見出し画像

イスラエル保健省のワクチン効果・プレスリリース

イスラエル保健省が2月20日に、省に蓄積されたデータから非接種者と接種者を比較して、ワクチン効果を推計したデータを公表した。

こちらが保健省の公式発表 (ヘブライ語。他のニュースの時間差からすると、数日間で英語版も発表されると思われる)。

2月13日までのデータを使って、年齢で調整をしつつ、非接種者と接種者について
比較を行った。「接種7日以降 vs 非接種」「接種14日以降 vs 非接種」の2つで分析している。

発表資料のPDFにある解析結果と、その翻訳を示す。

スクリーンショット 2021-02-21 9.14.45

このデータからは、「全罹患者」「発熱もしくは呼吸器症状ありの罹患者」「入院」「重症化」「死亡」のすべてについて、接種14日以降では95%以上の減少が示されている。

ただし脚注にある「年齢による調整」以外、例えば基礎疾患その他での調整が行われたか否かの情報はない。当然、「保健省サイドで参加者を接種・非接種に振り分ける」介入研究のスタイルではなく、「接種した人のデータとしていない人のデータを比べる」観察研究のスタイルなので、さまざまな要因の影響する余地はやや大きくなる。
(もっとも、「ハイリスクの人はより優先的に接種される→接種グループにハイリスクの人が多くなる」「超ハイリスクの人はそもそも接種すらできない→非接種グループに超ハイリスクの人が偏る」のように、どちらの方向にもバイアスは働きうる)

年齢別の推移は?

保健省の資料では、「陽性者(罹患者)」「入院者」「重篤化 (severe, critical illness)もしくは死亡者」の年齢別推移が、10万人-1週間あたりで調整された上で、接種率と重ねてグラフ化されている。

いずれのグラフも、左から「60歳以上」「50-59歳」「20-49歳」で、塗りつぶされているのが接種率 (濃い色が2回完了、薄い色が1回完了)だ。

どのグラフでも、接種が早い60歳以上で大きな減少が見られる。

公式発表は、「イスラエルの優れた保健システムおよび疫学調査システムによって、迅速にワクチン接種を進め、なおかつ実地でのワクチン効果を示すことができた」とまとめている。

各グループの捕捉日数の違いなどが考慮されているかどうか、年齢以外の背景因子の調整の有無などは留意点だが、こちらの続報を待ちたい。

陽性者(罹患者, 縦軸上限10万人あたり800人)

スクリーンショット 2021-02-21 9.31.36

入院者 (コロナ入院,縦軸上限10万人あたり80人)

スクリーンショット 2021-02-21 9.33.07

重篤化・死亡 (縦軸上限10万人あたり60人)

スクリーンショット 2021-02-21 9.33.43

死亡のみ (60歳以上に限定)

スクリーンショット 2021-02-21 9.35.17


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?