見出し画像

必要以上に、自分を消耗しなくてもいいのかもしれない。

私は現在、ルワンダで陸上競技のコーチをしています。
そんな私のリフレッシュの場の1つが、聖歌隊です。

毎週火・金曜日、18:00から練習があります。
たまに、日曜日に教会のミサで歌を歌います。

今日は、同じく聖歌隊メンバーで同じくアルトパートの女性のお話。

彼女はたま〜に練習に現れる。
甘くて、南国の香りがする香水をつけている。

学生時代に沖縄で合宿をしていた時、ホテルのロビーの匂いと似ていて、懐かしい気持ちになる。

聖歌隊では、3週に1度新しい曲の練習をする。
彼女は新しい曲でも、楽譜を見ず、感覚で歌う。

「この曲元々知っているの?」と聞いてみた。
「知らないよ!でも、そのうち歌えるようになるから〜。」と。

・・・いやあ、まあ確かにそうだけどさ(笑)

大体遅れてくるから、わからない箇所は歌わず、
和やかな表情でボーッとしている。

そして、歌うことに疲れたら、練習中であったとしても座る。
地面でも椅子でもどこでも座る。

私の分も任せたよ〜という感じで、メンバーの1人とハイタッチして、
歌うのをやめ、今まで見たことないような大きなあくびをして、周りが歌う様子を眺めている。

その姿を見て「眠たいの?」と私が聞くと「へへッ」って笑う。

指揮者が、全体に向けて「各自練習してくるように!」と話しているときには、やれやれ、また始まった・・・という表情をする。

練習がグダッていると、こっそり抜け出して、帰ることもある。

合唱コンクールや学園祭の出し物を行うときに、
クラスに1人は必ずいる「ねえ!みんな真剣にやって!」という生徒。
その生徒が、彼女の様子を見たら、確実にイライラするだろう。

でも、教会のミサで彼女が気を抜くことは決してない。
堂々と、そして、楽しそうに歌う。

初めてミサで歌う日に、私はとても緊張していた。
練習に行き始めた週末だったので、うろ覚え状態だったから。

彼女が隣に座ってくれて「ここ歌ってみ!」
・・・歌う・・・
「ほら、大丈夫じゃん!」と手を握ってくれた。

また、彼女が話を始めると、メンバー全員が笑顔になる。
なぜか彼女の顔を見ると、こちらも笑顔になる。
いい意味で気が抜ける。

不思議な力だ。


最近、活動の中で、自分ではコントロールできないような課題がいくつもあり「自分がなんとかしなきゃ。」「とにかく行動しなきゃ」と焦りや不安で、気が張ってしまい、思い悩むことがある。

活動で悩めること自体、ものすごく幸せなことなんだけど。

彼女の姿を見ていると、「もっと自由に、気楽に生きよ〜。そんなに悩んで、考えてたって、仕方ないよ〜。コントロールできるものに目を向けよう」って思える。

どうしようもないことは置いておいて、自分の赴くままに、
もっとラフに生きてもいいのかも。

全てのことに意味はあるけど、自分を必要以上に消耗する必要はないのかもしれない。

力を抜くところは抜いて、力を発揮する場面を見極めて、最大限の力を発揮する。

文化も価値観も、育った背景が異なる人々の姿から学ぶことはとても多い。

まあ、彼女は力を抜き過ぎているのかもしれないけど(笑)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?