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自分が楽しくやることを忘れないように。オセアニア料理とコーヒーの店「SUNNY DAY」ができるまで

hito noteでは、atelier hito(以下、hito)と仕事をした店主さんにインタビュー。hitoさんたちが仕事を通じて新しく何かを始める人たちを応援するように、このhito noteでは空間づくりのことや、これから何かを始めたい人たちの背中を押すような思いやエピソードを伺っていきます。

シリーズ第4弾は、オセアニア現地のブランチとコーヒーが楽しめると人気の『SUNNY DAY』より、店主である佐藤純さんからお話を伺いました。

佐藤純(さとう じゅん)
2022年12月、名古屋市名東区にあるオセアニア料理とコーヒーの店『SUNNY DAY』店主。東京でイタリア料理店で働いた後、渡豪。オーストラリアとニュージーランドのレストランにて、約2年間の修業を経て名古屋にて独立し、『SUNNY DAY』を開く。趣味はサーフィン。

名古屋市営地下鉄「一社駅」から歩くこと約7分。住宅街の中に突如現る、開放感ある大きな窓と、グリーンのカウンターが目をひく外観。オセアニア料理とコーヒーの店『SUNNY DAY』は、店内に入る前からまるで海外かのような佇まいでした。

オーストラリアやニュージーランドのカフェ文化に魅了された佐藤さん。現地の味や雰囲気を日常的に楽しめる店にしたいとの思いから、同店が生まれたそうです。

豪州での原体験を詰め込んだ店

ーー海外のような内装に、ゆったりとした時間が流れていて、どこか海外を思わせる雰囲気ですね。それにご飯もおいしくて……すごく居心地が良いです。

佐藤:ありがとうございます。現地のカフェもスローなライフスタイルで、自分に合っていたと思います。濃すぎる2年間でしたね。人生で一番楽しかったです。

ーーずっと料理の世界にいたんですか?

佐藤:いえ、一般企業に就職して、最初の3年間は会社員でした。一日中PCの前で働く一方で、料理が好きで、趣味としてやっていました。そこから脱サラして、料理人としての人生がスタートしました。

ーーなぜオセアニアという地域を選んだのでしょう?

佐藤:僕自身、海が好きなのが一番の理由でした。海沿いのカフェで働いてみたかったんです。それと外大出身で学生時代にカナダ留学にいったことがあったので、英語圏で他の地域となった時に、オセアニアがピンときました。

自分に「似合う」店とhitoとの出会い

ーーこの一社というエリアにお店を構えようと思った理由は?

佐藤:学生時代に藤が丘近辺に住んでいて、名東区で、東山線沿いがいいなと思って探していたところ、見つけた物件で。「こんなに間口が広いところは滅多にないな」と惹かれました。一社には名高い飲食店が多い印象もあり、隣接する店も賑わっていたので、駅から少し離れたこの場所でも、人を集めることはできそうだと思ったんです。

ーーそもそもhitoのことは、どのようにして知ったのでしょうか?

佐藤:藤が丘の「FREAK COFFEE ROASTERS」に行った時に内装が気になって、そこの施工をやっているのがhitoさんだと知りました。雰囲気が好みで、物件探しの段階から相談に乗ってもらいました。

ーーhitoさんに依頼する決め手となったポイントを教えてください。

佐藤:この物件の内見に一緒についてきてもらったんです。プロの目線で、ここなら何ができるのか、できないのか、飲食をやるならどうかなど、アドバイスいただきました。その時、「ここはなんだか良さそうですね。佐藤さんに似合ってますね。」って岡島さんに言われて、なんだかうれしくて。背中を押してもらって、この場所をhitoさんに依頼しようと決めました。

ーー第一印象はズバリ?

佐藤:最初の顔合わせの際に、東別院のスタバで集合した時に、ああいったお洒落な建物で打ち合わせするのかと驚きました笑。さすがお洒落な仕事をしているデザイン会社だなと。それでいて、話してみたら落ち着く感じで頼もしいなと思いました。

岡島(hito):市内のスタバの中でもアクセスが良くて、よく使うんですよね笑。打ち合わせ前からグッときてもらってよかったです。

お気に入りの緑をアクセントにした店内

ーーお店づくりで特に大変だった部分はなんでしょうか?

佐藤:一番怖かったのは金銭面ですね。でも岡島さんがコストダウンのための工夫や助言をしてくれました。例えば、自分たちで壁を塗るとか、入り口部分を建て替えたら50万するので、アルミサッシに塗り替えてイメージを変えてみるとか。当初変えたいと思っていましたが、今はとてもしっくりきています。

岡島:佐藤さんが僕らの提案に対して、どれだけスムーズに受け入れてもらえるか、逆にいれば、僕らがどれだけ理想に寄り添った提案ができるかが大事でした。すごく要望が大きいと、ゴールになかなか近づけません。でも佐藤さんは、事業計画をみてもお話を伺っても、相手にも伝わりやすい形でやりたいことが詰まっていて、店づくりの順序立てがすごくしっかりとしていました。

佐藤:もともと学習塾だった場所をスケルトンにしてつくったんです。建物が古かったので、工事の際に少し心配はありましたが、いい意味で古さを良しとして完成できたと思っています。

ーー作る前から雰囲気は決まっていましたか?

佐藤:コーヒーマシンが置いてあるカウンターの場所やイメージは決まっていました。それを岡島さんに伝えたら、最初からどんぴしゃな完成図が出てきて感動したのを覚えています。

キッチンのタイルやカウンターの緑色はこだわった部分で、自分のサーフボードの色に合わせています。特にキッチンのタイルは、とてもこだわってつくっていただいて……

岡島:サンプルで緑色のタイルを何種類かとって、一つ選ぼうと思っていたのですが、サイズや種類が違うものを混ぜたら面白いんじゃないかと思いまして。タイル間の隙間を計算して、佐藤さんも僕も気に入った2種類の不揃いタイルを並べました。結構チャレンジングだったなあと振り返って思います。

佐藤:お客さんからも「タイルがかわいい」って言われます。緑色のカウンターも褒めていただくことが多いですね。

ーー出来上がる前と後で、いい意味でのギャップはありましたか?

佐藤:もう、全部が全部かっこよかったです。自分のイメージを実現してくださったり、壁紙の色など、提案していただいたものもどれも良くて、信頼していたので全部お任せしちゃいました。おかげさまで、雰囲気に近いものが出来上がったと思います。

岡島:ヒアリングの段階で伺っていた、緑色のアクセントカラーについてはもちろん、一枚板でできたカウンターも佐藤さんが当初からこだわっていた部分でした。

佐藤:父が出身地の長野で材木屋をしていまして、そこの一枚板を使うことができました。かっこよく仕上げていただいて、自慢のカウンターになりました。

ワクワクものんびりもできる、暮らしに寄り添う店へ

ーー今後、お店を通じてどのようなことをやりたいですか?

お客さんに「海外っぽいお店ですね」ってよく言われるんですけれど、最初「なんか違うんじゃないか」って思ったんです。「海外っぽい」じゃなくて、もう「海外」って思えるくらい、海外のカフェみたいな高揚感があったらいいなと。カフェとして新しいものを見たり、考える時間をつくれたり。刺激的な、でも落ち着ける場所をつくっていきたいです。

ーー佐藤さんのお話を聞いていると、現地でのカフェがとても好きなんだなあと感じます。

店ごとに作り方や世界観が違って、そこが魅力的で面白くて、常に自分のやりたいことを吸収しながら働いてきました。これまで体感してきたこと、自分がやりたいと思ったことを詰め込んだ店がこのSUNNY DAYです。空間でいうなら、入ってすぐに見えるコーヒーカウンターとか、間口を広さとか、開放感のある大きな窓とか。

ーー現地で衝撃を受けたことはありますか?

たくさんあるんですけれど、とりあえずみんな楽しそうなところですね。休みは休みで楽しんで、平日働いているときも楽しそう。各々自分の理想とするライフスタイル、いまを楽しく生きる姿が素敵だと思いました。

ーー最後に、店をやる上で大事にしていることを聞かせてください。

まずは「自分が楽しくやる」ってことを心がけています。その方がお客さんにもいいものを提供できるし、楽しそうに働いてるカフェや飲食っていいなあと。お店の雰囲気にも繋がってくると思いますし、せかせかと何かに追われた気持ちで働きたくはないですね。あとは適度なフレンドリーさを持つなど、コミュニケーションの取り方は意識しています。

日々やることに追われていると、目の前のお客さんを喜ばせることに集中していると、どうしても忘れがちな自分の笑顔。佐藤さんは一生懸命頑張ることはもちろん、それ以上に欠けてはならないものを気づかせてくれました。


▽atelier hito 公式サイト


direction:atelier hito
writer:fujico

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