はじめての福岡、はじめての一人旅

note初投稿。



昨今はInstagramが流行っていて、写真と文章を合わせた記録も悪くはないけど、写真はともかく、日本語で紡がれる雅さや繊細さが好きなので、文字通り「instant」な文章はあんまり性に合わない。
じゃあTwitterはと言うと、140字に収めるテクニックも無いし、こんな旅の思い出を記すというよりはもっとフラットなコンテンツな気がする。
てなわけでnoteにたどり着く。


前置きはほどほどに。話は本題へ。
タイトルには「はじめての福岡」とあるが、実際は3回目。「ほな、3回目って書けよ!」て話にはなるけど、1回目は幼少の頃、甘木に祖父のお葬式で。2回目は高校生、糸島に入試で。

と、観光とは程遠い名目で行ってる上に、福岡の中心ともかけ離れた場所なので、しっかり福岡市内を回ったのは今回が初。

そして何より大事なのは「ひとり」の旅行であったということ。

友だちを誘おうと思えば誘えたはず!そこをあえて「ひとり旅」で決行したわけで。何故なのか。


元々、高校生の頃からリュック片手にバックパッカーとして海外を回るのが1つの夢だった。
ありふれたメディアの情報じゃなくて、自分の目や肌で感じたかった。ガイドブックに載る綺麗な景色も、それとは逆の誰もフォーカスしない景色も、人も、食べ物も、文化も。

でも、世界は未知なるウイルスに犯され、それを許してくれる状況では無くなってしまった。

だからと言って、

どんな時もできないからと文句を言って終わるのは違う気がして、
できないならできないなりにできる限りのことを!というわけで、緊急事態宣言の合間を見計らって国内の福岡へ行こうと思い立った訳である。



結論から述べると福岡の旅は、楽しさとチル感で満ち満ちていた。
食の都だけあって食べるもの1つ1つに舌鼓を打ったのはもちろんのこと、大濠公園、福岡市美術館、太宰府天満宮等々、自分の足で歩くことで福岡の良さを直に感じた。胸が熱くなることもしばしば。

その中でもあえて印象的なエピソードを挙げるとすると、2日目の夜の話。

晩御飯には宿の人におすすめされた餃子を食べることにした。パリパリでジューシーな餃子は間違いなく100点満点。飛ぶぞ案件。

しかしええ思いするのにはそれなりにちゃんと代償を払わないかんくて、皮の中にはニンニクたっぷり。食べ終わった後の口の匂いたるや。

だからその後は、口直しに甘いものでも食べたい気分になった。餃子屋の近くにはアイスクリーム屋とみんな大好きバスキン・ロビンス。せっかくなので、地元にはない前者に立ち寄ることにした。

アイスクリーム屋は券売機方式で、券売機がある位置は店員さんも見えるため、他にお客さんはいなかったけれど、私がその前に立った時点で、それまでダルそうに座っていた店員さんも立ち上がった。

お店定番のソフトクリームは500円。

そうか、500円か。と思い、小銭の投入口へチャリンっとお金を入れる。ソフトクリームの文字が書かれたボタンに手を伸ばして、そのまま押s…。


…っいや、押さない!!!!!!!!!

それまで福岡に着いてからは、美味しいものを食べるのに金額はそこまで気にしなかった。しかし、そのソフトクリームに限っては、夢の国の帰りの電車でキャラクターの被り物を外すときのように、ハッと我にかえって現実を見た。

「500円あったら、さっき迷ったサーティ○ンでダブルのおっきいやつ食べれるやん!!」

ケチかもしれないけど、なんの変哲もないソフトクリームの500円はどうしても許せず、券売機に入れたお金を取り出し、そそくさとその場を去った。わざわざ立ち上がった店員さんは、当然渋い顔をしていた。

そして結局先程のバスキンの方に向かった。

ら、某ウイルスの影響で臨時休業。

肩を落としたけど、あの店員さんの顔を見た後でさっきのアイスクリーム屋に戻る気持ちにはなれなかった。ここまできたらと意地になって、近くの店を探す。

徒歩10分ほどのところにジェラート屋があった。もうこれも福岡なんて関係ない、きっとどこにでもある。それでも口の中の餃子を消したい一心で、その店に向かった。



ら、某ウイルスの影響で臨時休業。
人生ゲームなん?双六振って進めたはいいけど、2つ前に戻るの状態やん?と言わんばかりの追い討ちだった。

流石に3軒目ともなると諦めるフェーズ。口にはニンニク臭を残したまま、宿への帰路についた。


最寄りの駅に着いた時、水を買うためにコンビニに寄ることにした。そのときにはもう甘いものを欲してはいなかったけど、アイスコーナーを横切ったとき、1つの商品に目がいった。

「竹下のブラックモンブラン」の棒アイス。

驚いて「うぇっ?!」と変な声が出た。九州ローカルお菓子の「竹下のブラックモンブラン」をアイス商品化したものだが、何を隠そう敬愛するアイスマン福留(有名だと思いたい)が紹介していたことで、九州に行った際には是非食べたいと思っていた商品。旅行中何度かコンビニにも入ったけど、2日目の夜にしてはじめて目にしたので迷わず購入。

少し興奮気味にすぐに外で封を開け、チョコレートとクッキークランチでコーティングされた塊を口に運んだ。

福岡に着いてから色々なものを口にしたけど、本当に感動した。それまでのアイスを食べられなかった苦労も相まったのかもしれない。でも爽やかな甘すぎない味が、ずっと口に居座っていた餃子を消し去ったのは事実だ。後退した人生ゲームもしっかりゴールまで駒進めたやん?と言わんばかりの天国だった。


兎にも角にも、2泊3日の福岡ひとり旅は無事に幕を閉じ、非常に意義ある時間を過ごせた。






コロナ禍の日々は荒削りで重苦しく、何も考えなければ、残るのは負の感情や後悔ばかり。


でも、きっと。こんな状況でも。ひとり旅をした気持ちを大切に。前向きに、丁寧に。考えるのをやめないことがその重苦しさを取り払ってくれるんじゃないかと、そうやって1日1日を頑張りたいと思ったりする。



あの夜、ニンニクの匂いがする重い口を取り払ってくれた竹下のブラックモンブランアイスのごとく!

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