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リジェネロン・抗体薬臨床試験の中間解析結果

トランプ大統領に投与されたと報じられた「リジェネロンの抗体治療薬」。該当する薬剤は、上の記事にもあるリジェネロン社の治験中の薬剤。2つの抗体薬 (REGN10933+REGN10987)を併用する治療法である。

この薬剤の臨床試験の情報はこちら

PECOスタイルでは下表のとおり。

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登録情報では、データ収集が完了するのは今年12月の見込みだが、ちょうど9月29日付けで、初期登録の275人に関する中間解析の結果が企業のウェブサイトで公表されていた。

275人の中間解析であり、上に示した指標での評価はなされていない。

275人の背景情報はこちら。トランプ大統領のような高齢者の割合については不明だが、少なくとも組み入れ基準上は下限年齢 (18歳)のみで、上限の設定はない。

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275人の患者 (外来で治療されているCOVID-19患者)が先ほどの3群 (抗体薬8グラム・抗体薬2.4グラム・プラセボ)に1:1:1に分けられた。

公表内容からの主な効果は以下の通り。ここで示された効き目の指標は、臨床試験で本来知りたい指標 (プライマリ・エンドポイント、上の「どうなった」で示した部分)とは異なる。

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トータル症例数の5分の1〜10分の1の時点での解析であるため、統計的に有意になっているのは、上の2つ (ウイルス減少量関連)の指標。相対的に大事な下の2つ (症状緩和までの時間と、医療機関の受診頻度)は有意でない。すなわち、抗体療法で改善するかどうか、まだわからない状態にある。なお安全性については、三つの群で大きな差はみられなかった。

当然と言えば当然ながら、とっかかりのデータしかない現時点では、この抗体薬が他の薬よりも劇的に効くとは判断できない。大統領に緊急使用されたことと、「効くかどうか?」の根拠の揃い具合は、切り分けて評価する必要がある。



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