依頼:グリーンホロウ孤児院への寄付

依頼元:https://twitter.com/dekamofuchan/status/1781731326951071873

『グリーンホロウ孤児院では、
 子どもたちの未来を支えるために寄付を募集しております。
 是非、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

 心より、
 グリーンホロウ孤児院院長 ポピー』

 依頼人:孤児院院長 ポピー

※参加に伴い-2ルプ(寄付分)


「この度はご支援、本当ありがとうございます」
「いいえ」
 院長の丁寧な応対に、ターボの頭も自然と下がる。
「その、僕も孤児でして。何かできることがあればと思ったので」
「まあ……」
 そう。青年も物心つかぬ頃に、育ての親に拾われた身だ。
 彼の場合はただひとり種族が違うにも関わらず、村人皆に大切に育ててもらった。
 此度の依頼はターボにとって、受けた愛情を循環させられる好機であった。
 ――直接返せる相手は、もうこの世に誰もいないのだから。
「消耗品の方がいいかとも考えたのですが、僕からはこれを」
 飾り気のない木箱を開けて、院長に中身を確かめてもらう。
 青年が子どもたちへの贈り物に選んだのは、木製の剣や人形といったおもちゃの類だ。
「きっと、遊びたい盛りじゃないかなって」
「ええ、ええ。みんな喜んでくれることでしょう」
 院長が優しく頷いたと同時、がちゃりと応接室の扉が開く。
「あれ? 院長先生、お客さん?」
「あ、見て! おもちゃがあるよ!」
 おやおや、見つかってしまった。
 これはすぐに帰してはもらえなさそうだ。
(荷物を渡すだけでお暇するつもりだったんだけどな……)
 わらわらと集まってくる子どもたち。
 ――ほんの少しだけ、触れあっていこうか。

「わあ! お兄ちゃん、もっふもふ!」
「兄ちゃん! 次、オレね!」
 豊かな毛並みの犬獣人の肩車は大好評。
 担いでは、下ろし。
 担いでは、下ろし。
 集まってくる子どもたち、みんな笑顔絶やさない。
 “子どもたちの未来を支える”
 この孤児院は、依頼書に記されていた文言に偽りない運営をしているのだろう。
「おーい、みんな。お兄さんを困らせないようになー」
 あまりの盛況ぶりを心配してくれたのだろう。
 孤児院育ちの用心棒の男が、こちらを気遣って声掛けてくれる。
「大丈夫ですよ、モヒタロウさん。でも、そろそろお暇――」
 微笑んで応えた直後。
 事態は、一人の女の子によって急展開を迎える。
「ねー。犬のお兄ちゃんとモヒタロウ兄、どっちが強いの?」
「「えっ」」
 その無邪気な発言は、子どもたち皆の好奇心に火を点けた。
「そりゃ、モヒタロウ兄に決まってんだろ!」
 わいのわいの。
「えー! でも、犬のお兄さんは冒険者さんだよ?」
 やいのやいの。
「えーと……?」
「お、おい。お兄さんはそろそろ帰……」
 子どもの好奇心とは凄まじいもので。
「じゃあ、腕相撲対決ね! どっちが強いか決めるんだ!」
 満たされるまで、けして収まることはない。
「犬のお兄さん、モヒタロウ兄。ほーら、位置について!」
「「……はい」」

 グリーンホロウ孤児院には今日も、笑顔が絶えることはない。

 * * *

 引用RT参加:末尾6→木製の剣や人形などの子ども用おもちゃ
 ソロorPT:ソロ参加
 報酬:万能薬1つ(一度だけ1つの状態異常を回復できる)
  ポピー院長の特製万能薬。
  効き目はすごいがかなり苦い。

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