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イスラエル・保健省のワクチン効果推計アップデート (7/17まで)

前の記事で出した「イスラエルのワクチン効果・感染と発症への効果減少 (64%)、入院や重症化はやや維持 (93%-95%)」。前回の推計は6/6から7/3までの集計だったが、その後6/20から7/17までの推計結果が公表された。

https://www.gov.il/BlobFolder/reports/vaccine-efficacy-safety-follow-up-committee/he/files_publications_corona_two-dose-vaccination-data.pdf

リンクは上を参照。

6/20から7/17までの効果推計結果は?

結果はこちら (リンクPDFの後ろから2番目のページの表を再構築)。

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今回は幅を持たせた推計 (95%信頼区間、カッコ内)も加わった。いずれの数値も正の値なので、例えば感染であれば、「決め打ちの値だと(非接種者と比べて)発症人数が39%減る。悪くても9%・うまくいけば59%減る」のような解釈で、統計的に意味のあるワクチン効果であることは確かだ。

しかし、2週間の重なりがある前回のデータと比べてみても、感染および有症状者でワクチン効果が顕著に低下していることが見える。その一方で、入院や重症化については、大きな低下はない (入院が88.0%, 重症化が91.5%)

ワクチン接種完了時期で見ると?

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こちらが最後のスライド。左から感染・発症・入院・重症化で、2回目接種をいつ完了したか (1月・2月・3月・4月・全体)で区切っている。感染と発症については、1月接種完了群で落ち込みが大きい (青帯、どちらもワクチン効果16%)ことが見て取れる。もっとも、右のヘブライ語を読み解くと、「幅を持たせた数値には重なりが大きいため、『統計的にワクチン効果に差がある(単なる偶然ではない)』と言えるのは1月vs4月の比較のみ」とも記載されている。

その他の記述は、
「ワクチン接種は入院や重症化の予防、あるいは心血管疾患などの全身症状の予防に役立つ」
「接種者と非接種者で、検査を受ける頻度が違う可能性があるため、その点はバイアスが生じうる」との意。なお、後者のバイアスをできるだけ小さくする設計 (テストネガティブデザイン: 検査を受けにきた人のみに絞ってワクチン効果を調べる)して、「変異株でも同等の有効性がある」と評価したのがこちらの英国の研究だが、詳細は別の項で触れよう。

後ろから3枚目のデータ (ブレークスルー感染: ワクチン接種完了者での感染)を見ると、基礎疾患やその他のバイアスが残る可能性はあるものの、1月完了者の感染率 (10万人あたり)がやや高い。おそらく毎週、少なくとも隔週ではデータが更新されるはずなので、続報を待ちたい。

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