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KCGT2021予選参加レポート

皆さんこんにちは、ATMです。
ようやくです。ようやくリンクスで実績が取れました。

先日行われた「KCGT予選2021 本戦出場決定戦」にて
最終DP63920、最終順位128位で、KCGT本戦の参加資格を獲得しました。
リンクスをプレイしていない方に、ざっくり解説すると、世界大会への出場権利を獲得できました。

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というわけで、今回は、そのKCGT予選のレポートと、その結果報告をまとめていきたいと思います。

記事の最終部分に有料部分を設けていますが、毎度のことながら投げ銭枠です。
そのため、本編は完全に無料でお読みいただけるので、目を通してくださると幸いです。

また、普段リンクスをプレイしない方でも最低限環境をイメージできるように、事前の環境予想などから入っていくため、少し長めになっています。
興味のない方は、中盤まで読み進めてもらっても構いません。

それでは参りましょう。

事前準備 前編(規制直後~5月末)

前回のKCが終わった後で、大規模な規制が行われ、相当数のデッキが破壊されました。

もちろん私も例外ではなく、目先のKCを意識して資産繰りを繰り返し、複数の環境デッキを保有していたことから、その影響をもろに受けてしまいました。

具体的には「セプスロ堕天使」「オノマト」といった過去のトップカットが破壊され、規制から2週間ほど使うデッキが「青眼」しかなくなってしまうという緊急事態に陥りました。(※)

(※)
仮にも前回のKCで最後まで心中したデッキを緊急事態呼ばわりするのもいかがなものか

KCGTこそが本番と考えていた身としてはこれはよくない、ということで、次のデッキを探す旅に出ます。
その結果、目を付けたのは「ハーピィ」でした。

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当時はKC直前ではなかったことからマッチ主体の大会が多かったこと、リミット発表とスキル改訂の時間的な乖離があり、対抗馬の「オノマト」表舞台に出られなかったことなど、複数のポジティブな要素が重なっていたとはいえ、「ハーピィ」はマッチ戦では対抗馬を見つけることができない強さを誇っていました。
正に女王的な立ち振る舞いだったといえるでしょう。(ハーピィレディだけに)

その戦績とチューニング性能に惹かれ、次回のKCの大本命は「ハーピィ」になるだろうと予想し、早い段階から練度上げに勤しんだプレイヤーは多かったはずです。

もちろん、私もその一人でした。
そして、マッチ戦における「ハーピィ」は、私の本来得意な「サイドプランで相性差を覆す、または押し付けて勝利を目指す」というゲームスタイルと非常にマッチしており、非常に楽しい1か月間を過ごすことができました。

実際に5月中盤に「オノマト」が解禁され、向かい風が吹き始めてからも「ハーピィ」を使って大会出場を続け、時折入賞していた程度には「ハーピィ」及びマッチ戦というゲームを好んでいました。

しかし、ここで「ハーピィ」というデッキの問題点をいくつか発見します。
それは以下のようなものです。

・マッチ戦の「ハーピィ」はあまりにも強いが、シングル戦では「ハーピィ」に問題なく勝利できるデッキが存在する
・そして、その事実は、マッチ戦の大会結果に覆い隠されているため、思ったよりも表面化しておらず、対策が研究されていない
・そのせいで、「ハーピィ」というデッキはミラーマッチの研究は進んでいるが、本来の強さから離れた構築になろうとしている。

この3つの事実に5月中盤に気づいた時点で、「ハーピィ」に「シングル戦で勝てる」デッキ、そして、それらを狩れるデッキのリストアップを始めます。
また、並行して「ハーピィ」というデッキ本来の強さを求めたブラッシュアップも行っていました。

前者の「ハーピィ」メタとして注目していたのは「オノマト」「月光」「炎王」、そして、「ハーピィ」メタへのメタとして候補に挙げたのは「トラミッド」でした。

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特に、事前研究で「トラミッド」は「ハーピィ」との相性補完に非常に優れたデッキであり、「ハーピィ」が勝てない対面には「トラミッド」を投げると非常に通りがいい、ということに気づいていました。

これは、同時期に参加していた国内リーグ「Duel Frontier」(以後DF)で作戦立案をしていたため、相性補完と通りの良さを意識したデッキ選定を行っていたから気づいた視点であったとも思います。

これらの事実から、「トラミッド」「オノマト」を持ちデッキに加え、それぞれの練度上げをしつつ、当日を目指すこととなりました。

5月末には遊星ストラク実装によって「ジャンク」という新たなアーキタイプが誕生するものの、そのパワーは幸か不幸か、控えめに見積もっても並かそれ以下。

「局所的ハリケーン」を搭載した展開デッキだったことから、「ハーピィ」目線では脅威になるかと思えたものの、肝心の後攻では、先攻の「深淵に潜むもの」を超えられないという悲しい事実が発覚。

そのため、「ジャンク」の増加タイミングが訪れたとしても、「ハーピィ・ハーピスト」を増やした「ハーピィ」で問題なく対処ができるという結論になりました。

こうして、環境候補のデッキが全て出揃い、あとは本番に備えるのみ、と思っていたところでしたが、思わぬところに伏兵が潜んでいました。

事前準備 後編②(リゾネーター実装と都落ち)

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「ジャンク」(調律)のオマケだと思われていたミニボックスで強化された「リゾネーター」がまさかのトップメタに躍り出ます。

スキル「デモンズ・レゾナンス」と「風来王 ワイルド・ワインド」による安定性と継続的なリソース獲得能力、「レッド・リゾネーター」によるゲインによって引き上げれれるキルライン。
何より、デッキの余剰スロットを好きなメタカードに置き換えられるという高いチューニング性能で、実装直後からすさまじい勢いでシェア率を伸ばします。

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この時期、「リゾネーター」の拡張性の標的に挙げられたのは、当時トップメタ筆頭だった「ハーピィ」でした。
「ハーピィ」を意識して構築されたリストは「局所的ハリケーン」「神の忠告」が最大枚数投入された猿構築であり、「ハーピィ」が得意としていたミッドレンジゲームに一切持ち込ませないという硬い意志を感じる仕上がりでした。

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特に、「ハーピィ」視点では先置きの「神の忠告」を一切超えることができず、先攻を取られたら「忠告」、後攻を取られたら「局所」という地獄のような負け筋が備わっており、構築を無理にゆがめたとしてもトータルでは勝利できないであろう、という結論に達しました。

その結果、大会では「ハーピィ」のシェア率は急激に減少、2週間前とは打って変わって、トーナメントに顔を出せない日々が続きます。

しかし、ここでトップメタ争いから脱落「できた」ことは「ハーピィ」側としては願ったりかなったりといった状況であったのは間違いありません。

というのも、「ハーピィ」というデッキはシングル戦で強い性質のデッキではないため、過剰なメタにあてられるのは好ましくなかったというのが一点目。

そして、こちらがより本質的な部分ですが、スキル「絆の力」を排する構築が正当化されるようになったことです。
ここが今回、非常に大きなポイントとなりました。

後者についてですが、これは前述の「ミラーマッチを見据えすぎてデッキが歪になっていっている」という問題点を克服するポイントになったからです。

少し解説を加えましょう。
「絆の力」は本来の「ハーピィ」デッキには不要なスキルでした。
デッキ本来のパワーを発揮するならば、メインデッキのスロットを捻出し、相性差を確実なものとする「ハーピィの狩場」の方がより重要な選択だったからです。

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しかし、これまでは、「絆の力」を要求していた環境デッキが2つ存在しました。

1つ目は基礎打点が3000である「青眼」、もうひとつは他ならない「ハーピィ」ミラーマッチです。
どちらも「絆の力」のバフで相手のボードを抜いて戦闘破壊によるアドバンテージを獲得することが求められる対面でした。

特に「ハーピィ」というデッキは、前環境で生まれたデッキであり、打点による環境定義にさらされ続けていたデッキだったため、「絆の力」を外すという選択肢が挙がりにくいりにくいデッキだったのではないかと考えています。

新環境になってもミラーマッチが増加したことで「絆の力」の必要性は増加を続けており、デッキ本来の強みを出すためには「狩場」を優先したいが、そうはできない、というジレンマに陥っており、そうした状況が、「炎王」のようなメタデッキに付け入る隙を与えていました。

しかしながら、「リゾネーター」の増加により、急遽、トップメタの立場から都落ちしたため、ミラーマッチを割り切り、スキルを「ハーピィの狩場」にすることが可能となりました。
このおかげで、KC中、「ハーピィ」というデッキは、罠ビを殺すにあたって最高峰のデッキとして仕上がり、「刺客」としてのポジションを獲得することに成功しました。

話を「リゾネーター」側に戻しましょう。
「ハーピィ」を王座から蹴落としたことで、「リゾネーター」側も変化を求められるようになりました。
入れ替わりでメタの槍玉に挙げられてしまったため、チャレンジャー側でなく、王者のポジションで迎撃する側に回る羽目になったのです。

その結果、構築は「局所」「忠告」を採用した猿構築から、「狡猾」「サイクロン」を主体とした、非常に丸い「人間様が扱う」構築へと変化していきました。
この傾向はKCGT本番の1週間前の海外大会、「MCS」の結果でも顕著に表れており、ベスト16に残った「リゾネーター」5人の内、「忠告」入りは1人のみでした。

また、同大会の結果から
・「炎王」は「リゾネーター」メタとしての役割を持てていない
・「罠不知火」の異常な抜け率の高さから、マークの必要性がある
・「サンダードラゴン」は候補に入れる価値がある

これらの情報を吸い出し、あとは、毎度恒例、KC前の重要イベント「kinghalo氏」(@kinghalo_dl
)主催の「PKC」に参加し、参加報酬である「PKCレポート」の情報から最終調整を進めます。
(PKCの最高戦績は3部の5位、賞金獲得ならず、無念)


「PKCレポート」は、個人では収集できない量と質のデータをわかりやすくまとめて提供してくれるため、個人勢に近くて、勝ちたいプレイヤーほど入手することをおススメしたい商品です。
余裕があるならばPKCの参加をしつつ、レポートと見比べるのが良いでしょう。

毎度宣伝してるから、そろそろ、何か見返りあったりしねーかな
(心の一句)

これらの情報から、「狩場ハーピィ」「狩場トラミッド」「オノマト」「狡猾リゾネーター」を使用デッキにすることを決定しました。

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PKC3部で5位に入賞した際に使用していた狩場ハーピィ
通称(自称)エクス狩場ー


また、本番前日に同チームの「限界東雲かんざわ」さんから「サンダードラゴン」のリスト提供があったため、デッキ作成に必要なパーツ(太陽電池メン)を集めつつ、他のデッキの調整は大体終わっていたため、手薄だった「リゾネーター」「サンドラ」を交互に回しながら本番を迎えることとなりました。

当日レポ 初日

KCの走り始めは「局所」で猿に限る、というチームメンバーからのありがたいお言葉を受け、「局所」型の「リゾネーター」で走り始めます。
足りない除去は弩弓で補え✊

回し慣れててなかったデッキこそ、序盤に使って感覚をアジャストすべし、という理念もあったため、「リゾネーター」で先陣を切ったものの、感触は可もなく不可もなくといったところ。

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「局所」をぶち当てるとテンションが上がるため、健康にはよかったものの、特に有利と感じる対面を踏むわけでもなかったため、デッキ選択に意味を感じなかったことからデッキを握り慣れた「狩場ハーピィ」に変更。

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そのまま、「狩場ハーピィ」を使い続け、20時頃に2万に突入。
23時の時点で100試合、DP23410、勝率は60%ぴったり。
ここからいけるか…と思い始めた矢先にサイバーの群れに襲われ、ポイントが激減。
ひとしきり、キレた後、走り始めます。

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この間、わずか3分である


その後も奮戦は続き…

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ひとしきり、感情に任せてダンスを踊った後、3万に乗せて1日目終了。

当日レポ2日目 ジャスティス

サイバードリーム、夜が明けても潰えず。
昼過ぎに目覚めて走り出してもその勢いは止まらず、43試合で+2万ポイントを稼ぎ出し、18時ごろにはポイントが5万に到達。
この時に使っていたリストは以下。

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あまりにも波に乗りすぎて、ランキングも22位まで急上昇。
その流れで、参加したチーム「妖」の通話にて、「俺もサイバードリームに乗っかろうかな~」といった会話がなされた際に「サイバーはドリームではない、ジャスティスだ!」みたいなことを言ったような記憶があったりなかったり。

とはいえ、この時点で、サイバーがただの運だけデッキにとどまらないパワーを秘めていることは確信できていたため、前記事のオマケ部分にて記載した「確率のゲーム論」に適正に則ったデッキであると感じていたのも事実です。

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しかし、ここで、想定していなかった問題が起きてしまいました。
あまりにも短期間に身の丈に合わないポイントの稼ぎ方をしてしまったため、1桁ランカーとの遭遇率が異常に上がってしまったのです。

実際に2位→2位→7位→3位といったプレイヤーと連続マッチングし、自分が今後どういった指針で走るべきかに悩まされます。

というのも、「サイバードラゴン」はドリームではないと考える一方で、「弱者のデッキ選択」に近いデッキ選択である、という考えもまた根強いものだったからです。

「弱者のデッキ選択」

実力差があるプレイヤーと試合をする際は、弱者側は極力プレイングが関係ない猿デッキを使った方が、トータルの勝率は高くなるという理論と、それに基づいたデッキ選択の話。

「翔太プロ」が以前動画で

「僕が弱小高校の監督として、遊戯王で甲子園に連れていくなら、全員にブラマジを握らせる」

と言っていたのは、正にその通りだと言えるでしょう。

自身が格下である内は、ポイント、実力差なく轢き殺しが成立する「サイバードラゴン」に身を委ねるのは正解だと考えていましたが、自身の所有ポイントが高くなってしまったため、格下に負けた時にとられるポイントに無駄が発生してしまう、という風に考えたわけです。

このことについて、当時同じくらいのポイント帯にいた「限界東雲かんざわさん」にアドバイスを求めるも

「俺は走るよ~、だってまだ目標まで足りないからどうせ走らないといけないし〜」

とスタンスが完全に強者側で話にならず。
とはいえ、早い段階で持ちポイントが多いのだから、チキって走るタイミングを逃すのも勿体ない。

結果として、私は、ポイントを無駄に溶かすことを嫌い、週末までに片付けなければならない課題を先に片付けつつ、全体のポイントが底上げされるのを待つこととしました。

ついでにこの間にプレイヤーの名前を普段使いしている「限界天賦ATM」から「Ib-インスタントバレット」に変更しました。

これは、こんなに早く、ランキングに載るとは思っていなかったため、せっかくだから好きな漫画の宣伝をしようと思い当たったからです。

KC中に「サイバードラゴン」を嫌いになった方がいても「ib-インスタントバレット」のことは嫌いにならないでください。
なにとぞよろしくお願いします。

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「Ib-インスタントバレット」

「第1回次にくるマンガ大賞」の13位にノミネートされたものの、雑誌があまりにもマイナー過ぎてそのまま打ち切られてしまった悲しみの作品。
しかしながら、作風は非常に面白く、特にキャラ造形とストーリーの評価が高い。
好きな人にはぶっ刺さるメタカードのような漫画。

「かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜」の作者さんである「赤坂アカ」先生の初のオリジナル作品でもあるので、「赤坂アカ」先生の作風が好きな読者さんがいらっしゃいましたら是非手に取っていただきたい名作。


そうこうして、数時間の休止を挟んで深夜2時頃から走り始めましたが、そこが悪夢の始まりでした。
ATMのKCレポート恒例、何故か2日目夜にポイントが爆溶けする、のジンクスが発生してしまったのです。

気休めに時折、勝利を挟みつつも、5連敗→5連敗→7連敗のスーパーリレーが成立し、ポイントは、またたく間に急下降。
4時間で何故かマイナス15000で、DP35000という偉業を成し遂げました。
(偉くもなんともない)。

しかも、ただ負けただけでなく、心折られる負けがあり、デッキを変えてしまったのも原因だったと感じています。
その時のスクショが以下。

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当時は知る由もありませんでしたが、スクショ内に登場する(そして賞賛と共に罵倒している)「妙に上手くてサイバーで勝てる気がしないリゾネーター」の使い手とは、既に代表権利を有している「はる@遊戯王DL」さんでした。

後日、祝勝会のような通話で、本人から直接「上手いサイバーだったよ(意訳)」というありがたいお言葉を頂いたものの、当時は

「上位帯の「リゾネーター」はこんなにも格が違うのか…
あんなことされるなら、サイバーではもう勝てない…」

と自分の心を叩き折るのに十分なプレッシャーをたった2戦で与えてきた恐ろしいプレイヤーでした。

結局のところ、蓋を開ければ、はるさん以外のプレイヤーは、そこまで対「サイバードラゴン」のプレイングが洗練されておらず、後半の上位帯でも問題なく食い取っていけました。

しかし、当時、連戦とそのプレイによって心を折られてしまったことから、他のデッキを使うことになり、ポイントを爆溶かしする原因になってしまったため、このKC最大の問題ポイントははるさんとの連戦だったと言えるでしょう。

それまで運でポイントを盛っていましたが、高次のプレイヤーのプレイングは、人の心を折るのに十分だと感じてしまった瞬間でした。

結局バカみたいにポイントだけを溶かし、心に傷を負ったまま就寝します。
結局この晩のポイント推移は51→39→45→35といった感じでした。

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当日レポ3日目 溜

例によって例のごとく、溶かし疲れて眠り、昼過ぎに起床するという悪夢の黄金パターン。
特に今回はスタート地点が高かっただけに起き上がるのも苦痛でした。

しかし、眠っていてもポイントは増えないので、重い体を叩き起こし、ご飯の準備をしながら、Youtubeで「もつく」さん、「Zelu」さんの動画をチェック、環境把握を行い、身体の覚醒を待ちます。

嬉しい誤算というべきか、本来想定していたよりもポイントの伸びが悪く、3万5千からでも、まだ十分追いつけそうな気配がありました。

前回も2日目に1万5千溶かしたところから残り半日で銀ラインまで持っていったという実績があったため、溶かしてしまったことは一旦脇に置き、地道にポイントを盛り直すことに決めました。

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(コズミックなのは呪眼とサイバー意識)

まず最初に選んだのは昨晩に自分の心をへし折った「リゾネーター」でした。
「対戦相手はめちゃくちゃ上手かったから、それを真似すればサイバー狩れんじゃね?」という思考で選んだデッキです。

実際に回してみても対サイバーの感触は悪くなく入れ食いでした。
しかし、その他が問題でした。
特にミラーはサイバーミラー以上に人間のやるゲームじゃないしょうもなさであり、結局サイバー以外を踏んだ時にデッキ選択の優位性を感じない、という結論になったため、4万あたりに到達した時点で感謝を告げて乗り換えます。

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次に選んだのは「罠地獄剛鬼」です。
これは、「もつく」さんが配信で「ネクロバレー」を採用した「剛鬼」でポイントを盛っていることに触発されて使い始めたデッキでした。

バレーが通る対面や、罠を綺麗に引けた対面では勝てるものの、罠デッキ特有のムラと、多方面から飛んでくる「サイクロン」による修羅、そして、再び増加傾向を見せた「トラミッド」との相性の悪さなどネガティブ要素が重なり、ポジれる要素がバレー含めたブン回りしかない、という結論になったので、しばらくして乗り換え。

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次の乗り換え先は「トラミッド」
これは、同時期に増加傾向にあった「リゾネーター」「月光」「サンダードラゴン」に通りがよく、「パルス」の成立で全対面夢が見られるという点で、丸さとドリームを兼ね備えた良デッキでした。

実際、そこからしばらくは「トラミッド」を回し続けて40~50あたりをずっとグルグルと往復しており、決め手こそないものの、悪くない感触自体はありました。
しかし、「狩場」ミラーを踏んだ時の変なお祈り感と「狩場ハーピィ」だったときのクソゲーであったり、「サイバー」との遭遇であったり、野生の「サイクロン」による修羅であったりと、強みを殺してくる要素もそこそこに点在しており、安定はしません。

結果、深夜2時の時点でポイントは何故か42に逆戻り。
ここで終わりかと思ったその時、チームメイトの「おつるぎめん」から、「サイバードラゴン」でポイントを62に乗せたという報告が飛んできました。

頼れるものはもうこれしかねえ‼
サイバードリームならぬ、サイバージャスティスを再び我が手に‼

その一心でリストを共有してもらい、デッキを「サイバードラゴン」に持ち替えて終盤戦に突入していきます。

当日レポ4日目 栄光へ


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前日の起床から眠らないままデッキを持ち替えてから、少しずつポイントを伸ばし走り続けること8時間。
ポイントは50付近を行ったり来たり、しかし、序盤までのような感情の乱れはありません。

ただひたすらにボタンを押し、配られたハンドで粛々と敵を介錯する、もしくは殺される時間が続き時間は10時を迎える寸前。

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一緒に走る仲間に不退転の覚悟を伝えてから1時間後、ポイントの増減に一喜一憂せず、感情の揺れが殆どなくなったタイミングで唐突に波がやってきました。

気付けば凄まじい集中状態で7連勝、更に1敗を挟んで5連勝。
この連勝で一気に圏内に飛び込みます。

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この時点で、62914はボーダーとしては許容範囲であり、「限界コード」の、メンバーに相談すると一旦ステイでいいとのこと。

しかし、ボーダーは予断を許さない状況で、一気に底上げが始まり、ラスト1戦が必要になりました。
前回までならチキってギリギリまでボタンを押さずにいました。
しかし、今回は前回の経験があります。
間に合わなくなる前に、気合を入れてボタンを押します。

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コイントスは先攻、配られた初手はこちら。
悪くない、いや、むしろいい。

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「絆ハーピィ」の可能性もあったため、「オーバーフロー」をサーチするべきか悩むも、デッキ枚数から「剛鬼」のような素直なビートダウンである可能性の方が高いと予想。

その結果、「コズミック」+「月の書」の2伏せでターンを返し、コアを温存するプランを選択しました。
1ターン目に100秒以上使って考えてから試合を行う「サイバードラゴン」の真骨頂のような1ターン目でした

返しの相手はスタンバイ時点でラグがなし。
初手は「成金忍者」の通常召喚、少考の後「月の書」。
動きが止まって1伏せでエンドフェイズ。
ノータイムでコズミック。

返しにトップからサポートをツモ。
ゲート→サポートとプレイすると、展開を見届けることなく、対戦相手がサレンダー。

これにて、ポイントがボーダーラインに届きました。

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一緒に走っていた「天竺」「限界コード」のメンバーも喜んでくれました。

この試合がラストゲームとなり、後はボーダーを監視しながら安全を見届け、KCカップを撤退。
後日、入賞報告が届くこととなります。

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KCGTを走り終わっての振り返り

振り返ってみると、ただひたすらに「サイバードラゴン」が強い環境だったなあ、という印象です。

「サイバードラゴン」以外のデッキを使用すると、対面した時点で顔が歪む対面というものが存在しており、それらは、無駄に弱気な心を呼び、弱気は無駄な選択ミス、プレイミスを呼び込みます。

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例えば、「トラミッド」を使えば「サイバードラゴン」「狩場ハーピィ」とのマッチングはゲロが出ますし、「リゾネーター」では「トラミッド」「不知火」を筆頭に罠ビに当たった瞬間に高確率で負けが見え、プレイも窮屈になります。

「ハーピィ」に至っては、「トラミッド」のような有利対面こそあれ、対面時点では相手のデッキが「トラミッド」なのか「ミラーマッチ」なのかの判別がつかず、本来有利な対面のはずなのに、精神的に余裕を持つことができませんでした

しかも、ヘルカイザー、遊馬、ユベル、ジャックなど当たりたくない顔面は異常に多く、私の中では実際の勝率はどうあれ、明らかな握り損デッキという評価になっていました。(一番調整したのにね…)

このように今期は、各デッキに対して各々が苦手意識を持ちがちなじゃんけん環境であったと感じていますが、「サイバードラゴン」というデッキは頭一つ抜けて、じゃんけんの輪の外にいるデッキだと感じました。

マッチング相性の理から抜け出そうとしていた上振れデッキは「サンダードラゴン」「TG」といったデッキが挙げられたと思いますが、そのどれもが前述の通り、何かしらの苦手意識を持っていたのではないでしょうか。

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死は平等

しかし、「サイバードラゴン」ひいてはゲート展開だけは全てに平等な銀の弾丸(シルバーバレット)でした。
死のみが万物に共通する言語なら、「サイバードラゴン」は等しくそれを与えられる唯一のデッキだと考えていました。

もちろん、マッチングした時点で面倒だと感じる顔は確かに存在しました。
具体的には「闇遊戯」「ユベル」といった誘発持ち対面と、「リゾネーター」を駆る「ジャック」です。
しかし、それらは面倒である、というだけで最悪の気分になることはありませんでした。

そのため、「サイバードラゴン」を握っている間は、対戦相手が「カモ」か「ジャガイモ」のどちらかに見えており、上に挙げたのは面倒な「ジャガイモ」です。
精々、芽が出ているので、取り除いてから食べよう、くらいの認識の変化に過ぎませんでした。

また、環境で最も理不尽勝つ、最強のデッキを使っている、という事実と認識が、他人の修羅に寛容になれる悟りを開いてくれました。
そのため、私情を挟むことなく、淡々と処理する、または処理されることでポイントを動かすことができました。

この事実に気付いてからは、無駄に心が揺れなくなったので(心が死んだともいう)、あとは確率に乗れる波が来ることを待つだけになっていました。
その穏やかな心持ちと愚直にボタンを押し続けた姿勢が、直接的には今回の結果に繋がったのかな、と考えています。

また、事前研究と練度上げは問題なく高い精度で行えていたのではないかと考えており、そこもポジティブなポイントです。
環境に現れそうなデッキ全てにアンテナを張り、その上で、使用可否や、基本的なプラン、外付けパッケージの有無などをほぼ把握できた上で、取捨選択を行えました。

そのおかげで、本来、最後まで候補に一切挙がっていなかったにも関わらず、「サイバー」が流行の兆しを見せ始めた時に、この数か月間、全く練習をしていなかったにも拘らず、直接乗り換えを決断、運用できました。

これも、「サイバー」にGOサインを出せるだけの判断材料と過去の練習実績を予め揃えられていたからだと感じます。
総じて、情報の取り方や練習のやり方、といったものが身についてきた、と同時にそれを許されるチーム環境があったことは恵まれていたと思います
そのため、1年前に私を迎えていただいた「限界コード」さんには感謝しかありません。

ただ、反省点もありました。
最も大きいのは、2日目夜に恒例となっている爆溶かしです。
これに関しては、この1年間、あまりにも再現性がありすぎるため、デッキ選択ではなく、何かしらプレイヤー側に問題のある溶かし方なのではないかと考えるようになってきました。

幾つか思い当たる理由や改善案などはありますが、とりあえず、次回のKCは素直に早く寝て夜を超えてみようかと考えています。

ぶっちゃけ、今回もそろそろ溶けそうだな、と考えながら走っていたため、そういった弱気も良くなかったのかもしれません。
とはいえ、負けの大半はどうしようもない場面だったので、引きずり過ぎずにさっさと眠るべきだったかもしれない、といったくらいの反省しかできません。
だって、殆ど悪くないし…

もう一つの反省点は集中できる環境作りです。
私は、条件が揃えば、理想的な過集中に入ることができますが、そのためには、他人との会話がノイズであることに気付いてしまいました。

これは、音声のみの動画などの一方的な情報でもダメであり、おそらくは、「未知の情報」を摂取すると脳の処理がそっちに食われてしまう、ことによって集中できなくなるのではないかと推測しています。

KC中、最も集中できていたタイミングは、ずっと一人で黙々とボタンを押し続けていたタイミングだったので、今後はそういった走り方を意識した方がよいのかもしれないと考えるようにはなりました。

また、会話をなくすことで不要な嘆きも減ったため、結果的に集中しやすい環境になっていったのかと思います。


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「四の五の言わずに走りなさい‼」ってミホノブルボンも言ってた

かといって、無音だと眠くなってくるし、それはそれで集中できないので、作業用に好きな音楽を流しながら走るようにはしていました。
特に私が集中していたときは

・Walkyrieとシェリルノームを主体としたマクロス関連の音楽
・少女歌劇レヴュースタァライトの劇中レヴュー曲フルセット
・ウマ娘の音源ループセット

このあたりをその時の気分に合わせてセッティングして流しながら走っていました。
よければ、気に入った曲が見つかれば普段使いしてください、そして布教してください。
ちなみに、今この文章を書いてる時、PCから流れているのは「ダイアモンドクレバス」です。

最後に

ここに来るまでは長かった。本当に長かったです。
冒頭で「ようやく」と述べましたが、結果が出た瞬間は、まさにその心持ちでした。

思えば、1年前のKCGT予選で敗退して以降、チーム「限界コード」に所属し、その間、開催されたKCにも積極的に参加し、研鑽に努めてきましたが、今ひとつ結果が出しきれずにいました。

しかし、それすらも、次に来る本番を見据えてのことだと考えていたため、腐らずにプレイを続けることができました。

私の事を知ってくださっている方の多くご存知かもしれませんが、私は元々OCGの競技層畑の人間です。
そして、プレイがあまり上手い人間でもなく、デッキ開発が得意なプレイヤーでもありません。

事前研究と予想、そして、それらを元にした、事前の練習でしたことしかできないプレイヤーであり、とっさの判断力に欠けている凡庸なプレイヤーです。

そんな未熟な身ながらに毎年、全国大会、世界大会を目標にプレイと挑戦を続けてきました。
それは単純に「遊戯王」というカードゲームが好きだったから、そこに夢を見ていたかったのでしょう。

今は、コロナ流行の影響もあって、主戦場をリンクスに移していますが、より高みを目指してプレイする、という姿勢はアナログ・デジタルを問わず変わっていません。

今回、私は長年の夢の1つであった「遊戯王」の世界大会に出場する、という夢を叶えることができました。
次の目標は世界の大舞台で、強豪を相手にプレイし、自分の力を証明することだと考えています。

決して天才ではないこの身ですが、その実力を発揮し、次のラウンドに進んでいこうと思います。
これからも多くの人に応援していただけるよう、自分の夢が叶うよう、よりよく活動していきたいと考えています。

よければ皆さん、応援よろしくお願いします。
この挨拶を持って、今回のKCレポートをこのあたりで締めくくろうと思います。

ここから先は、最終的にメイン運用することとなった「サイバードラゴンのリストや、メタに合わせた各パーツの取り外し、立ち回り、されると嫌なことなど、KC中に考えていたことを、自分の考える範囲で記しておこうと思います。

本編は既に出した分で、完結しており、この先はあくまでもオマケ的な部分であり、投げ銭して頂いた方へのお礼、といった要素の強い部分になります。

そのため、興味があるといったお方や、投げ銭してあげるといった親切なお方はこの先の有料部分をお買い求めいただいて、中身を確認していただけると幸いです。

それでは、皆さん、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
またお会いしましょう。


ここから先は

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