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フルトヴェングラー博士の白鳥の歌 ワーグナー/ヴァルキューレ
ワーグナー:楽劇「ヴァルキューレ」全曲
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー & ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
マルタ・メードル、レオニー・リザネク、フェルディナント・フランツ、ルートヴィヒ・ズートハウス ほか
英HMV ALP盤/伊太利 LVDP QALP盤/東京芝浦電気 Angel HA盤
1954年9月28日~10月6日録音
逝去の2カ月たらず前、博士の白鳥の歌となった「ワーグナー/ヴァルキューレ」。
~ 博士の逝去の後、各界から追悼の言葉が送られたが、そのうち、パブロ・カザルス氏からのものを引用する。 ~
予想だにしなかったヴィルヘルム・フルトヴェングラーの死のニュースは、私にとって、痛ましい衝撃でした。フルトヴェングラーは、私の知る限り、最も賞賛に値する芸術家の一人でした。聖なる恩寵を受けた芸術家でした。
傑れた巨匠たちの解釈にかけては、一点非の打ちどころもない感覚の持ち主だった氏は、燦然たる輝き、充実した力、放射される光の限りを尽くして、その音楽を生きたものとしたのです。
フルトヴェングラーを讃えるあまり、私は何度か彼を誹謗する人たちに反駁(はんばく)し、氏に向けられた偏った批評から彼を守ろうとしました。「伝統」や、硬直した「流派」と戦いながらも、いまは亡き巨匠は、音楽の不滅の精神に仕える忠実な僕でありました。彼の死を知って深い悲しみを覚えます。そしてこの傑れた芸術家の亡骸につつましい会釈を送ります。
パブロ・カザルス(1954年12月7日 ベルリン・RIAS放送局の追悼放送より)
~ 音楽之友社「フルトヴェングラー頌」から引用 ~
つぎに、
~ 白水社「フルトヴェングラーの手紙」に氏の最晩年の心情が綴られている。
氏が逝去する直前にしたためられたもののうちから一部を引用する。
氏の最後の録音、ヴァルキューレのセッションのことなどのほかに、1955年に予定されながら、逝去により未実現に終わったBPOとのアメリカ公演への複雑な気持ちも吐露されている。~
アントワーヌ・フォン・バヴィエに
クララン、バセ=クロン荘
1954年11月7日
家内の持ってまいりましたご令兄の訃報に、たいそう驚いております。ついこのあいだまでお元気でご活躍なさっておられたということ以外、なにもうかがっておりませんでした。そして今はもう、この世の人ではないなどとは?
しばらく前から、貴兄も私から遠くへ去っていかれたような気がしてなりません。おやさしくて魅惑的な奥さまとは、ザルツブルクで二、三日ごいっしょでしたが、貴兄はお子さまを連れてビアリッツにいらっしゃったとのことでした。いずれにいたしましても、ザルツブルク音楽祭の最初の日から、貴兄とは拝眉の折もなければ、お手紙をいただくこともありませんでした。ご近況やら今後のご予定やら、お知らせいただきますようお願いいたします。
こんなことを書きますのも、もう長いこと不快な気管支炎のため床についているからです。十二月までは病気をしていられる時間もありますが、それから先はまた旅行の連続です。でも体の状態がこんなですから、やさしく単純なプログラムだけを組みました。年が明けての旅行、ことにすぐその後に控えているアメリカ行きには、かなり複雑な気持ちでおります。
近く、お便りをいただけることを念じつつ、家内からも、奥さまにどうぞよろしく。匆々
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
追伸 なお、ベルリンへ行ったとき、貴兄のことをお話しておきました。招待がまいるものと思います。―― 最近、『ワルキューレ』の全曲をレコードに入れました。
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https://youtu.be/cLAi6LU46o8?si=ajcVZx1mFts5N_Dd
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https://youtu.be/QPK-BaR2vIs?si=N1DHARFIWYGxVhxB
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