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〈ARK CEO/Cathie × 雇用統計 22年7月2日〉


こんにちは。ARK trade information (Twitter:@ActiveArk)です。

本日は7月2日に収録された、ARK CEO / cathie のマーケット説明をご紹介いたします。下記の動画(50分程度)を端的にまとめております。

本レポートは無料でお楽しみ頂けますが、記事を今後作成継続するか考えております。是非価値を感じて頂いた方はサポートお願いいたします☺

■はじめに

皆さん、こんにちは、Cathy woodです。2つのニュースがあります。悪いニュースは、FRBが非常に攻撃的になっていることです。良いニュースは、アメリカ経済が後退していることを確認するデータが出始めており、世界的な景気後退に突入しています。また、物価が下がってきているという指標もたくさんあります。そして誰もが心配しているインフレは、今の世界を見る上でかなり間違った見方だと思います。

私たちは、デフレの方がはるかに大きなリスクだと考えています。しかし70年代型のインフレシナリオに戻ると確信している人たちから、異議を唱えられました。私たちは株式や債券だけでなく、コモディティ価格、暗号資産、住宅価格さえも価格変動が起きており、多くの人々が大きなリスクはデフレだと結論付けるだろうと考えています。

FRBは今月末に0.75%利上げすると言っていますが、今月中にこれを見直すと思われます。企業の収益報告書やガイダンスが発表され、米国が景気後退に陥っていることが確認されるためです。

■金融政策

今のFRBは、経済よりも自らの遺産を心配しています。インフレの魔神を瓶から出してしまったこと、そしてそれを戻すことができないことを恐れているのです。そのため一致団結して引き締めを行い、インフレ率2%を無条件に約束したのです。

経済にはすでに多くのデフレが存在しており、デフレが加速している理由の一つは、FRBがシステムにショックを与えたからです。3ヶ月間で、FF金利は0.25%から1.75%になりました。これは7倍の上昇で、これまで見たことがありません。FRBはパニックに陥り、経済に多くの問題を引き起こしていると思います。

では、デフレのシグナルとは何なのでしょうか?最も明白なものの1つですが、クレジットデフォルトスワップ(CDS )が挙げられます。この保険価格が短期間で劇的に上昇した場合、私は注意を払います。5年物のCDを測定したところ、JPモルガンの場合、50から100まで上昇しています。そしてマネーセンターバンクの場合、48から102に上昇しました。JPモルガンは要塞のようなもので、倒産することはないでしょうが、一部の投資家は何かシステムリスク的なことが起きているのではないかと懸念しています。

次にイールドカーブについて、大概は横ばいですが、4月には一時的にマイナスになりました。第二次世界大戦後、イールドカーブが反転し、その後不況に陥りました。

さて今回取り上げたいのは、イールドカーブの歴史です。経済危機に陥ったとき、金融・財政当局は、経済を刺激するためにかなり大幅な緩和を行いました。このような場合、イールドカーブは2.5から3%の範囲で安定化します。その理由は、投資家が財政・金融刺激策によるインフレの影響を心配し始めるからです。コロナウィルスのときほど金融・財政政策が刺激的になったことはなく、世界経済が停止しただけで恐慌に突入すると思われていましたから。ですから、イールドカーブが1.5%にしかならなかったことに私は驚きました。これは債券市場がデフレの底流を心配し始めていたことを裏付けていると思います。

もうひとつ注意点があります。不況の最中にイールドカーブが150ベーシスポイントまでしか上昇しなかったのは、80年代初頭のことです。当時はインフレと金利が2ケタ台で猛威を振るっており、FRBは非常に厳しくなっていました。ドルはかなり劇的に上昇し、ルーブル合意ではアメリカの財務長官を含む世界中の財務省当局が集まって、「世界中にドルを供給しなければならないので、ドルを売って他の通貨を借り入れ、買い戻そう」という動きがありました。つまり、当時のドルは非常にデフレ的だったのです。

特に、ドル建ての負債を多く抱えていた新興国にとってはそうでした。通貨は暴落していましたが、負債はドル建てでしたから、負債を返済するのは非常に高くつきました。今、私たちは同じような状況にあるかもしれません。おそらくドルは昨年10%以上上昇しました。新興国市場の通貨が急落するなど、これは大きな動きです。80年代前半のように、世界のデフレの底流についてより多くのことを語っている可能性があります。ということで、注目すべき点でした。

6月のミシガン大学消費者心理指数では、消費者マインドが、かつてないほど低くなっていることが分かりました。特に高所得者層の消費マインドが落ち込んでいます。

このシリーズでもう一つ興味深いのは、インフレ期待値です。今後5年から10年のインフレ率について、3.1に修正されたのです。直近10年間の平均は3%前後です。つまりそれほど大きな変化はないのですが、金融市場ではインフレに対するヒステリーが起こっています。多くの著名な投資家が、「70年代の様なインフレだ」と言っていますが、彼らは間違っているのです。

■財政政策

連邦政府支出は前年比で20%減少していますが、これほど多くの景気刺激策が実施されてきたのですから、これは理にかなっています。そして今、その巻き戻しが起きています。しかし、70年代のようなインフレ問題には決して陥らないという考えます。

70年代の問題は、1964年に始まったベトナム戦争や、金本位制からの離脱に起因しています。今の私達は今あるものを使って、景気刺激策を打ち出しており、70年代との大きな違いといえます。このような事態を招いた大きな原因は、民主党のマンチン上院議員やシネマ上院議員だと考えています。特にマンチン上院議員は、財政赤字をインフレと結びつけて考えています。

■経済

経済は2つのことが変化しており、これは連邦政府が頭を抱える内容になっています。1つは雇用で、レイオフの話が出ています。初期失業保険申請件数は、4月1日の16万7000件から23万1000件に35%増加しています。もう1つは住宅で、確実に勢いを失いつつあります。

加えて先月発表されたデータで不思議だったのは、第1四半期のGDP改定値です。第1四半期の実質消費が3.1%から1.8%に改定されたことです。これは成長がほぼ半分になっており、これほど大きな調整は見たことがありません。これは消費者の購買意欲が減退していることが原因だと思います。具体的には、ウォルマートで33%、ターゲットで42%、コストコで26%、ホームデポは32%在庫が増加しています。棚を空にするためには値下げをするほかなく、これはデフレにつながります。

6月10日に発表された消費者物価指数(CPI)は予想よりも高く、前年比8.6%増、前四半期比1%増となりました。そして6月14日に発表されたPPIは前年比10.8%で0.8%増であり、これらはFRBが見ている指標です。

インフレ率に関しては金価格を見ます。2年間1700〜2100ドル弱の取引レンジで推移しており、今日は1805ドルです。これは大規模な緩和前の1200ドルからは高い値です。しかし私がデフレという言葉を使うときは、取引レンジの下限に近づいていることを意味しており、それが今目の前の状況です。私はどの商品よりも金を信頼しており、正しいシグナルを出してくれると思っています。

金は取引レンジの下限にあります。レンジ相場について考えるとき、金は上方へブレイクアウトしていません。これは私がこれまで株式の取引をしてきた中で、大きな取引レンジがあるときに非常に役に立ちました。テスラについても、ある時、大きなレンジ相場でのポジションを説明するときに、この方法を使いました。つまり、強気派と弱気派が互いに争っているということです。大きな論争があり、どちらかの陣営が正しいという結論になりそうです。テスラの場合、幸いにも私たちは大正解でした。

金の場合は、その範囲の下限にいるようです。ブレイクダウンするかどうか見守りましょう。もしFRBが引き締めを続ければ、デフレの鐘を鳴らすことになります。

そして今日は、サプライチェーンマネージャーレポートが発表されました。結果は悪く、受注のマイナスや在庫が膨らんでいるのは納得できました。次に製造業の総合指数は、1年前の3月に63.7に対して、現在は53です。50は拡大と縮小の間の境界点といえますが、負の領域に低下しているともいえます。例えばDRAM価格は下がっていますし、昨夜のマイクロンの発表ではPCとスマートフォンの2つの分野が非常に弱く、数字を大きく修正しなければならないことがわかりました。PCは0%成長の達成ができず、スマートフォンは5%成長予想に対し、今期は5%減となる見込みです。

■株式市場

S&P500は20%減 NASDAQは約30%減と、1962年以来これほどまでに悪い年を迎えていません。債券に至っては、これまでの人生で最悪のパフォーマンスでした。1788年以来の最悪の記録を達成するためには、債券をバラバラにしなければなりません。投資家にとっては非常に荒い市場であり、FRBはPPIやCPIと呼ばれる遅行指標を通じて、多くのシグナルを受けとっているはずです。多くの企業は、来月の決算報告で景気後退を示唆することになるでしょうから、FRBは二の足を踏むと思います。

■仮想通貨

この1ヶ月は信じられないような月であり、市場ではシステム崩壊の懸念が蔓延しています。ビットコインは11月に69,000ドルでピークを迎えましたが、現在は19,500ドルです。COVID前の7000~10,000ドルのレンジよりまだ高いです。今はちょうど22,017ドルの高値を超えようとしているところで、200週移動平均線の22,500ドルがサポートになる可能性があります。

暗号市場を全く理解していない人達は、ただテクニカルな情報を持っているだけです。しかし私は暗号資産がかなり良い状態だと言っています。私たちはビットコインに対して、中立からポジティブな見方をしています。暗号のエコシステムに対する信頼が高まっており、伝統的な金融市場よりも信頼されていると思います。銀行のCDSが上昇する理由は、利回りを追求するあまり、レバレッジが高くなりますが、暗号市場は利回り追求が行き過ぎていることを警告しています。

今は悪いニュースが良いニュースになっています。夜明け前が一番暗いのはいつものことで、私たちは一番暗い場所を通り過ぎたと思っています。


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