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永遠の憧れ。

高校時代からずっと背中を追いかけてきた憧れの人、華子先輩。

アナウンサー人生の原点が放送部だというのはラジオでもお話ししたことがありますが、あの時出会っていなければ今の私はいない、そんな人との大切な記憶を語ってみます。
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■勧誘が強引すぎたおかげ

高校入学したての頃。
どの部活も勧誘が活発だったが、特に放送部の熱はすごかった。そこまで興味がなかった放送部の部室にほぼ無理やり連れて行かれ、何もわからないまま部長の話を聞き、勢いのまま見せられた紹介動画。

そこに映っていたのが、NHKホールでアナウンスを披露する華子先輩の姿だった。

目を奪われた。

高校生とは思えない堂々としたアナウンス。
凛としていて、美しくて、なんて素敵なんだろうと息を呑んだ。キラキラした目と自信に溢れた姿がただ印象的で。

あぁ私こんな風になりたい…
気づけば入部届を出していた。

そうして部活動に明け暮れる日々が始まり、私は朗読部門でNHKホールの舞台を目指すことになった。

■夢にまでみた舞台の舞台裏で

その2年半後、最後の夏の大会「第60回NHK杯全国高校放送コンテスト」での出来事。

地区予選、県大会、全国大会準々決勝、準決勝までなんとか進み、私は夢のNHKホールで決勝進出者の発表を待っていた。

この会場には毎年、全国から放送部の強豪が集結する。熾烈な全国大会。朗読部門では、準々決勝進出者294人から60人が準決勝に選出され、さらに決勝に行けるのは、たったの10人だ。

とてつもない緊張感の中迎えた、運命の瞬間。

「朗読部門、決勝進出者は・・・!」

鳴り響くファンファーレ。
大きなモニターに映し出される10人の名前。

上から3番目には
「兵庫県立小野高校 津田明日香」とあった。

ただ嬉しくて涙が溢れた。
悔しさをバネに練習し続けたあの日々も、うまく読めないもどかしさに泣いたあの日も、全てが報われたような気がした。部員の仲間も同じように泣いてくれた。やっと憧れの先輩と同じ舞台に立てるんだと思うと興奮が止まらなかった。

決勝大会が始まる直前。
私はエールをもらおうと華子先輩に電話をかけた。
すると先輩は心から喜んでくれつつ、冷静な声で最後にこう言ったのだ。

「私は決勝に行けたことで満足してしまったことを後悔している。だから明日香ちゃんは優勝を目指して勝負してきて。」

はっとした。
まだ終わりじゃない、むしろ、勝負はここからなんだ。背筋がピンと伸び、スイッチが入るのを感じた。


最終結果は準優勝だった。
優勝こそ逃したものの、全てを出し切れたと満足している。

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社会人になった今でも、時折このことを思い出しては自分に喝をいれ、気合を入れ直すことがあります。

そんな華子先輩に、先日数年ぶりにお会いすることができました。アナウンサーとして秋田・北海道の局に勤められ、今は関西で子育てをしながらフリーで活躍されている先輩はやっぱり素敵でカッコよくて、優しかったです。

そういえば、今年のNコンもちょうど3日前ぐらいに幕を閉じたそう。当時の私には10年後の自分が東京でフリーアナウンサーをしながらこんなnoteを書いているなんて想像もできなかったな。

だけど、あの時があって今がある。
そんな当たり前のことをしみじみ感じた7月の終わり。

いやうそ、
最近うなぎ食べたいしか考えてない。

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