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バスク地方、バスク語、とバスク料理①

アトリエ・グルマン クミコ料理教室です。

先日の記事ではなぜ私がバスク地方行ったか?について書きましたが
今回はバスク地方、バスク語について、そしてバスク料理についてをお伝えしていきます。

バスク地方とは
大西洋に面したフランスとスペイン国境周辺とピレネー山脈の麓の7地域。
つまり、バスク地方と言っても3地域がフランスのバスク地方、4地域がスペインのバスク地方で、それぞれの国に属しています。国境がまたがって一つの民族、文化圏があるというのは日本人には想像しにくいかもしれませんね。

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その中でフランスバスクはアキテーヌ地方(ボルドーを中心とした地域)のピレネーアトランティック県に含まれます。「バスク県」と行政的には分けられなかったのは、バスクの独立を促しづらくする策でもあったのでしょう。

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ちなみに日本でバスクチーズケーキが流行りました。日本人にはバスク全体地域の伝統菓子、もしくはフランス菓子と思っている方も多いと思いますが、これはスペインバスクのバル「ラ・ヴィーニャ」のデザートが発祥で、それをたまたま日本で流行らせたものです。フランスバスクの人たちはこれがバスクのお菓子だとは思っていません。(フランス人バスクのお菓子といえば、ガトーバスクです!)そのため、バスクチーズケーキはスペインのお菓子に入るのです。

バスクには共通の旗(イクリーニャ、バスク民族旗)があります(上の写真)。赤、緑と白で構成されていますが、赤はバスク人、緑はゲルニカのオークの木、白の十字はカトリックの信仰をそれぞれ意味しています。ゲルニカの木とは、バスクの伝統的な議会がそこで行われていたことから伝統的な法、民族の自治、自由といった価値を象徴しています。バスク料理に緑、赤が多いのもこの旗を連想させてくれます。


バスク語
この地域で話されている言葉をバスク語と呼び、このバスク語の起源は謎に包まれているそうです。その歴史はとても古く、ヨーロッパにインド・ヨーロッパ語族の言語(ロマンス語、ゲルマン語、スラブ語など)が持ち込まれる前からピレネーの両側で話されていた、と考えられています。
そのためフランス語やスペイン語などのラテン語系(ロマンス語)とは共通点もなく、普通のフランス人には非常に難解な言語!です。
ちなみにバスク語のことをフランス語ではbasque、スペイン語ではvaso、そしてバスク語ではエウスカラeuskaraと言います。綴りも響きも全く異なりますね。

Xan(チャン)、Patxi (パッチ)という友人がいましたが、Xが名前に入っているのはフランスで珍しいなーと思っていたら、バスク出身、バスク語の名前でした。Xはchの発音になります。

かつて両国ともバスクの独立派には強硬姿勢をとっており、バスク語を抑制したり、禁じたりする時代もありました。今ではバスク語の話者が60万人ほどですが、バスク語を次世代に伝えていこうという方向に転換しています。スペインバスクではバスク語がスペイン語と並んで公用語と認められ、バスク語で学校教育を受けることもできます。フランスバスクで残念ながら公用語としては認められていませんが、テレビをつければバスク語の番組を見ることができますし、私がバスクにいた時にテレビをつければ「みつばちマーヤ」がバスク語で毎日やっていました。

バスク料理

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一番興味がいくところですが、
大西洋の海の幸、ピレネー山脈麓の山の幸に恵まれ、今では美食の地域としての地位を確立しています。いずれもオリーブオイル、ニンニクを使って仕上げるので日本人にも好まれる料理が多いと思います。
地域の名産はなんといってもエスペレットピーマン(唐辛子)とバイヨンヌ生ハム。これらはバスク料理に多用されます。バスクの旗の色を連想させる赤や緑鮮やかな料理が多いのも食欲をそそります。
海バスクでは大量の塩を振り乾燥させたバカラオ(塩たら)は欠かせない食材です。 

言語の話で少し長くなったので、次回は名産食材エスペレットピーマンやバイヨンヌ生ハムについて詳しく説明していきたいと思います。


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