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ジャック・ティボー タッソ・ヤノポウロ モーツァルトのロンド

https://youtu.be/yD_OMtHNYbY?si=8-tXieDFVxg5NClW
モーツァルト:ロンド
ジャック・ティボー(Vn) タッソ・ヤノポウロ(P)
仏VSM 78rpm 1936年3月21日(仏VSMへの録音)

このモーツァルトのロンドは、ヴァイオリンを学んだ方なら何度も弾く機会があった曲ではないであろうか。

ティボーの録音したロンドは、78rpm/10インチ盤両面に収録されている。しかし、この演奏はティボーが遺した録音の中でも白眉であるにもかかわらず、自分がこれまで聴いた限りでは復刻LPやCDともに各面の後半あたりからトラッキングエラーによる音の歪みが現れるものがほとんどであり、しかもティボーの演奏が情熱的であることからその事象が一層顕著になってしまっていたのが悩みの種であった。

今回復刻に使用した78rpm盤は、しばらくお蔵入りにしていたもので、事実、合わせるカートリッジにより音の粒が揃わなかったり歪みなどで音色が壊れてしまったりして再生に非常に苦心した。仏VSM盤の電気再生の難しさにも直面した。

いろいろなカートリッジで再生試聴したが、自分が試みた範疇では、デノンDL-102SDによる再生が最良と思った。しかしその後も試行錯誤を経て、結局、昇圧トランスを通さずにスタイラスが縦に振動しない真性モノラルカートリッジで再生したものがきれいに復刻できたと思う。

長年の無二の伴奏者ヤノポウロによるティボーのまるで影のような寸分たがわぬ共演も聴きどころである。

ティボー三度目の訪日の際に船による渡航を強く勧めたヤノポウロは、途中の行程を急ぎ航空機を選択したティボーに同行しなかった。そして彼の不安が不幸にも的中してしまったことは周知のことである。

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