だから、もちろん顔など知らない。
でも今から思えば、ぼくは彼女の声に想いを寄せていたのかも知れない。
その木曜日は番組の終わりに必ず同じ曲をかけた。
それが、この「愛しい人へ」だった。

あの頃はあの頃なりに色々あって、しかも多感な時期でもあったので、深夜ひとり机に向かいラジオと共に過ごした時間は、いい意味でも思い出したくないような意味でも忘れえぬものだ。
昨日イントロを聴いた途端に、そういうものがどっと押し寄せてくるようで、込み上げるものがあったのだ。

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