見出し画像

〈ARK CEO/Cathie × 雇用統計 22年3月4日〉

こんにちは。ARK trade information (Twitter:@ActiveArk)です。

本日は3月4日に収録された、ARK CEO / cathie のマーケット説明をご紹介いたします。下記の動画(33分程度)を端的にまとめております。

本レポートは無料でお楽しみ頂けますが、記事を今後作成継続するか考えております。是非価値を感じて頂いた方はサポートお願いいたします☺

………

■冒頭

ウクライナでの出来事は、耐え難いほど心が痛みます。我々も微力ながら協力するため、ウクライナのために特別なTシャツを用意しています。私たちが得た利益はすべてチャリティーに使われます。

このウェブキャストでは、財政政策、金融政策、経済指標、市場指標、イノベーションにまつわる説明をします。

私はCOVID発生当時、87年の株式市場の暴落によく似ているという観点で見ていました。私が言いたいことは、これらの衝撃の後トレンドは戻ってくる傾向にあるということです。

しかしこの1年、私たちは少し違った種類のショックを経験しているように感じます。それはインフレと金利の恐怖に関連しており、バリュエーションが破壊されています。この様な混乱期には投資の時間軸が短くなることも理解しています。しかし、私たちは5年間の投資期間を考慮しており、言い換えれば、(投資対象の成長により)バリュエーションは劇的に圧縮され、EBITDAに対する企業価値で言えば18-19倍の範囲に収まるという前提に立っています。

ロシアとウクライナで起きていることは、昨年2月に始まった高バリュエーション株へのショックに拍車をかけていると考えています。そして金利上昇とインフレ上昇が、税金のように作用していることを人々が理解できるような時期に移行していると考えています。

また消費が劇的に減速していることについては、しばらく前から話してきました。小売売上高を見ると、10月以降劇的な減速が見られ、在庫が積み上がり始めています。これに加えて、ロシアとウクライナの戦争により、エネルギーの高騰と食料不足が非常に深刻な事態になっています。これは消費者、特に低所得者層に対する深刻な課税であり、消費者心理が大きく崩れている理由の一つになると考えます。

■金融政策

今週パウエル議長は、FRBは金利を引き上げるだろうと述べました。証言の中で質問を受けた際、70年代のような積極的なインフレが起きるだろうとも述べました。しかし70年代に活躍した投資家の多くは、予想以上に高いインフレ率はマーケットに織り込み済みだと予測しているようですが。なぜそうなるのでしょうか?

70年代のインフレ速度について調べると、64年の4Qから81年の1Qまでで、6回の四半期で増加していました。M2は21%増加しました。 つまり経済の中でお金が回転する速度が多いという事は、少なくともその当時は、多くの人が製品を買い求めたということです。収入が増えればすぐに物価や金利が上がるのを恐れて、できるだけ早く商品やサービスを、特に自動車などの耐久消費財を買い求めたのです。

まとめると、金利や物価が上昇する前にお金を使い切らなければならないという考えがありました。しかし足元では、過去12カ月から18カ月の間、金利は横ばい、物価は上昇せず、消費者心理が下がることを示唆しています。その上、お金の成長率は2020年の27%という高水準から、ここ3ヶ月で一桁台前半まで減速しています。ですから、劇的なお金の伸びが減速していると考えています。

■雇用統計

雇用統計は、非常に強いものでした。非農業部門雇用者数は67.8万人(予想は48.1万人)でした。そして、家計調査も同様に50万人を超える強い結果となりました。昨年末にオミクロン株が広がったこともあり、季節的な要因があったのかどうかはわかりません。

一方、今回衝撃的だったのは賃金です。予想していたような高い水準ではありませんでした。平均時給が横ばいであったことから、働き手の供給量の増加がすでに作用しているかもしれません。平均時給は横ばいでしたが、前年同期比では5.1%上昇しています。これは非常に興味深く、おそらく私がこのレポートで得た最大の収穫でした。

今回の雇用統計で私たちが注目している指標のひとつは、エネルギー消費です。08-09年以来見たことのない高値に達しています。これは購買力と消費者心理の問題に直結し、不況に突入したと考えられます。今日、ホワイトハウスがロシアからの輸入禁止を提案しています。ロシアからの輸入は、エネルギー輸入のおよそ3%を占めています。これは更なる問題を引き起こし、物価上昇の要因の一つとなるでしょう

消費者心理は悪化の一途をたどっています。ミシガン大学消費者心理指数の指標を見ると、自動車は最も循環的なセクターの一つですが、その消費者心理は下がり続けています。一方、1月の自動車販売台数は、12.4%から21.5%に上昇しました。これは、自動車メーカーが半導体をようやく手に入れたことが要因だと考えています。今週は、自動車販売台数が再び減少したとの報道がありました。ですから自動車部門がV字回復に向かうという希望は、全くないと考えています。

住宅は依然として好調を維持しています。多くの人が家を待ち望んでいることから、遅行指標になるかもしれません。
設備投資は堅調です。世界のデジタル化のスピードがはるかに速いので、これは必要なことだと考えています。また貿易の面では、何が起こるかわかりませんが、輸入は非常に好調に推移すると思われます。

一方で良いニュースの一つは、生産性の数字が非常に強いということです。少なくとも前四半期の生産性上昇率は6.6%でした。その結果、単位労働コストは0.9%の増加にとどまりました。

■株式市場

S&P500の1年前からの上位と下位のセクターをお見せします。エネルギーは唯一上昇しているセクターで、33%上昇しています。消費財と公益事業が上位3つを埋めていますが、ほんの少ししか下がっていません。

消費財は非常に守備的なセクターで、投資家が経済について多少心配になってきていることを物語っています。また金利が下がると、公益事業の配当利回りはますます良く見えます。そのためアウトパフォームする傾向があります。

■債権市場、暗号資産、その他

債権市場について、短期金利は最近かなり上がっていますが、長期金利はそれほど上がっていないので、イールドカーブは25ベーシスポイントまで圧縮されています。これはFRBが引き締めすぎ、実質成長率が期待外れとなり、インフレ率が予想より低くなる兆候であることを意味します。

高利回り債の利回りは上昇していますが、まだ急騰はしてません。しかし、ここから急激に上昇すると、一部の企業が債務返済を困難に感じていることを示唆する領域に入ることになります。

興味深いことに、商品価格の上昇はドル高に直面しています。ドルは安全通貨への逃避として上昇しているのでしょう。例えばロシアとウクライナの問題がより明白になった1月末からドルは約2.5%上昇しています。またBitcoinは6.1%、金は4.3%上昇しています。Bitcoinの様な暗号資産は今イノベーションによる問題解決に活かされています。

暗号資産は中立的な技術プラットフォームとしての価値を証明しつつあります。ウクライナにBitcoinが寄付されていることや、ルーブルが暴落するのを見てるロシア市民は、Bitcoinを通貨ヘッジとして見ています。

ポーランドで無料のスーパーチャージャーを提供しているTeslaを代表として、電気自動車は石油の需要破壊に貢献することになるでしょう。特にロボタクシーは、1日のうち50~60%は道路を走行するようになると思います。

私たちは、ソーシャルプラットフォームがリアルタイムの最新情報を提供し、そこで起きている恐怖を垣間見ることができます。そのため、金融機関などには、ロシアとの取引をボイコットしたり停止したりするような大きな圧力がかかっていると思います。このような侵略を望まないロシア国民にとっては、たまったものではありません。

しかし、金融システムがこのように利用されるのは初めてではないでしょうか。またスターリンクも同様です。ウクライナの大統領がイーロン・マスクに連絡し、「私たちは通信を遮断されている」と言ったと思います。そしてイーロンはスターリンクを救助に送り出しました。このように、スターリンクを経由して、私たちは被災者の方々と連絡を取り続けることができるのです。そしてまた、世界中の誰もがウクライナが経験している恐怖を目の当たりにしています。

医療面ではバタフライという会社が、医療のトリアージや緊急対応に必要な超音波を何百、何千と送っています。危険物、生物兵器、汚染物質、汚染物質を現場で検出できる、モバイル質量分析装置を提供する企業もいます。このように多くの企業が、自分たちにできることをやってこの活動を支援しています。

株式市場は技術革新の世界で起こっていることを評価していませんが、実際は全く逆です。民間市場は、コロナウイルス危機やサプライチェーンの問題、ウクライナでの問題を解決しています。

最後に、ウクライナのことを考えると心が重くなることを申し上げたい。ウクライナの人々、そしてこの件に関わりたくないと思っているロシアの人々のために祈ります。

ここから先は

20字

¥ 300

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

当方のNoteは無料で執筆をさせて頂いております。 もし宜しければ執筆継続のためにサポート頂けますと 大変励みになります。