感染研・全原因超過死亡の推計結果は
何度か触れた「感染研のインフルエンザ超過死亡推計」、本日インフルエンザだけでなく全死亡に拡張した推計結果が感染研から公表された。
超過死亡は、ただ「●人死亡した」ではなく、「いつもより△人死亡が増えた」ことでもなく、「いつもより△人死亡が増えて、なおかつ偶然では説明できないレベルである」となって初めて「超過死亡あり」となる。
それゆえ、
「ふだんだったら(=その要因がなかったら)何人死亡しているか?」と、
「どのくらいの増加までなら、偶然とみなせるか?」の判定法によって、超過死亡の有無は変わる。「死亡が増えた」=「超過死亡があった」とはならないし、「死亡が増えた」かどうかも、「もともとどのくらい死亡したか」の定義によって変わる。
今回公表されたデータは、「増えっぷりが偶然でないレベルかどうか」を判定した上で、「偶然より多く死亡した」と判定された場合に限って、「観測された死亡数」ー「ふだんの死亡数からみて、偶然と見なせる死亡数の上限」を計算したもの。「観測された死亡数」ー「ふだんから予測した死亡数」ではないので要注意。
何度も見てきたEUROMOMOの手法と、米国CDCの手法のふたつを組み込み、sらに「報告遅れの補正」の有無、合計4通りの手法で推計している。
結果はこちら。
補正の有無によって数字は動くが、多くの県では「超過死亡なし」というけっかになった。
なお、「観測死亡値ーふだんの値」のスタイルで計算すると、当然ながら値は増える。東京の場合、「+55人」となっているEUROMOMO-補正ありのところ、こちらの表にある「観測死亡値ー予測死亡値の差」は351人。ただしこの351人は、「変化が偶然で説明できる」レベルの週でも数字をカウントしている可能性があるため、詳細な検討が必要である。
超過死亡の有無・大小もさることながら、このようなデータが整備・公開される環境ができたことそのものは、非常に意義深いこと。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?