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東京都の死亡率、3月も超過はみられず

以前、人口動態統計速報をベースに都道府県別の死亡率を比べてみた。

公表に時間がかかる (2ヶ月)のがネックだったが、いのうえまさひろ先生に「都道府県独自のデータならばやや早く公表される」ことを教えて頂いた。

東京都の人口推計ページに、昨日付で「4月1日現在の人口」が公表されている。死亡者に関しては、前月分 (すなわち3月分)のデータが載っている。

こちらと過去データを基にして、2016年1月からの死亡者数を、人口10万人あたりに直してグラフ化した。

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3月の死亡率は10万人あたり76.1人。過去4年間は 74.1人 (2019)・76.6人 (2018)・76.2人 (2017)・75.9人 (2016)で、過年度と比較して死亡率の増加は見られない。簡単のため年齢調整は行っていないが、東京都の高齢者割合は期間中大きな変動はなく (2016年23.1%・2019年23.3%)、数値への影響は小さいと思われる。

2月が落ち込んでいるのは、インフルエンザの流行が小さかったことがある程度影響している。 (下は東京都感染症情報センターのグラフ。2019-2020シーズンは1-2月の上昇がほとんど見られない)

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「2月が大きく減って、3月が同じレベルであれば、その分死亡が増えている」…のような議論も不可能ではないが、現段階では「過年度に比べて増えた事実はない」と考えられる。もっとも、3/31までの陽性者数・死亡者数は、それぞれ521人・15人にとどまる。 (5/11現在では4,883人・189人) 超過死亡の有無を正しく評価するには、4月のデータを用いた検討が必要と思われる。

意味があるかどうかは微妙だが、区別のデータも計算して見た。

過年度に比べて死亡率が高いのは、大田区・杉並区・北区で、Covid-19の有病率との関連はみられない。年ごと・区ごとのばらつきと比較すると、3月時点では明確な影響はないと考えられる。

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