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アメリカなのにチームメンバー出身国はヨーロッパ中心に10か国。アメリカ人はゼロ。~NCAA D1 アメリカ大学水球留学体験談(上)

【アスリートブランド留学生に聞く!】シリーズ!

以前、NCAAD1へ陸上留学している陽季君の話を伺いましたが、アスリートブランドのスポーツ留学生にお話を伺うのをシリーズ化して、不定期でお届けしたいと思います。

今回は昨年春、千葉県の公立高校を卒業し、秋からNCAA D1 St Francis大に水球留学している健志郎君からお話を伺いました。水球は秋が公式戦シーズンですので、渡米後まもなくシーズンに入るというハードスケジュールとなります。1年目のシーズンを終え、現在はオフシーズンに入っている健志郎君にいろいろお話を伺っていきます。

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AB(アスリートブランド):健志郎君の留学先はニューヨーク州ブルックリン。マンハッタンにもほど近いエリアですが、ニューヨークに到着した最初の1週間の印象はどうでしたか?

健志郎君:ニューヨークに来た当初の感想は、僕が思っていたニューヨークはタイムズスクエアのような感じでとにかく華やかなイメージがあったんです。到着して数日後にはタイムズスクエアに実際に行ったのですが、その時は写真で見た通りかそれ以上の綺麗さで、かえって、自分が本当にこんなところにいるんだという実感が湧きませんでした。しかしそのような観光地以外の街を周って見わたしてみると、これまで想像するような街並みではなくリアルな部分が知れ、実感がわいてきました。

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AB:具体的には?
健志郎君:落ちてるごみの量とか。日本の感覚からするとクレイジーな感じな人に出会うようになったりするなどです。例えば、夜に外向きにスピーカーつけて爆音流して走っている車とか。最初は慣れずに寝れませんでしたが、今はもう慣れました笑 


AB:今はどんなところにお住まいですか?

健志郎君:学校から地下鉄で15分くらいのところのアパートにルームシェアしています。
僕も入れて全部で4人。
以前は、水球部OBで大学の職員、同じ大学に通っている水球部のコーチの弟(水球部でない)、スペイン人チームメイトがったのですが、いまは、チームメイトが去り、別のスペイン人が入居しています。
国籍ではブラジル人、セルビア人、スペイン人、そして日本人の僕と皆バラバラです。

AB:水球部のメンバーもいろんな国から来ていますか?

健志郎君:はい。水球部の部員は全部で20名ほどで、10か国からきています。セルビア、スペイン、ハンガリー、イタリア、ニュージーランド、フランス、イギリス、ジャマイカ、ギリシャ、そして日本。

AB:アメリカ人が一人もいないですね

健志郎君:そうなんです。ほかの大学は大半がアメリカ人でそれ以外がむしろ少数派なので、ほかの大学と比べてもかなり珍しいです。一方でヨーロッパで水球がかなり人気があることがうかがえます。
チームメイトがヨーロッパを中心にいろんな国の人が集まっているので、いろいろな国の考え方を知ることができることはとてもいいのですが、アメリカにいるのにアメリカ人の人脈づくりに苦労していて、アメリカ人との交流の機会が少なめなのが留学前に思っていたこととちょっと違いました。

AB:水球は秋のシーズンなので、到着後まもなく練習・試合が始まっていくのですが、実際にはどうでしたか

健志郎君: NCAAでチーム練習できる期間が決まっているので到着して最初は、コーチのいない自主練中心でした。各自シュート練習していたのですが、その時点ですでにかなりのレベルの高さを感じました。
実際に、メンバーには各国でU19 代表になっている選手が半分以上いました。
合流前はもっと背の高い選手が集まっていると想像していましたが、そこまでではなかったです。ただ横幅だったり、骨格だったり、筋肉だけでなく、そもそも体のつくりが大きいという選手が多いです。
あと、サイドのポジションは小柄で速く泳げる選手が揃っているなど、ポジションによって求められる能力が分かれていました。

AB:健志郎君のポジションはゴーリー(ゴールキーパー)ですが、ゴーリーのメンバーは?

健志郎君:ゴーリーは5人いましたが、一人辞めて4人でシーズンを過ごしました。
3年生にのセルビア人に、カンファレンス優秀選手に選ばれるようなすごい選手がレギュラーとしているのと、他のポジションが試合中にどんどん交代していくスタイルに比べ、ゴーリーは試合中の交代というのはそれほど頻繁に起こらないので、プレイングタイム獲得はなかなか大変でした。
それでも、タイミングタイミングで出場機会を与えられて、全く試合に出れず、ベンチにずっといた、というわけではなかったです。

AB:実際に試合に出てどうでしたか

健志郎君:それなりにできたと思います。周りのチームメイトの水球IQが高いので、やりやすかったようにも感じました。
ただ、キーパーは指示を出さないといけなく、英語でとっさに指示を出すのが難しかったです。

AB:秋シーズンの1週間のスケジュールはどんなものでしたか
健志郎君:シーズンは試合が週末に3-4試合まとめてあります。ホームとアウエィで行われますが、アウェイに行くことが多かった印象です。
試合明けの月曜は休み。火曜~金曜の午後5時半~8時に練習。また火曜と木曜の午前にジムでのトレーニングが1時間あります。みなその練習時間に合わせて履修登録を行い授業にかぶらないようにします。金曜は遠征のための移動も多いので金曜の授業は登録しません。午前中に練習して遠征のバスに乗り込むということもよくありました。

AB:遠征で最長どのくらいの時間かかりましたか

健志郎君:、ハーバード大への遠征が一番長かったですかね。それでも5時間ぐらいですかね

AB:ハーバードとやるんですね

健志郎君:はい。うちの大学はNortheast Water Polo Conferenceというアメリカでは強いカンファレンスに属していて、ハーバード大、ブラウン大、プリンストン大、MITなどが同じカンファレンスに所属しています。
ハーバード大はカンファレンス内でもトップを争う強豪チーム。ハーバード大の施設は凄かったです。同じくカンファレンストップレベルのプリンストン大も素晴らしい施設で観客もとても熱かったです。プレイオフのカンファレンス決勝戦がプリンストン大で行われ、うちのチームが決勝で対戦しました。これに勝てばリージョナル大会(地方大会)に進み、リージョナルに勝てば、全国大会に進みます。ノースイーストカンファレンスはレベルが高いので、カンファレンスを勝ち抜けば、リージョナルはそれほどでないので全国に行ったも同然と考えられているのですが、あと一歩、1点差でプリンストン大に負けてしまいました。
プリンストン大の優勝が決まった時は観客もみな熱狂し、プールに服のまま飛び込んでました。通常は一種の儀式としてこういった勝利の後にコーチたちが飛び込んだりするのですが、観客まで飛び込むのを見て驚きました。

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AB:日本ではあまり見ないですか

健志郎君:見ないですね~。日本も観客席はあるのですが、二階席だったりして観客との距離が遠いです。アメリカの場合は、もうプールサイドのすぐそこに観客がいて試合前や試合後にすぐ話せたりする距離です。熱気も伝わってきます。

AB:秋の公式戦シーズン23試合を戦って16勝7敗。最後は先ほどおっしゃっていたようにカンファレンスファイナル(決勝)で惜しくも敗退という成績でしたが、シーズン中でほかにはどんなことがありましたか 

健志郎君:シーズン途中でチームがどん底になり、何をやってもうまくいかない、チームとして崩壊していた時期がありました。そのときハーバード大と対戦し5対20で大敗しました。個々の実力ではそれほど差はない、むしろうちのチームのほうがいいのではと思ったぐらいでしたが、チームとしては圧倒的な差をつけられて負けました。ハーバードには歯が立たないな、と感じたくらいでした。
そのあとヘッドコーチがそれまでの戦いを分析し、戦略を大きく変えました。シーズン中に大きな戦略転換というのはあまりないことなのですが、コーチたちがきちんと分析し、説明し、チームも受け入れ、練習で徹底しました。それが見事に実を結んで、チームがいい方向に変わり、シーズン最後のプレイオフ準決勝では、前回全く勝ち目がないと思っていたハーバード大相手に勝利をしたのです。
シーズン途中で、その新しい戦術にアジャストしたチームメンバーの能力も高いのですが、どうやって成功するかをしっかり分析し、チームに浸透させ立て直したコーチの采配はすごかったと、印象に残りました。

<続く>

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