(5/13 20時更新)実効再生産数更新データ・モデル同士の比較

更新したグラフはこちら (5/9, 20時現在)

西浦先生が公表されたモデル (Rソフトウェアで動くモデル)を写経・再現しつつ、これまでのモデルから全国の再生産数を計算・比較してみた。oki_mebarunさんのモデルの潜伏期間・感染可能期間は、西浦先生のモデルの数値に変更している。なお横軸の日付の範囲は、グラフごとに若干異なる。

西浦先生モデル1 (発症日不明の人も含める)

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西浦先生モデル2 (発症日不明の人を除外)

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oki_mebarunさんモデル (パラメータ変更)

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Aso Koheiさん・Totsuka Yutaroさんらの"Rt Covid-19 Japan"のプログラム (全国推計ができるように修正)

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西浦先生モデルでは3月末、mebarunさんモデルでは4/5付近、Asoさんのモデルでも4/18付近からは、再生産数が1を下回っている。

東京都はこちら。

Oki_mebarunさんモデル

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Aso koheiさんモデル

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(以下元々の記事)

あちこちで話題になっている実効再生産数の推移。

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このグラフでは、4/1付近で1.0を下回り、4/10には0.5を下回っている。注意書きにあるとおり、潜伏期間や報告遅れのタイミングがあるので、直近の結果はばらつきが大きくなる(発表資料では20日前までを表示)。

実効再生産数は、感染者数や死亡者数のように「『かぞえれば』ストレートに正解が出る」数値とはやや異なり、感染様式その他にある程度の仮定を置いたうえで、「この仮定に従うとしたら、こーいう式に従うはずだ!」を考えて計算するもの。仮定が変われば式も変わり、式が変われば数値も変わる。

いま、web上で実効再生産数を計算できるプログラムもいくつか公開されている。
基本的には、こちらの「新型コロナウイルス感染者数マップ」から感染者の日付別データを取り込んで計算する手法。

ここでは、以下の2つのプログラムを使った。
@oki_mebarunさんのプログラム (モデル1)

Aso Koheiさん・Totsuka Yutaroさんらの"Rt Covid-19 Japan"のプログラム

である。前者は「免疫なしー感染したけど潜伏ー発症ー回復」をモデル化した上で、潜伏期間と発症期間を固定して計算する手法。後者はいったん推定した生産数の数値を、毎日の発症者数データをもとに逐次更新していく手法である。後者の元データはKevin Systrom氏が米国で開発したもの。(元サイトにはさらに更新されたプログラムがある)

筆者はPythonについて原始人レベルの知識しかないので、プログラム部分は吉原浩之くんに指導いただいた。感謝。

こちらがモデル1の結果。なお元のモデルは潜伏期間5日・感染期間8日が仮置きされていたが、北海道大学のサイトの仮定を参考に、潜伏期間6日・感染期間10日として設定した。あわせて平滑線も加えた。
計算結果が出せるのは現在から10+6日前、すなわち4月20日前後まで。

画像2

 こちらがモデル2の結果。数字の上では5月3日までの結果が出るが、やはり直近1-2週間程度のデータは除いて考えるほうがベターであろう。なおこのグラフは、上のサイトにあるものと数値としては同一である。

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どちらの試算結果も、4月以降を見ると西浦先生のモデル(すなわち、最初に出した図)よりも高めの数値が出ている。やや強い仮定にはなるが、「より高い数値になりがちなモデル1・モデル2で、1.0あるいは0.5を下回る数値が出ている」ならば、もともとの西浦先生モデルでも同じような傾向が見られそうである。
「どのモデルが正しい」「このモデルは間違っている」のような議論をするのが目的ではなく、あくまで「自分で手を動かすとどんな傾向が見られるのか?」が主題である。

来週末?には西浦先生の計算式も公開されるそうなので、しばらくモデル1・モデル2の更新を続けたい。









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