カラー

個性にならなかった時には無難でしょうと紛らわせて押し込む
混ぜようとしても無駄になってしまった色
一色一色が同じ成分でできている
レンズに映し出すことで際立った存在、
瞼を伏せれば黒になる
混ぜ合わせればグレーに変わる

美術室での掃除を任された私は
机に張り付いた絵の具を剥がして
舌の上に乗せた
多分、その色を体に入れたら
少し元気になれるかなとか思ったから

薄い橙色

自分で使うことは無かった関係無い色。
自分には無い色だったし、必要とも思わなかった
窓辺に落ちた夕日が同じ色だったくらい
でも、やけに綺麗で食べちゃいたいなとか思った

少し苦いし
歯にくっつくけれど
それくらいなんてことなかった
自分には無くて、ほしかった色


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