依頼:セイレーンの討伐

依頼元:https://twitter.com/mmm_tokikaku/status/1783458599525929377

『とある日を境に、海辺から歌が聴こえるようになったんです。
 あそこにはセイレーンの群れがあって…!
 特に歌の上手い人を好んで引き込んで、魅了して操っているみたいなんです。
 討伐と救出をお願いします!
 依頼を頼んだ冒険者の人たち、まだ戻ってきてなくて…!』

 依頼人:海辺の漁師連盟


 穏やかな陽光、潮の香り。
 海を満喫したい日和ではあるが、そうも言ってはいられない。
 浜に響くは、武器と武器とがぶつかり合った金属音。
(……参ったな)
 女エルフの振るった刃を斧で受け止めつつ、ターボ・コリンズは思考を巡らせていた。
 相手はセイレーンに魅了されし冒険者だ。傷つけることなく正気に戻してやりたいところだが。
(どうすれば元に戻るのか、見当もつかないんだよね……!)
 斬撃を受け流し、刺突を躱す。
 魅了効果で傀儡を操る精度はそれほど高くないのか、冒険者の動きが捌ききれる程度なのは幸いだ。
 殴って魅了が解ける保証もないゆえに。
(でも、このままだとジリ貧だ。気絶させて街まで運んで行くか?)
 街まで辿り着けば、術を使える者の力を借りられるだろう。
 あるいは、解呪の薬の類も――。
(薬。そうだ、あれがある!)
 もう幾度か迫り来る刃を受け流し――力任せに押し返す。
 体勢を崩した冒険者の首元に軽く手刀を打ちこみ、一時的に意識を失わせ。
 軽々と担ぎ、ターボは走る。
 犬耳をぴたりと伏せて、セイレーンの歌声に背を向けて。

「う、苦……。でも、ありがとうございました」
「いや。必要だったとはいえ、手荒なことしてごめんね。薬、効いて良かったよ」
 海辺からだいぶ距離を取った地点にて。
 冒険者が正気を取り戻したことを確認し、ターボは安堵の息をついた。
 青年が使用したのは、かつての依頼の報酬で手に入れた万能薬だ。
 一度だけひとつの状態異常を回復する薬は、セイレーンの魅了にも効果を発揮したのだった。
「立てる?」
「ええ。でも、まだ仲間が――」
「まずは君の無事を報告しないと」
 セイレーンに囚われし者が、どれだけいるかはわからない。
 それでも今は、一人の救出完了を報せねば。

 * * *

 引用RT参加:末尾2→成功!セイレーンから冒険者を救出できる
 ソロorPT:ソロ参加
 報酬:40ルプ
(過去依頼:https://note.com/ath1224/n/n593137ccef33
 報酬の万能薬消費)

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