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実録Balatro攻略史 低枚数ビルド編

低枚数ビルドって何?


このBalatroというゲームにおいて弱い役は弱い。ポーカーゲームなんだからあたりめーである。
だがこのゲームはポーカーゲームである前にBalatroなのだ。そんなこんなでどうにかする手段はある。

そもそもなぜハイカード・ワンペア軸が厳しいのか?
身も蓋もないことを言ってしまえば全部なのだが、その内訳から読み解くと
①:チップがしょぼい
②:倍率もしょぼい
③:惑星カードもしょぼい
④:枚数が少ないのでタロットと得点時系ジョーカーが乗せづらい
⑤:そもそも効果が乗るジョーカー自体が少ない
が主な厳しさになる。逆に利点は
①:役の成立がかなり安定する
②:ディスカードへの依存が低い
③:手札に保持して使うタロット・ジョーカーの効果が乗せやすい
④:役を構成しないが出すことのできるカードが多い
などが挙げられる。利点少なくない?と思うかもしれないが、低枚数ビルドは使えばどんなブラインドも撃破できるドラえもんではないのだ。しかししかるべき環境が整えば選択肢の一つとして十分に活路を見出せるであろう。

主に採用されるジョーカーたち

チップジョーカー

スクエアジョーカー(提出したカードが4枚なら自身にチップ+4・コモン)
①:緩めの育成条件

:成長速度は遅い
③:単体で低枚数ビルドに踏み切るほどのパワーはない
大抵スペアトラウザーと組んでるが、素の火力が乏しく複数回の提出を前提とする低枚数ビルドならじっくり育てる…というかそのように育てることになる。序盤に拾って使い続ければ200チップくらいになり一線級の貢献をしてくれるが、育成系ジョーカーに共通する問題として育てるために手加減すると収入が減るという欠点がある。さすがに一手=1$と4チップだけでは金の方に分があるので、他の育成系と併用やまとまった金額を先に確保したりしてその価値を損ねないようにしたい。4枚出しを行わなくても特にデメリットはないため、ここぞという場面では躊躇わずに3枚でも5枚でも出せるというのを忘れずに。

バナー(残りのディスカード数×30チップ・コモン)
①:捨てることが稀なので最大効力を発揮しやすい

②:その最大効力自体は低い
③:ブルーステーク以降はさらに影響が悪化
単純にチップを供給するだけならかなり手軽でそこそこの数値を得られる。しかしカードを捨てずに安定する役というのはそうそう存在しない。ペアですらデッキ改造無しでは期待できないのだ。故に実質的な運用はグリーンジョーカーと組んでのハイカード軸になる。ただし供給量そのものは90チップと終盤まで使うにはかなり心もとなく、いずれは役レベル強化分に押されて消えていく運命にある。

ブルージョーカー(山札にあるカード1枚につきチップ+2・コモン)
①:特に制限なく手頃な量のチップを得られる
②:カードの消耗が少ない点も追い風
③:これ自身の強化はかなり回りくどい
カタログスペックとは異なり、そもそも開幕で手札が配られた分だけ山札は減るので実際に得られるチップは少し低い。その代わりに適当に配られたカードを1枚ずつ出していくようなスタイルでは90~80程度のチップを安定して得られる。バナーと異なりパープルシールなどをちょっと使いたいという時でもわずかな量の減少で済むのはメリット。理論上はデッキにカードを増やすことで恩恵も増え、さらに雑に増やしてもそれらが役の構築を邪魔することもないのでその点でも相性はいいのだが、終盤まで通用するほどに増やすには証明書などの有用かつ恒久的な手段が欲しい。

スタントマン(チップ+250・手札枚数-2・レア)
①:狂ったチップ供給量
②:手札の枚数を減らしてくれる
③:レアなので出づらい
④:解禁もしづらい
低枚数に踏み切るきっかけと言えるほどに強力なジョーカー。まともにハイカード以外の役を出せなくなるほど手札を減らす代わりに、終盤でも通用するほどの爆発的なチップで火力を支える。手札枚数減少は役以外にスチールカードやブルーシールを乗せることも困難になるため基本的にはデメリットだが、レイズドフィストや黒板など手札の状況を制御することで恩恵を得るジョーカーととても強い相互作用を持つ。
欠点としてはあまりにも強力すぎて他のジョーカーの育成に影響が出る点。倍率と違ってチップはジョーカーの順番を入れ替えても火力は変わらないので手加減ができない。さりとて売るにも惜しいので積極的に経済など他の場面で役立つジョーカーたちで強すぎることの恩恵を効果的に他に回したい。
一手で一億点を出すという解禁の難しさも少なからぬデメリットと言える。雑にエンシェントジョーカー+セルツァー+ダスクとかでどうにかしろ!

加算倍率ジョーカー

ライド・ザ・バス(提出した役で絵札が得点されていないと自身に倍率+1・コモン)
①:伸ばし続ければ終盤まで使える
②:ハイカードやペアだとリセットの危険も少ない
③:成長速度自体はあくまで線形の域を出ない
低枚数ビルドの主力の片割れ。序盤にこれを拾えたら地道に育てていけば50~60ほどの倍率を稼げるようになる。絵札はあくまで得点されなければ出しても問題ないため、エースのハイカードや10以下のペアに不要な絵札を足して流してしまえば手札から効果的に排除できる。さらにデバフ状態であれば役の一部として出してしまっても問題ない。スクエアジョーカー同様拾い次第残りハンドを使い果たすまで育成につぎ込むと収入が終わるため、しっかり利息を得られるようにしたい。また何も考えずにポンポン撃ってたら最後の一手で全力を出しても届かなかった、ということにならないよう今の自分の全力がどのくらいかもきっちり把握しておくこと。
最終的にこいつが加算倍率のメインにはなるが、それを全力でぶつけるための乗算倍率も確保しないと高ノルマ系のボスが出てきた際対処しきれない。倍率と金どちらに価値があるか?は常に意識しておかねばならない。

グリーンジョーカー(役を提出するたびに自身に倍率+1・カードを捨てるたびに自身から倍率-1・コモン)
①:こちらも伸ばせば長く使える
②:捨てずに作れる役はハイカードやペアに限られる
③:ディスカード関連のシステムをほとんど使用できない
④:だが捨てられないわけではない
低枚数ビルドの主力のもう片方。1ずつ伸びることに関する良し悪しはほぼライド・ザ・バスと一緒だが、その育成条件が大きな差を作っている。あちらが絵札さえ使わなければどの役でも育成が可能、そのうえでその制御がしやすいのは…という理屈で低枚数役に走るのに対し、こちらは育成を巻き戻させずに出せる役は限られるというジョーカー側の理由で低枚数へと走る。このジョーカーを主軸に据える以上、カードを捨てるという行為はほとんど行えない。比較的効率の良い稼ぎ手段であるメールによる払い戻し・ハイカードの捨てやすさも活かせるバーントジョーカー・タロットの便利な供給源であるパープルシールなど、制限される要素は中々多い。逆にバナー・遅れた満足感・ラーメンなどわずかながら捨てないことがメリットになるカードも確かに存在するため、序盤はそれらを併用して積極的にリソースを蓄えたい。ただし終盤ではその積み重ねた倍率を多少切り崩してでも様々な乗算倍率ジョーカー側を優先した方がよい。特に序盤を単独の役連打で乗り切ってからのオベリスクによる倍率増加はうまく制御しきれればかなり強力。またこのディスカードは枚数に関わらず1回ごとに減る。何らかの理由でトランプを捨てたい場合、なるべく恩恵のあるものを集め複数枚一気に捨てたい。

超新星(このランでその役を出した回数が倍率として加算される・コモン)
①:何をやっても倍率は減らない
②:取得前の行動も倍率の助けになる
③:役を変えると火力がガタ落ちする
低枚数ビルドの主力の影武者。左のラン情報ボタンから見られる各役の表記右側に出ている数字がそのままその役を出した時このジョーカーが足す倍率になる。上の二種類はジョーカーを取得してからの行動により育成されていくタイプのため、途中から拾うと弱すぎて間に合わない・あるいはすでに強すぎて育成前にどんどん進んでしまうという欠点がある。しかしこちらは常にカウントされ続ける出した回数に依存しているので途中から拾っても全く問題ない。ごく終盤で「あっ超新星だわいまどんくらいだったかな…60!?(採用)」みたいなケースもたまにある。もちろん絵札を出そうが捨てようがこれらの値は絶対に減らない。その代償として、偶然フォーカードなどの強力な役ができたとしてもこいつは単に+1するだけで終わる。特に倍率をこれ単体に委ねた場合、役の重複禁止ボスである目が来ると致命的になりうる。またデッキ編集の余裕や惑星カードの偏りに合わせて主軸にすべき役を途中から変えるという動きが高いリスクになる。主役というよりは前述の連中のお供として倍率を支えるぐらいの立ち位置がよいか。

ハーフジョーカー(出したカードが3枚以下なら倍率+20・コモン)
①:お手軽高倍率
②:賞味期限は長くない
③:迂闊に使うと育成の邪魔になる
様々なジョーカーが間接的な理由でハイカード・ペアを推奨するのに対し、このジョーカーだけはほぼ唯一直接的にそれらの低枚数役を支援する。が、さすがにこれだけで低枚数ビルドに踏み切るほどのパワーはない。単体で使うだけでは倍率はともかくチップがまともに稼げないのだ。しかし特筆すべきはこの効果は出す枚数を調整することで簡単に制御可能という点にある。上の連中を育成する際にはなるべく提出数をギリギリまで使い切りたいが、あまりに弱いとあれ?足りなさそうという段階で急に火力を出す手段がなくうっかりそのまま死にかねない。そこで4枚出しでこのジョーカーの効果を回避し続け、最後の一手で3枚以下で倍率+20を得れば確実に倒せる、というのがこいつの存在意義と言える。この手の火力使い分けはジョーカー育成の鉄板テクニックであり、特定の役を参照するコモンジョーカー連中などもこの手の技術に組み込めれば十分頼りになる。

レイズドフィスト(手札に残したカードの最低値×2を倍率に足す・コモン)
①:ランクの低いカードを使い切れば簡単に倍率が出せる
②:火力の制御も簡単
③:手元に残して使う強化を選ぶ際には注意
ちょっと出すカードを工夫するだけで2桁の倍率が加算される良コモン。他のコモン連中が役だのなんだのを指定する所をちょっと右側のカードを使うだけで簡単に+16だの+20だのされるんだから弱いはずがない。普通のプレイでは役にそれらのカードを組み込めるかで活用できるかが決まるが、低枚数ならついでに出して処理するのもまったく苦ではなくなる。ただしフルパワーでもハーフジョーカー同様終盤まで使うには頼りないため、同様に序盤中盤の火力補助といった立ち位置。戦車・悪魔・トランスの3つを使う場合、どうせ使わないからと低いランクのカードに付けるとこれの効果を減衰させる点には注意したい。なお、この強化は手札のカードそのものが出している。レッドシールやマイムがあるなら2回発動し、デバフなら倍率は得られない。スチールカードがあるなら対象のカードを左へと入れ替えることでその恩恵を効果的に受けられる。

シュート・ザ・ムーン(手札に残したクイーンが倍率+13を出す・コモン)
①:使わないカードが多いので恩恵も受けやすい
②:対象ランクは1つだけなので相応にデッキ改造が必要
多くのジョーカーが出して得点になったカードを参照するのに対し、これは使わなかったカードを参照する。そんなわけで低枚数役には無改造でも最大+52という爆発的な数値を供給できるが、所詮は特定のランク1種類に依存するので安定した火力として頼るには積極的に労力を費やす必要がある。どんなカードが配られても得点を出せる、という低枚数ビルドの強みの一つを放棄しているというのは見過ごせない。上記の4枚で+52というのもすなわち手札でフォーカードが成立しているわけで、この効果の安定のためにクイーンを大量生産できるならそれはファイブカードなどに走れる状態なのだ。結局実際に全力で頼るケースはウィジャでクイーンが選ばれた場合ぐらいかもしれない。

乗算倍率ジョーカー

黒板(手元に残したカードが全てスペードかクラブであるなら倍率×3・アンコモン)
①:出すカードを調整するだけで3倍
②:手札の最大値が小さいのがメリットになる
③:低枚数役と相性がいいはずのストーンカードとの相性は悪い
一見黒いスートでのフラッシュを支援するように見えるが、実際は役を作ったら余りのカードを自由に決められる低枚数役との相性抜群なジョーカー。特に理由なく特定のスートに染め始める段階でこいつの存在が頭にチラつくようになれば中級者の証である。実際には赤いスートは自分で出してしまえばいいので、デッキ編集に費やす労力もそこまで高くないのがありがたい。スタントマンの項目でも挙げたように手札の枚数を減らす効果とは特に相性がいい。エクトプラズムで追加のジョーカーを搭載する・ウィジャでいざという時の高火力役の下準備など、デメリットとして扱われる効果をメリットにできるのだ。注意点として、このジョーカーの効果は「手札にハートとダイヤが存在しない」ではない。ワイルドカードがあってもその効果は問題なく発揮される。逆に低枚数役で不足しがちなチップを稼ぐのに便利なストーンカードは何のスートも持たないため、残すと倍率は得られない。そもそも余分にカードを出せる役の火力補助に使うのが目的なのだから一緒に出すべきである。そしてこの効果は3倍を付与した後、この条件に反するカードがあるとそれを取り消す。つまりカードを全部出しきっても3倍は得られる。

カードシャープ(今回のラウンドで既に出したことのある役を出すと3倍・アンコモン)
①:条件達成は低枚数なら簡単
②:一部のボスには完全に無力化される
③:仕様上初手には効果が乗らない
そもそもこのゲームでは攻略の過程で何かしらの役に絞られていくものであり、わざわざバラバラな役を撃つ理由はほとんど存在しない。となるとこのジョーカーが問うのは複数回同じ役を撃つ余裕があるかどうかだが、低枚数役にとっては愚問と言える。そんなこんなでほぼ無条件の3倍と言っていいのだが、その割に意外なところで足をすくわれるケースがある。具体的にはニードル(ワンパンせよ)・目(役の重複禁止)など。他にも単純にノルマが高い相手には初手に3倍が得られないことで総火力が物足りないということもある。これに対する回答は…とにかく乗算倍率はこのゲームのビルドの終着点なのだからもっと倍率を盛れ以外にない。メタってくる相手がいたところでコイツを手放す理由にはならないのだ。黒板などと併用してひたすらに暴力に努めるべし。

星座(惑星カードを使うと自身に×0.1)
①:簡単な行動で無限に伸び続ける
②:高速育成には相応に元手が必要
③:ピンチの時にやってきても救ってはくれない
低枚数のみならず他のスタイルでも序盤に出ればかなり優位に立てるパワーカード。種類を問わず雑に5枚使えばポリクローム相当・10枚20枚と積み重なれば他のジョーカーを簡単に追い抜く強さが手に入る。このゲームは狭いジョーカー枠の仕事を惑星カードの力で主にチップから肩代わりしていく仕様になっているが、効果の低い冥王星や水星ですら例外ではない。1枚で足りないなら10枚使うのだ。しかし青シールや天文学者でもない限りカードを継続的に買い続けるのにはそこそこの規模の収入が必要になるのには注意したい。こいつが活躍できる=少なからず軌道に乗っている状況と言えるので、倒れかけたランを救うほど一手で戦況を変えるヒーローではない。そもそもそんなジョーカーがそうそうあるわけでもないのだが…

ホログラム(デッキにカードが追加されると自身に×0.25・アンコモン)
①:特筆不要の壊れカード
②:カードが増え続けることがデメリットにならない
③:元手いらずの好相性ジョーカーも存在する
④:育成は少なからず運が絡む
ちょっと使えばあれこいつヤバいのでは?と誰もが気づき、そして本当にヤバい正真正銘の暴力の化身。カードゲーム経験があるならすぐ理解できるだろうが、デッキが肥大化するのは基本的にはデメリットである。役成立のために狙ったカードを引ける可能性が下がるからだ。しかしハイカードならその心配はいらない。全てのカードを役の部品とみなせるため、金太郎飴のようにどこを切ってもそのうま味を堪能できる。デッキにカードを追加する手段はスタンダードパック・一部のスペクトラルカード・証明書・マーブルジョーカーなどいろいろあるが、いずれもランダム性が高く現在のスタイルと合わないカードが追加されるリスクが相応に大きい。しかし低枚数ビルドならその中でも下位に入るであろうストーンカードですら使いこなせる。ショップに並ぶパックには複数種類があるが、その中でも比較的ハズレと言えるスタンダードパックが逆に一番の当たりに変わるのでどのパックが来ても損することがないという強みもある。唯一の欠点は、バウチャーを買わない限りショップでのカード追加はパック経由に限られるので店に並ばないことには金があっても増やせないこと。祈れ!

オベリスク(最も多く出した役以外を連続で出し続けると一手ごとに自身に×0.2、途切れるとリセット・レア)
①∶同じ役を撃ち続けたことが強さに繋がる
②∶これを見越したプレイでもない限り理想的な状況は作りにくい
③∶いつかは強化に終わりが来る
厳密に言うとこれは低枚数役のサポートではない。低枚数役を使うと必然的に同じ役を延々撃つことになるが、その履歴がこのジョーカーの育成限界を高めるのに繋がるという構造から採用されるケースがある。当然連打していた役の強化は無駄になるため、理想の状況としては天体パックを開けまくったが肝心の冥王星や水星が出ず、本当にこのまま行っていいのか?というタイミングで来るのが理想。出した回数で特定の役を指定する効果は色々あるが、それぞれで最頻度の役をどう判定するかは異なる。そしてこいつは同率なら全部リセット対象という一番厳しい仕様になっている。ケチ!このジョーカーが一番キツいのは採用直後である。死にかけのラーメンみたいな倍率で一回は耐えなければならないのだ。序盤に拾った場合はある程度育成開始を制御できるが、終盤で火力が足りないという段階では入れ替える前より火力がほぼ確実に落ちるのでこの大岩を転がし始めるタイミングは入念に検討せねばならない。タロットなりブチ込んで気合で抜けろ!突き抜ければ4倍5倍が狙えるオベリスクタイムが待っている。

ラーメン(倍率×2、捨てると自身から倍率-0.01・アンコモン)
①:捨てなければ無条件で2倍
②:だが低枚数なら基本捨てない
③:ちょっとくらいなら捨ててもいい
使うほど減る食品系ジョーカーの倍率担当にして異端児。他の連中が何をどうやってもいつかは食いつくすのに対し、こいつだけその気になれば永遠に使えるという仕様になっている。インスタント麺か何か?大型役で使うとズルズル減っていき1.5倍くらいまで減った時点で捨てられるが、グリーンジョーカーのような行儀の良い客なら最後までしっかり付き合っていけるだろう。そして同様に減少以上のメリットが見込めるなら多少捨てても損はしない。というよりは低枚数役で捨てねばならない状況というのはよほどのメリットか手札を入れ替えねばならないほどの危機的状況なわけで、戦法が合っているのならこのジョーカーのデメリットは大分薄くなるというのが正しい。グリーンジョーカーと違い枚数で反応するため併用時はさすがに捨てない方がいいが…

シーイングダブル(クラブ1枚以上と別のスート1枚以上が得点されると倍率×2・アンコモン)
①:ペアで使える手軽な2倍
②:黒板との相性がいい
③:ハイカードではスプラッシュがないと使用不可能
④:デバフには弱い
⑤:解禁が面倒
数少ないスートの多さを参照するジョーカー。クラブが選ばれたことにさしたる理由はないだろうが、そのおかげで黒板のためにクラブを増やすと必然的にこちらも使いやすくなるというコバンザメ的な評価の上がり方がある。しかし全てをクラブにするとそれはそれで使えなくなるというデザインの妙もある。条件は緩くともある程度カードが指定されるという都合上ディスカードに頼ることも多く、使うランクを制限されるが捨て放題なライド・ザ・バスとの併用がベターであろう。ワイルドカードがペアの片方なら確実に起動できるようになる。欠点としてスート2種類が得点されなければならないため、クラブがデバフされると完全に機能を停止する。しかしそこまで重篤な状態になる前にもっと良い乗算倍率に取って代わられる方が多いかもしれない。クラブの7を4枚同時に使うという謎の解禁条件も妙に面倒臭い。恋人と死神でどうにか…

運転免許証(デッキに強化カードが16枚以上あるなら倍率×3・レア)
①:条件を達成すればプレイングに関係なく3倍
②:ジョーカーに金を使わなくなった余りがタロットに行きやすい
③:スタンダードパックを開ける動機も強く強化カードを増やしやすい
④:金回りを意識しないとその元手が足りなくなりがち
ホログラムなどと同様デッキを選ばず条件さえ整えば使える乗算倍率。しかし普通のデッキがジョーカーをしばしば変えるのに対し、主力を担えるカードにコモンが多い低枚数ビルドは早々にジョーカー陣が完成し余力を回しやすいという構図の優位性がある。ホログラム同様カードを足すことのデメリットの薄さも追い風。ただし肝心のカードへの強化自体は得点されるカードが少ないため受けづらく、手札に置いておくべき強化はどちらも1枚ずつにしか適用できない。ジョーカー育成で残りハンドを金ではなく倍率へと換算することが多いため、それらの欄でも述べたが利息確保は欠かさないように。

特殊効果ジョーカー

強盗(ブラインド開始時にハンド+3、ディスカード全消費・アンコモン
①:数で押す低枚数役の総出力を伸ばすハンド追加
②:ディスカードに依存しないのでほぼ損はしない
③:高ステークではカード捜索能力も強化
④:ボスに対して極めて激しい有利不利がある
主力のジョーカー育成・ビルドが完成してからの総火力などあらゆる状況で役に立つハンド数を増やす貴重なジョーカー。余ったハンドは金になるので間接的に金策の助けにもなる。特に変更する要素がない場合、単純にディスカードが3減ってハンドが3増えるので得点のチャンスが増えた分得になる。ブルーステーク以降はディスカードが素で1減らされるためよりおいしい。相性のいいジョーカーはグリーンジョーカーとほぼ同様…と思いきやディスカードを全部没収するので残り回数を参照するジョーカーは軒並み機能停止する。もちろんメリットはそれを補って余りあるのだが。使う上での注意としてボスとの相性が挙げられる。特に低枚数役の天敵であるニードルに対してハンドを減らされた後こいつの効果で増やすことで対抗できるのが強い。壁などの高ノルマ系ボスにも対策できるが、増えたハンド分の役を作れることが少ない目に対してはそこまで救済にはならない。カードの質に影響されにくいのが低枚数ビルドの強みではあるものの、魚に対してはほぼ無力なので黒板などと併用する際には注意。

バーントジョーカー(ラウンド最初のディスカードに含まれる役のレベルを1上げる・レア)
①:低枚数役なら高確率でレベルをガンガン上げられる
②:いざとなったら手放しても問題ない
③:ディスカードしないことの恩恵は受けにくくなる
捨てた際に左の得点計算欄に出ている役のレベルが上がる。当然1枚だけ捨てるならハイカードが確実に上がるし、ペアを上げたいなら先に適当にカードを出してからならその内揃う。コツコツ上げてチップジョーカーが不要になるくらいまで上げたらそれらを売って乗算倍率を迎え入れたい。ただし低枚数役の売りであるディスカードしないメリットはかなり減らされるため、主にライド・ザ・バスと組むことになる。倍率はそれらのジョーカーが増やすので役レベルが担うのはもっぱらチップなのだが、ハイカードとペアではペアの方がわずかにチップの上昇量が多い。シーイングダブルの項目でも述べたようにバスは絵札を積極的に排除or変換するため手札でペアが成立する可能性も相応に高く、「こんだけチップがありゃクリアできるだろ」な数値にいち早く到達させるためにもペア軸での使用が望ましい。10と15の差は意外にも大きいのだ。

スプラッシュ(出したが役を成立していないカードも得点される・コモン)
①:一部のペア以上専用効果をハイカードでも受けられる
②:地味
③:ジョーカー1枚を使ってやるような効果ではない
普通5枚のバラバラなカードを出しても一番ランクの高いカードがハイカードとして計上され他はただ流されていくが、それらのカードからも得点を得られるようになる。これはライド・ザ・バスの絵札が使われなかった時の効果と盛大にバッティングするため、ハイカードに走る動機の強いグリーンジョーカー向けと言える。しかしそれでもジョーカー枠を消費して使うほどの効果かというと大分怪しいので、主に序盤の苦しい状況でシナジーのないジョーカーをかき集めてでも生き残らなければならない段階で助けになる存在。終盤まで使う場合、主にフラワーポットとの併用になる。というか色々な要素を加味してこいつはバウチャーにすべきじゃないっすかね

DNA(ラウンド最初の役がカード1枚のハイカードだった場合、そのカードをコピーして手札に加える・レア)
①:普通なら無駄なハイカードの一手をそのまま戦法の一部にできる
②:増やす価値のあるカードはそこまで存在しない
③:最終的にハイカードにする動機は薄れる
延々同じカードを増やし続ける。特に他の役を主軸にしていると自分からブラックデッキみたいな状況に陥った上にデッキが肥大化し続けるという大して嬉しくないジョーカーだが、戦法をハイカード向けに調整しているならそのまま利点を受け取れるという寸法。ただしただ単に何の強化もないカードを増やし続けるのも芸がないので、青シールやスチールやエディション持ちなどを増やして火力に換算したり火星などを併用して最終的にフォーカードなどの役を連発するような強くなる見通しを持ったうえで使いたい。ただしデッキに元からあったカードを減らすわけではない以上増やしたカードの恩恵を受けることなく古いカードの山に埋もれて終わる可能性も十分にある。

ルチャドール&ミスターボーンズ(売却すると現在のボスブラインドの特殊効果を無効にする・アンコモン&ノルマの25%まで達成していればクリアできなくても自身を破壊してゲームを続行する・アンコモン)
①:対バイオレットベッセル用決戦兵器
②:道中で死んだら無駄になる
この2枚の役割は同じなので一緒に書く。低枚数ビルドは総火力を犠牲に安定性に振り、他の役がいつでも成立するとは限らないところを確実に火力として発射することでその低火力をカバーしている構成だが、最大の弱点として総火力を求められると極めて脆弱になる。普通ならグラスカードなどが緊急の突破手段として考えられるが、役レベル上昇も控えめで一度に搭載できる量も限られるためにいざという段階での踏ん張りが利かない。そこでこのメキシカンな二人の登板である。実際に無効化できる=稼いでくれる数値としてはミスターボーンズの方が大きいが、ルチャドールはクリムゾンハートへの対策にもなるので一長一短。しかし最善はディレクターズカットというのは揺るがない。

ブループリント&ブレインストーム(右にあるジョーカーをコピーする・レア&左端のジョーカーをコピーする・レア)
①:強い
強い。

金策ジョーカー

遅れた満足感(ディスカードを使わずにラウンドをクリアした場合残ったディスカ―ド1回につき2$を得る・コモン)
①:ハンドを連打することが金策にできる
②:ブルーステーク以降は基本劣化ゴールデンジョーカー
ディスカードを駆使してワンパンすることでハンドの消費を抑えるのは手っ取り早い金策手段だが、その構造を逆転させてハンドを駆使してディスカードしないことで金を得るようにできるジョーカー。こういった手段で育成と金策を両立できる手段がないと高めの倍率一枚がぽつんとあるだけで何も買えないという状況になりやすい。それだけならゴールデンジョーカーでも十分にこなせるが、こちらはディスカード数に応じて金額が増減するので大酒飲みやメリーアンディのような手段と併用するとさらに伸びる。バウチャーで増やすのもいいが、用途が少なめのディスカードを得るためにバウチャー分の出費が割に合うかは疑問。

リザーブドパーキング(ハンドを出した際2分の1の確率で手元にある絵札がから1$)
①:何回も出すのでチャンスも多い
②:出す枚数も少ないので手元に残すカードも多い
③:肝心の期待値は少ない
絵札を確保ししかし出さないと金になる。シンプルだが、ライド・ザ・バス軸だと絵札はそもそも排除するものであり積極的に引いたり増やしたりしたいものではないためグリーンジョーカー軸の方がマッチしている。それでも確実に絵札が来てさらに50%を突破できるかというと結構怪しいのでそこまで信頼はできない。なんならゴールデンジョーカー並みの収入どころか購入額分の元すら取れない場合すらある。ジョーカーは似たような性能でも売値に結構なバラつきはあるがこいつはゴールデンと同じ6$もするのである。しかしこういった金策ジョーカー自体はゲームシステム上の重要さに対してそもそも数が少なすぎるので使えるものは使いたい。

ToDoリスト(ラウンドごとにランダムに指定された役を出すと4$を得る・コモン)
①:低枚数役が指定されたら一攫千金のチャンス
②:継続的収入源とは考えにくい
他のジョーカーが長く手元に置いて十分な金額を得てからリリースするのに対し、こちらは指定された役がハイカードだったりしたラウンドで一気に大金を稼いで捨てるようなジョーカー。この指定される役自体は制御のしようがないのだが、低枚数ならでは出す・出さないカードの選択肢の広さを活かしてツーペアくらいならついでに狙ってしまいたい。売値4$・買取額2$と経済的な負担も少ない。

メールによる払い戻し(デッキ内のカードの比率に基づいてランダムで決まるランクを捨てると一枚ごとに5$を得る・コモン)
①:条件が合えば大量の金額を得られる
②:特定のカードにこだわらない低枚数役では何が指定されても問題ない
③:ディスカードしないことによる恩恵は受けられない
低枚数ビルドのみならず、他の役中心でも一気に経済状況を改善できる爆発力が売り。特定のランクを狙って排除するという行為が明確に不利になるケースというのはあまりなく、指定されたランクが他のジョーカーで得点源になるような場合なら素直にそれらを使ってさっさと抜けてしまえばいいというどっちに転んでもおいしい思いができるのがこのジョーカーの強みと言える。特に他の役だと突破のための役作りが主力になりその過程で偶然条件に合致したカードが捨てられていれば御の字と言った具合だが、何を出しても捨てても大差ない低枚数役ではターゲットがあれば捨て、なければ適当にカードを出して得点を詰めると臨機応変な対応ができる。もちろんディスカードを駆使する以上グリーンジョーカー軸との相性は極めて悪い。

で低枚数ビルドって何?

ざっくりと説明すると「グリーンジョーカー、ライド・ザ・バス(、超新星、スクエアジョーカー)の育成のために手加減して弱い手を大量に出し、出せるカードの柔軟性を活かして普通に使うには難がある倍率乗算ジョーカーをも主力に組み込み育った倍率を全力でぶちかます」というデッキと言える。
このような挙動で起きる有利として
①:どんなカードが来ようが大抵なんとかなり、デバフにも強い
そもそも得点されるカードが少なく、点数に貢献するのは強力になったジョーカーたちなのでランダム要素の強いカードがどうこうする余地がない。使ったカード次第で激しく火力が乱高下するということがなく、なんならデバフされていようが大して問題がない。
②:一部のボスに対してとても強い
何を出そうが変わらずデバフに強いということはすなわちボスにも強い。各スート・絵札・プレイ済みカード・ジョーカーを売るまで全デバフのデバフ系ボス7種類がほぼ無効化され、手札サイズ-1も出すカードが少ないので怖くない。裏向き系も基本的には無害。ディスカード0も探し当てるべきカードがそもそも存在せず、一種類の役しか出せないボスも手軽に役を作れるので脅威にはならない。全体的に大型役がさまざまな妨害に悶絶する横を涼しい顔で通り過ぎていける。
③:ステッカーに強い
高ステークではジョーカーに様々な悪影響を及ぼすステッカーが貼られる。だが育成が可能なジョーカーはいずれも摩耗ステッカーがつかず、主力として使う以上エターナルステッカーも問題ない。レンタルはさすがに序盤からだとどんなデッキでもきついのでそこはなんとかしてください
④:ノルマの高さを強さに転用できる
高ステークではノルマが2倍~4倍に跳ね上がるが、それにかかる大量のハンド消費をジョーカーの倍率に変えより先のブラインドへの対抗手段にできる。ホワイトステークなどではこの辺りが実感しにくいが、より激戦になるほど育つ余地があるという点で高難易度には適していると言える。
⑤:採用されるジョーカーにコモンが多く、ビルドを成立させやすい
このゲームには様々な役を使いこなすための様々なジョーカーが存在するが、その多くは主力のパーツがアンコモン以上であることが多くキーカードが見つかるまであり合わせのパーツだけで凌ぐという不安定なプレイになりやすい。一方低枚数は上のジョーカーリストに多くあるように、序盤から欲しいもののほとんどがコモンであり集めやすい。早々に頭数を揃えることで乗算倍率を見つけるまでの火力を先に担保し多くのショップを検索できる。
⑥:ジョーカーの育成を保ったまま他の役に移行も可能
役そのものを参照する超新星を除き、ジョーカーたちは出したカードの結果を参照して育つのであり、別にハイカードやペアを出したから育つわけではない。十分なデッキ改造と惑星カードが用意できたならそれらの強化を他の役で発揮させることももちろん可能である。オベリスクなどはその一例だが、低枚数役と同様連発を前提としたフラッシュ・有用なカードをコピーすることで副産物として可能になるフォーカードなど条件が整ったら狙えるものは多い。

などがある。
逆に弱点は
①:成長速度は遅く、一定
原則主力のジョーカーたちは1手で倍率+1であり、このままでは足りないという状況でもできることは愚直に育成を続けるしかない。主力を拾ったタイミング次第では全力を尽くしてなお至らないという場合もありうる。
②:序盤の金回りが悪い
役を出しまくって強化を行う以上、資金源である残りハンドからの収入はほとんど望めない。序盤からしっかり育成をしなければならないのにまとまった金を確保するという矛盾を実現する何らかの上振れがないと厳しい。
③:相性の悪いボスも少なからずいる
具体的にはニードル・目・壁・クリムゾンハート・バイオレットベッセルなど。安定性を確保することで無力化したボスがいる分、単発や総火力の強さを犠牲にしたことで不利になるボスも相応に存在する。
④:臨時の強化がしにくい
何を出しても火力が変わらないという利点の裏返しとも言える。普通と最善の状況に差ができにくく、惑星カードで役レベルを確保した上でのスチールカード大量搭載・絵札排除などの過程でできやすくなった大型役をぶち込むなど実現するのにコストのかかる手段を取らねば土壇場の火力は出ない。

など。
必ずしも中型・大型役の上位互換とは言い難いケースもある。しかしこのゲームはやりたい戦法をやるゲームではなく、見つけたジョーカーに合う戦法を実践するゲームなのだ。使える武器は多いに越したことはない。特に直感的に戦法にマッチするジョーカーが多い他の役と違い、低枚数役は間接的な利点の繋がりから採用されるものも多い。こういった知識を持ってゲームに臨めばまた違った景色が見えてくるだろう。

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