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YCSJ名古屋に向けたデッキ選択の経緯

皆さんお久しぶりです。
ATMです。

今回はタイトル通り、YCSJ名古屋に向けたデッキ選択とその経緯を備忘録として残しておこうと思います。

とはいえ、私の成績は0-2高速周回という一周回って面白い成績に過ぎず、結果も含めて、私自身も今回のデッキ選択を正しく行えたとは思っていません。

そのため、どういった思考の流れでデッキの取捨選択を行ったのか、という部分を参考にしてもらえれば嬉しいといったところです。

というわけで、毎度のことながら環境の整理から入ります。

環境を定義するデッキ①

今期の環境を定義するカードはドラグーンであることに異論はないと思われます。

ドラグーンというカードをメタの仮想敵に据え、そこに対して構築段階でどのようなアプローチを行うのかがデッキ選択、構築のスタート地点になっていたことは間違いないでしょう。

いわば、半年前の選考会期間における転生対オルフェゴール環境サンダードラゴン環境の登竜門的立ち位置であったのと同様に、ドラグーンは(デッキとしての強弱は別として)、環境の登竜門的な立ち位置になっていたと考えています。

それは手札誘発の採用傾向にも顕著に現れており、エフェクト・ヴェーラー、無限泡影といったアナコンダ→ドラグーンの流れを止められるカードが増加し、サイドも含めれば、PSYフレームギア・γのようなカードが標準搭載されるようになっていました。

ドラグーンを前面に押し出す構築の中で最も注目を浴びていたのはリリーサードラグーンです。
イージーウィンの申し子×2、ハリファイバーからの成立という話題性で非常に研究が進んだと認識しています。

その結果、環境に存在するデッキとして、ある程度リリーサードラグーンに対して耐性を持つデッキが出揃いました。

そして、リリーサードラグーンというデッキが本質的に強いデッキではなかったことも合わさり、研究が進むにつれてトップメタから追いやられることとなりました。

こうして、リリーサードラグーンが環境を定義しているにも関わらず、当人は一切メタゲームに絡んでこないという、近年稀に見る歪なメタゲームが構成されることとなりました。

環境を定義するデッキ②

リリーサードラグーンと並んで環境に強い影響を与えていたのはオルフェゴールです。

エターニティコードでギルスを新規獲得したことで、直前の規制によって失われたもの以上の恩恵を受けていました。

こちらもリリーサードラグーンと同様にメタ対象としての意識のされ方は凄まじく、システムダウンや1枚初動への無効系、魔鍾洞など、泣き所となるメタ要素は環境に蔓延してました。

しかし、各メタ要素に対して、構築、プレイの面でアプローチをかけることが可能となっており、デッキとしての底力と柔軟性を見せつけます。

その結果、環境の研究が進んだにも関わらず、環境トップとしての立ち位置をより強固なものとしました

環境を定義するデッキ③

オルフェゴールが頭半分から1つ抜けたトップメタであることが確定し始めた段階で、オルフェゴール自体にデッキ相性がよいとされるデッキが結果を残し始めます。
具体的にはオルターガイストと閃刀姫です。

特に、リンクロス、プークエリ、メモリーガントを手に入れて従来ではなし得なかったロケットスタートを可能としたオルターガイストの活躍は目覚ましく、スキルドレイン、γ、ドラグーンといった多様なサブウェポンを携えて、環境に斬り込みます。

事実、オルフェ、ドラグーンがトップメタと目されていた1月半ばのYCSJトライアルではスキドレオルターが1、2フィニッシュを飾り、一気に存在感を放ちました。

この時期、関東のプレイヤーがこぞってオルターガイストを扱い、結果を残していたことも非常に記憶に残っています。

閃刀姫に関しては、YCS直前あたりから数が増え始めた印象です。

環境頭こそ、数を増やしたエンディミオンに駆逐された形でしたが、そのエンディミオンがオルフェゴールとの相性が芳しくなく、環境から消え去ったことで、天敵のいなくなったフィールドを満喫していたものと思われます。

YCSに向けてのデッキ評価

ここまでの分析を受けて、環境のデッキの個人的なTier表は以下の通り

Tier1
オルフェ、オルター

Tier2
サンダードラゴン、閃刀姫

Tier3
リリーサードラグーン、HERO、エンディミオン

番外編
ドラゴンリンク、3軸シンクロ

YCSに持ち込むデッキに求めるもの

私はシングル戦という特殊なゲーム環境で行われるYCSでは独自のデッキ選択の基準が存在すると考えています。

①先攻の義務を果たすことができる。
②できるだけアンフェアデッキを選ぶ
③自分の動きのみでゲームを取ることができる
④バリュー勝負に強い
⑤特定のメタカード、戦術でしかメタれないデッキを選ぶ

これらの要素を強く備えるほど、シングル戦における勝率は向上すると考えています。
以下、軽く解説を加えます。

①先攻の義務を果たすことができる。

現代遊戯王において、先攻であるということは、それだけで相当のアドバンテージを得ています。
このアドバンテージを得たからには、先攻を得た側はそのまま勝利する義務があるとすら考えており、これを文字通り「先攻の義務」と呼んでいます。

つまり、デッキ選択の段階で、先攻を取ったら絶対に勝つ、という強い意思のある展開が行えないデッキは先攻の義務を果たせないため、選択肢に入らないということです。

ここで重要なのは、先攻の義務を果たすことができるデッキ≠先攻でしか勝てないデッキではない、ということです。

あくまでも、先攻を取ったら高確率で勝ちにいけるが、後攻からも頑張れる、という最低限の強さは必要です。
お前のことだぞ、リリーサードラグーン!

②できるだけアンフェアデッキを選ぶ

端的に言うと対話拒否デッキ選択の推奨です。
過去の結果からも、ガンドラワンキル、ハンデス未界域といった、先攻1ターン目から自分の動きを走りきるだけでゲームに勝利できるデッキの抜けの率はその他のフェアデッキと比べても高くなりやすい傾向にあります。

マッチ戦なら対話は歓迎ですが、シングル戦では対話拒否の方がブレなく勝ちに向かえます。

③自分の動きのみでゲームを取ることができる

これはゲームに勝利するためのハードルを低くするための要素です。
YCSでは普段CSに参加するような競技層だけでなく、様々な層が参加してくるため、対面のデッキが読めません。

そのため、対戦相手を信用して採用するタイプのカード、構築は序盤のラウンドほどバリューが安定しません。

対戦相手を信用して採用するカード

対戦相手が特定のカード、戦術を行う前提のカード。

誘発避けのための墓穴の指名者、抹殺の指名者や環境メタの手札誘発などもこの特性を持っているため、YCS環境ではこれらを大量採用するとバリュー勝負に競り負ける要因となりえる。

シングル戦の構築の難しさを生んでいる要因の1つ。


それなのに、対戦相手が特定の動きをしてくる前提で構築を進めると、相手と自分の動きが噛み合わなかった時にデッキパワーが落ちてしまいます。

具体的には
・非展開デッキと対戦した時に煉獄の消華が使えない可能性があるインフェルノイド
・後手選択の予定が、相手に後手選択をされたサイバードラゴン

など。

特に後手デッキは「先攻の義務」の概念を強く持つデッキが環境に存在する場合は選択肢に挙げることができないと考えています。

プラン勝ちを狙うのは悪いことではありませんが、リリーサードラグーンなどの先攻自信ニキが一定数存在すると考えるならば、それらにつけ込む隙を与えず、あくまで自分の動きを通して勝つことを目指すべきだと考えます。

対話拒否型のデッキはこの点でもプラン完遂が勝利に繋がるため、シングル戦に向いていると考えます。

④バリュー勝負に強い

メンコカード、デッキに負けないデッキ選択です。
バリュー勝負を挑んでくるのは叢雲ダイーザや後手デッキが多く、それらのデッキはギミック外のパワーカードの連打でゲームを仕掛けてきます。

それらのパワーカードによるメンコ勝負に負けないデッキ選択が重要です。
バリュー勝負は有効牌の数で優劣が決まりますから、予め、バリュー勝負に弱くなりがちなカードの枚数を絞って対策することなどが可能です。

余談ですが、今回、複数の上位入賞者を排出した真竜は、デッキ全体がバリュー勝負に強いデッキです。
また、罠を重視した罠ビデッキも広義のバリュー勝負デッキと言えるでしょう。

対話を行うデッキ選択を行うならば、バリュー勝負の観点は重要となります。

⑤特定のメタカードでしか対策できないデッキ選択

罠を大量に採用したデッキなどはマッチ戦の環境では継続して結果を残し続けることはありません。

なぜなら、一度認識されてしまえば、メタが回り、サイドに専用の対策が積み増しされてしまい、次回以降は勝ちにくくなるからです。

特に極端なメタカードで対策可能なデッキはそういった傾向が強く、ドロールで止まる未界域やロンギヌスで機能停止するオルフェゴールなどは、一度認識されれば環境から消えるまでそれらのサイドカードの脅威に晒され続けます。

しかし、シングル戦では極端なメタカードの採用がしにくく、無難な選択肢を選んだ相手にはそれらのデッキのやり逃げが通用します。

可能ならばメインデッキに入れたくないカードでしかメタられないデッキを選ぶべきでしょう。

また、これらの基本的な要素5つに対して

⑥先攻のドラグーンで詰まない

これも今回のYCSではデッキ選択として重要でした。

というのも、メタの流れで環境から駆逐されたドラグーンビートと呼ばれたデッキですが、前述の通り、対戦相手がどの程度の理解度で持ち込みを行うか想定できない以上は、ドラグーンとの遭遇は無視できない要素だったからです。

なまじ、ドラグーン単体のカードパワーが高いため、シングル戦という特殊な環境も相まってドラグーンにゲームメイクを託すプレイヤーは一定数存在すると予想されることもありました。

自分が使用するかは置いておいて、ドラグーンを使われてなす術なく負けでは寒すぎるので最低限の対抗策は必須です。

ここからは実際のデッキ選択です。

リリーサードラグーンを選ばなかった理由

大前提として、リリーサードラグーンは初期の段階(YCSの3週間前)で既に候補から外れていました。

今期を象徴するアンフェアデッキであるため、早期から積極的に調整を続けましたが結果は虚無。

あらゆる誘発が直撃するため、指名者がなければまともに展開を通すこともできない脆弱性がまず1つ。

何より後手面の勝率に問題がありました。

YCSは予選を抜けるためには7ラウンドで6-1以上の成績が求められます。
7ラウンド中、4回の先攻、3回の後攻という平均的な割り振りをもらうと仮定した場合でさえ、2/3の確率で後手を捲らなければいけません。

上位ラウンドに行くほど「先攻の義務」を果たすデッキが増えると考えている以上、私にはこれが現実的な確率とは思えませんでした。

先攻4回全てをリリーサードラグーンで勝利すると仮定した時点でこの確率ですし、実際は先手でさえ相手の誘発の重ね撃ちに沈むこともあるでしょう。

何より、デッキを扱うにあたって、自身の力量でケアが効く要素があまりにも少なすぎました。

自分が特定のケアカードを引いているor相手が特定のカードを持っているのかどうか、というところにゲームの争点がありました。

いいとこ3-2デッキの運ゲーデッキと結論づけて、その日一番会場で運のいいリリーサードラグーン使いになる自信がなかった自分は早々にこのデッキを諦め、構築の変遷を追うに留めました。

実際の持ち込み候補に挙がったデッキ

オルフェゴール、オルターガイスト、エンディミオン、サンダードラゴン、召喚ドラグーン、ドラゴンリンク、3軸シンクロ、(真竜)

これらのデッキが候補に挙がりました。
ここまでの絞り込みを行った段階でYCSまでの時間は残り1週間。

ここから

・練度の不足による自滅負け、ドラグーンを越えられない負けを嫌ってオルターガイストを除外。

・そもそも構築の完成形を明確にイメージできなかったことからドラゴンリンクを除外。

・事故負けを嫌ってサンダードラゴンを除外。

・高いポテンシャルを秘めていると感じたものの、直感的に構築の最適化が終わっていないと(失礼ながら)感じてしまったことから3軸シンクロを除外。

・真竜はそもそも気の迷いで挙げただけだったので頭の片隅にこびりついていたものの特に取り合うこともなく除外。

・召喚ドラグーンに関しては、ギリギリで乗る船がなくなった時に前日から乗り換えてもとりあえず簡単に使えそう(偏見)というキープ枠であり一旦除外というか保留。

こうしてオルフェゴールとエンディミオンの2択にまで絞り、最終的には練度が高く、明確にフィールドにおける優位性を確認できているエンディミオンの持ち込みを行うことに決めました。

エンディミオンの利点(一応)

エンディミオンがシングル戦で持つ強みは

・先攻の義務を果たせること。

・ノーテスを絡めた複数妨害を構えてのGつっぱを可能としていること。

・先後問わずGつっぱを想定したため、墓穴の指名者を削りバリュー勝負に強くしたこと。

・生半可なデッキの展開をギミックで後手から捲ることができること。

・魔封じ、ツイツイといったキラーカードが少ないと予想したこと。
(ただし、オルフェゴールはツイツイを使ってくる可能性が高いと踏んでいたが元々先攻ゲーなので無視)

・フェアデッキ最強のアンフェアカード魔鍾洞を最も強く使えるデッキであること 。

・増えるであろう魔鍾洞ミラーで優位性があること。

・相手の理解度不足で拾える試合もあると踏んでいたこと。

これらの点が挙げられました。

誘発の不採用は閲覧負けの憂き目を見る可能性もありますが、先攻の義務を重視するデッキに対する半端な誘発はむしろハンデスとなり無意味であり、対抗馬のオルフェゴールでも納得のいく枚数を用意するのが現実的でないと判断したため、それならエンディミオンでいいという結論になりました。

当日

0-2高速周回で見所なく無事死亡。

ラスト3日になるまでまともに練習もしていなかったため、勝てなかったのは残念ながら当然でした。

負け方は納得のいくものではありませんでしたが、シングル戦である以上仕方なのないことでした。

2戦とも何を使ってもおそらく負け試合にしかならない非常にしょうもない試合だったのでデッキ選択による負けすら発生しませんでした。
ある意味救いですらあります。

1回戦 サイバードラゴン 先×

人かけエレクトラムしかできないハンドに泡直撃。
スケールにサーヴァントを残してマギステル+セレーネの1.5妨害で返すと

サイバードラゴン→羽根→コア→複製→パワーボンドで終わり。

2回戦 呪眼 後×

サリエル+セレン+4伏せスタート。
丁寧にバックを剥がしていくとバウンスをくらった後にサモンリミッター襲来!?

ハンド5枚を抱えてターンを返す。
相手の伏せも残り1枚だし死ななければ耐えたか…?

命削り発動
バック4枚に復活!!

負け

総括

リリーサードラグーンは脅威であったものの、これをいかに無視できるか。
それが今回のYCSのデッキ選択であったと感じます。

リリーサードラグーンは分かりやすい勝ち方であるものの、その他環境デッキも実質勝ちの展開を持っているため、展開成立後の盤面より展開成立までの過程に重きを置くべきだったと考えています。

私個人としては、選択候補としたデッキをどれも5-1-1デッキと感じており、安定6-1のポテンシャルを感じない非常にフワフワとした大会参加になってしまいました。

実は前日調整の段階で唯一6-1~7-0のポテンシャルを秘めたデッキの詳細なリストを確認していたにも関わらず、練度の不足で使用を断念したという経緯があり、普段の練習不足、研究不足を痛感してしまいました。

前日から乗り換えるだけの力があればまた違った結果が出せたかもなと感じてしまい反省の残る大会となってしまったことが心残りです。

イチオシデッキ紹介

最後に前述のイチオシデッキの紹介です。
それは

https://twitter.com/ishikawa0000000/status/1228564497322803206?s=19

石川のゆうさん、及びその調整メンバーの方が作り上げたドラゴンリンク擬装カタパルトタートルワンキルです。(本人から掲載許可済)

既存の展開デッキに擬装した先攻ワンキルは、やり逃げ上等シングル戦で求めていたアンフェアデッキとして理想のものでした。

実際、リリーサードラグーンとの早期遭遇&後手という不運こそあれ、トータルで6-1という成績が出ています。

こういった掘り出し物を見つけたときに乗り換えが効くように普段からアンテナを張っておきたいと思いました。

それでは皆さんまたお会いしましょう。

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