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感染者と死亡者の減少に役に立つ・役に立たない方策は? (欧州30カ国の比較研究)

(5/9 20:45 スウェーデンの学校閉鎖の誤記修正)
(5/10 11:00 20カ国→30カ国に訂正)

5/6にMedrxiv (査読前プレプリントのサイト)に掲載された研究。

ヨーロッパ30カ国の感染抑止策の導入状況と、それらの国での感染者数・死亡者数の推移をモデル化した研究。国によってどの感染抑止策を導入するか(と、導入のタイミング)が異なることを利用して、それぞれの施策が感染者や死亡者の減少にどの程度インパクトがあるか?を推計したもの。

どんな施策を評価する?

対象となった施策は、IHME (Institute of Health Metrics and Evaluation)の区分けを参考にした以下の5つ。なおIHMEの区分けには"Travel severely limited (他地域から・他地域への移動を原則禁止。公共交通機関も停止)"もあるが、今回の対象国では導入された例がないため、除外された。さらに、マスクの使用推奨・使用指示 (正確には "face mask or covering")も、要素として加えている。

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どうやって分析する?

 詳細は略すが、各施策の導入の有無と導入からの期間・感染発生からの期間・人口から患者数と死亡者数を予測するモデルを作り、施策の影響を導入後の時間とともに評価した。国別のばらつきのみを考慮したやや単純なモデルと、地理的な条件(空間的要素)をさらに組み込んだ複雑なモデルの二つを当てはめた。

結果は?

より複雑なモデルでの推計結果がこちら。縦軸は「リスク比 の対数」なので、0より大きければ (=リスク比が1より大きければ)「施策により患者・死亡者が増える」・小さければ「施策により患者・死亡者が減る」を指す。

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「マスギャザリング制限」と「一部の業態の休業」「学校閉鎖」は、30日程度経過すると0を下回るので、感染者や死亡者を減らすことと関連が見られる。
一方で「不要不急業種 (広汎な)休業」は、緑の帯の幅が大きく、なおかつ0より上 (感染者増加)と0より下 (感染者減少)の両側にまたがっているため、影響は定かでない。また自宅待機は、感染者の増加に関連している(死亡者数への影響はU字型で、いったん増加した後また下がっている)。マスク着用も、2-4週間経過後は感染者や死亡者の増加に寄与している。ただしマスク着用は国によってルールがかなり異なる(自宅以外常に着用なのか、店内・交通期間利用時のみ着用か。あるいは着用を義務づけるか、単なる推奨か)ため、結果の解釈はやや難しいと述べている。

研究の限界と結論

それぞれの政策どうしにも相関が見られる(例えば「一部休業」と「不要不急休業」は、間をおかずに実施される例もある)ことや、国によって導入の有無を判定しづらいケース (スウェーデンは高校・大学は閉鎖しているが、小中学校は閉鎖していないため、「閉鎖なし」と判定 (20:45誤記修正))があること、同じ国でも州ごとに政策の強弱に違いがあることなどを限界として述べている。

今後の出口戦略を考えていく中では、(感染者数・死亡者数減少への寄与の小さい)「自宅待機」「不要不急の業種(広汎な業種)の休業指令」の緩和が第一と思われる。ただしこの結果はあくまで暫定的なものであり、感染状況のモニタリングは引き続き重要である。


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