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アメリカの2年制大学~なぜ日本人アスリートのスポーツ留学スタート場所としておすすめなのか

前回 
NCAAとはどういう組織か&スポーツ留学したい日本人アスリートがNCAAディビジョン1でプレイするためにクリアしなければいけない条件とは
というタイトルでNCAAについてお話しましたが、アメリカの大学スポーツ留学先はNCAAだけではありません。

NCAA以外の組織は4年制大学のNAIA、2年制大学ではNJCAA, NWAC, CCCAAという連盟があります。

本日は、2年制大学運動部をまとめる連盟についておよびそしてこの2年制大学が日本人アスリートがスポーツ留学をスタートさせるにはお勧めである、という話をします。NAIAについてはまた別の機会でご説明します。

2年制大学の運動部連盟  NWAC, CCCAA,NJCAA,

日本では2年制大学での体育会スポーツというのは一部の限られた運動部を除き、あまりなじみがないかと思いますが、アメリカでは2年制大学で男女ともにさまざまなスポーツで本格的に行われています。

その2年制大学でNCAAにあたるアスリートを統括する組織はNWAC, CCCAA, NJCAA, があります。

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↑ホームアンドアウエーで公式戦が行われ、内野天然芝のきれいなホーム球場を校内に備える2年制大学は珍しくありません。

どこの連盟も基本的にNCAAのように競技をひとくくりにまとめ統括した組織で、ルール・仕組みも前回お伝えしたようなNCAAのものをベースに作られています。順番に紹介していきます。

NWAC    North West Athletic Conference 

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おもにワシントン州、オレゴン州の2年制大学が加盟。加えてアイダホ州・カナダBC州の一部が所属している連盟。
36校が加盟*  https://nwacsports.com/landing/index


CCCAA California Community College Athletic Association

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カリフォルニア州の2年制大学で構成されている連盟
106校が加盟*  https://www.cccaasports.org/landing/index


NJCAA National Junior College Athletic Association

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NWAC,CCCAA所属校を除いた全米の2年制大学を統括する連盟。
413校が加盟*  https://www.njcaa.org/landing/index


*・・・上記加盟数は各連盟のホームページに記載。総数が記載されていない場合は根本が手計算で数えたもの


2年制大学のレベルは

「2年制大学のレベルはどうなのか」という質問はよく受けます。レベルに関して、チームの総合力としてはNCAAディビジョン1のトップクラスのチームにはかなわないですが、競技によっては2年制大のトップレベルのチームはディビジョン1のチームを倒すぐらいの実力のあるところもあります。

特に野球では2年制大学の選手は1年生からメジャーリーグドラフトの対象となることや、(4年制大学は3年生または21歳になるまでメジャーリーグドラフト対象にならない)、4年制大学リーグは木バットでなく、低反発の金属バットを使用するため、木バットリーグでのプレイを求め、あえて2年制大学のリーグを選ぶこともあります。(2年制大学でも木バットリーグはNWACやNJCAAのアリゾナのリーグなど一部のリーグに限られています。)

野茂選手の女房役を務めたマイク・ピアザ選手(元ドジャース)や最近では2015年ナショナルリーグMVP、ブライス・ハーパー選手(フィリーズ)などメジャーリーグのスター選手も2年制大学出身。メジャーリーグドラフト指名候補の選手が各地で在籍しているリーグと言えます。


2年制大学連盟でプレイするための条件

日本人アスリートが2年制大学連盟でプレイするためにクリアすべき条件は、高校の成績がGPAが2.0以上。

これのみです。NCAAのようにSAT/ACTというテストや中学3年時の成績も求められません。過去は取り戻せませんから、中学時代の成績はひどかった、、という選手はひとまず安心です。

日本人アスリートは2年制大学からスタートがおすすめ

上記及びその他の要素もあいまって、アメリカの大学でスポーツ留学を目指す日本人アスリートには高校卒業後、NCAAの4年制大ではなく、2年制大から留学生活をスタートがおすすめです。それは次のような理由からです。

日本人アスリートに2年制大学からのスポーツ留学スタートがおすすめの理由


①SAT不要、中学高校での一定以上の成績不要


前回お伝えしたようにNCAAで選手資格を得るためには中学・高校の成績証明書及びSAT(ACT)というテストの点が必要ですが、2年制大リーグではSAT(ACT)も中高での一定以上の成績も不要です。(2年制大は選手資格としては不要ですが、たいていの大学で入学のための出願書類として高校の成績を求められます)

②英語力がなくても練習参加・公式戦出場が可能な学校がある。あるいは英語力の基準が低め


日本人アスリートのスポーツ留学に2年制大学スタートをお勧めする一番の理由はこれです。
2年制大でも、NCAAやNAIAのように、一定以上の英語力がないと試合そして練習ができない学校が多数派なのですが、一部の限られた学校では英語力がなくても練習参加さらには公式戦出場が可能です。日本人高校生アスリートはアメリカの大学でアメリカ人と一緒に授業を受けられるレベルの英語力を持っていないことがほとんどかと思いますが、そのような英語力に自信がない選手でもプレイ資格を得られるチャンスがあるのが2年制大学リーグの特徴です。
ただし、2年制大学でも一定の英語力がなく、大学生の授業が取れず、ESL等呼ばれる語学プログラムに在籍では公式戦出場ができない所が多数派です。またプレイできるところでもESLは大学の卒業単位にならないので、英語力を向上させできるだけ早くESLを抜けて大学の卒業単位を取る過程に進まないと後述の4年大の編入にも影響してきますので注意が必要です。

③4年制大より1年目から出れるチャンスがある。


1年生から4年生まで在籍しているNCAAのチームより、2学年しかない2年制大の方が1年生の時から試合に出れるチャンスが大いにあるのは直感的にわかるかと思います。
2年制大学のコーチの方も1年目からの起用を想定しスカウトすることは珍しくありません。

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↑女子バスケ留学のななやさんも一年目からメンバー入りし活躍しました。

④2年制大から4年制大(3年次)へ編入がしやすい。さらに2年大での活躍により編入先の4年制大で奨学金獲得のチャンスがある。


タイトルの通り、アメリカの大学はアスリートであるかどうかに関わらず、2年制大から4年制大への編入というのが日本と比べものにならないくらいに一般的なものとして認識され、制度としても編入しやすい仕組みが整っています。
そして各部のコーチも、アメリカの4年制大学は高校生だけでなく2年制大学選手もスカウト対象として活動し、2年制大学で活躍した選手に奨学金オファーをすることは日常茶飯事に行われています。
2年制大アスリートのほとんどは4年制大学での奨学金獲得を目標にして頑張っているといっても過言ではないでしょう。

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2年制大学で大活躍しNJCAAの全体のベストナインセカンドチームに選ばれた早貴子さん。2年大のあと4年大へ全額奨学金獲得で編入しました。

⑤奨学金獲得を受けやすい背景


奨学金獲得競争の激しいNCAAのコーチにとっては日本の高校の試合、実際に日本人選手を見る機会がほとんどないため、評価が難しくなります。評価が難しいのは日本人選手の高校時代のプレイ情報がほとんどないか、かなり限られているからです。前回、奨学金は投資という話をしました。評価が難しい選手に奨学金を出すことが難しいのは投資の観点からもおわかりになるかと思います。

2年制大学でのプレイにより、アメリカでのプレイが実際に見れたり、公式戦での好成績の結果で計算が立つということで、コーチにとっては評価がしやすく、評価が高まれば奨学金の判断を下しやすくなります。

また、2年制大ではNCAAほどでないとしても一定以上の学業成績が選手資格獲得に求められているため、実際に2年大に在籍しているということは全く英語が話せないということの裏返しとなり、安心材料にもなります。
ただし、前述の大学単位取得前のESL課程でもプレイできる大学で、実際にそのESL課程に属していた場合に、編入後、学業面でプレイに支障がある等の判断を下され、奨学金・スカウトオファーを見送るということはよろしくないパターンの典型です。そうならないように渡米前から英語力を上げておくことに越したことはありません。

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↑ 2年制大学での活躍によりNCAAディビジョン1セントボナベンチャー大へ全額奨学金で編入した大賜君


全国トップクラス選手であれば高卒1年目からNCAAD1D2にチャンス!
なお、ここまでの2年制大推しとは矛盾しますが、もし全国トップクラスの選手であれば、2年制大学からスタートではなくNCAAに直でチャレンジしてみてはどうでしょう。
そういった場合は、競技にもよりますが、日本人でも1年目から奨学金というチャンスはあるといえます。渡米までの間に英語を一生懸命頑張る気持ちがあれば尚良しです。
アスリートブランド生でも、陸上、サッカーで1年目からNCAAディビジョン1~全額奨学金(学費全額含)を獲得した選手の交渉・サポート実績が既にあります。


いずれにしても、最終的には選手に対するコーチの評価・入部の機会が得られないと始まらないですのでまずはご相談ください。


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