脳は補完する。
人間の脳は欠落した情報を補完する機能を持っている。
これが誤解の原因だ。
ものを見たり、人の話しを聞くときに、まず人はフィルターを通す習性がある。
興味のない情報は無視され、嫌いなことは拒絶し、理解不能なことは捨てられる。
これによって、同じものを見聞きしても、人によって脳内にインプットされる情報には違いが生じてしまう。
そして欠落した情報は、脳が無意識のうちに自動的に補完するために、内容は正しく認識されずに書き換わってしまうのだ。
この補完機能は非常に厄介だ。何しろ無意識のうちに行なわれるのだから。
つまり事象を正しく認識できる人は、興味のないことでも無視せず、嫌いなことでも拒まず、たくさんの知識を持っている人だ。
これは稀な存在だ。聞き上手というのが当てはまるが、ただ聞くだけではなくてアドバイスができる人には知識が必要だ。
世の中の大部分の人は物事を正しく理解できず、誤解する。
だから人に正しく情報を与えるには、その人が興味のあって好きな内容を、その人の知識レベルに合わせて欠落なく伝えることだ。
まずその人をよく知らないとできないし、非常にピンポイントなので、あまり親しくない人には、まず不可能に近い。
だから人と人がわかり合うのは非常に難しいのだ。
趣味が合って、好みが合って、同じ情報を共有している人が付き合いやすい。
情報の欠落が無いから非常に居心地が良いのだ。
そして知識レベルが同じであれば、情報の欠落があっても話しが通じるのだ。
いわゆるツーカーというもので、みなまで言わなくてもその情報は既に自分の脳内にあるから自動補完できてしまうのだ。
知識が豊富な人とは会話がしやすいが、知識や経験が乏しい人にいくら丁寧に説明しても無駄になる。
自分の世界を持っていて、他のことに興味がない人は、世の中の仕組みを理解するのは到底不可能だろう。
外部の情報のほとんどが遮断されて、自分の脳内の情報で補完されてしまうのだから。
でもそれでいいんだと思う。
クリエイターは、それでいいんだと思う。
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