見出し画像

住まい手がディベロッパー コーポラティブハウスの未来

2022年3月14日に行われた「#新しい不動産業 Meetup」4日目のセッション1。アーキネットの織山さんに、西田司さん(オンデザインパートナーズ 代表)が聞く。コーポラティブハウスの未来を知るために、背景や課題、未来にも触れていく。 ※ 研究所会員は全てのセッションをノーカット映像でご覧いただけます。

コーポラティブハウスを、いくつかの観点で紐解いていく

社会共通資本(コモンズ)を軸とする「コーポラティブ」は基本単位だ。コモンズが活かされるなら、協同組合とも訳されるコーポラティブは豊かなものになる。共有空間をつくることで豊かなコミュニティが生まれる。コミュニティには、安心感が生まれる。

ハウスは住宅と認識されるが、実際は、場所であり、ワークプレース、営みの場、町屋、活動を行う建物。広義で捉えるといい。家だけでなく現代の町屋のイメージだ。コーポラティブハウスでは、住まい手候補を募り、組合をつくり、コミュニティが生まれる。

木造をRCに。コーポラが防災のハブになる

ハウスは都市の単位。まちなみを変えていくことになる。東京は大規模な地震があったなら、40万棟が燃えてしまうと言われている。逃げ場もない。木造の密集地域が多いためだ。延焼してしまうのを防ぐ方法として、要所のハブをRCで抑えていくべきだと実践している。不燃化の建築を共同で立て替えていく。再建築不可の課題もあり、コーポラティブの単位で扱っていけば、都市防災に役立つだろう。

組合経済が地域経済を支える

都市は社会共通資本(コモンズ)でつくられる。海外の地域経済を支える組合の経済事例にも触れていく。スペインのバスク州やエミリア=ロマーニャでは、協同組合がしっかりと根付いている。組合として切磋琢磨するような共同利用できる空間を作り上げていくこともあれば、組合員同士で相互扶助を行うことも。コモンズが発展することで自治が豊かになっていくのだ。

マネジメントメソッドで考えていく必要がある

財産は企業でも国でもなく、協同組合で管理する。経済を支える、役に立つビジネスを広げていく。地域組織として継続されるためには、不動産の単体の話にせずに、地域の産業などと結びつけることで、組合的な考えが波及していくといいだろう。ビジネスとの距離は不動産サイドからも詰めることができるはず。掛け合わせて仕組みをつくる、勉強し合う、といったスタンスが必要だ。

日本でも明治のはじめくらいまでは組合が強かった。共済、協同組合の仕組みは今の時代にあっているのではないだろうか。つくる過程だけではなく、コミュニティが生まれて以降のあり方が重要だ。コーポラティブハウスの中に小さな社会が生まれ、安心感が生まれる。不動産はハードだけでない。まち単位、まち並に注目して歩くと、コミュニティの醸成度も見えてくる。結果として価値が上がるのだ。組合が社会の単位になってほしい、エリアのマネジメントにも携われるのではないだろうか。

#新しい不動産業研究所 は、不動産業界へのニーズの多様化に応じて、不動産の価値を高め、枠組みに縛られることなく、新しい事業領域へのチャレンジを推進しています。
#新しい不動産業研究所
Website  https://atarashi-fudousan.jp/
Facebook https://www.facebook.com/atarashi.fudousan/
Instagram https://www.instagram.com/atarashi.fudousan/

●登壇者紹介

織山和久(おりやま・かずひさ)

株式会社アーキネット 代表取締役
学術博士・東京大学経済学部卒業。三井銀行(現三井住友銀行)を経て,1983年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。コンサルタントとして、建築・不動産、金融、官公庁をはじめ、地域・都市経営に関する分野を中心に活動。
1995 年、株式会社アーキネットを設立。土地・住宅制度の政策立案、不動産の開発・企画等を手掛け、創業時からインターネット利用のコーポラティブハウスの企画・運営に取組む。
横浜国立大学先端科学高等研究院客員教授、県立広島大学経営管理研究科(コーポレート・ファイナンス、マクロ経済学)非常勤講師、法政大学江戸東京研究センター客員研究員・教授を歴任。
著書に「自滅する大都市 制度を紐解き解法を示す」(ユウブックス)、「東京 いい街、いい家に住もう」(NTT出版)、「建設・不動産ビジネスのマーケティング戦略」(ダイヤモンド社)他。

西田司(にしだ・おさむ)

オンデザイン代表、東京理科大学准教授
1976年神奈川生まれ。使い手の創造力を対話型手法で引き上げ、住宅からパブリックスペースまでどの規模でもオープンでフラットな設計を実践する設計事務所オンデザイン代表。都市や建築における人の集まる場の実験やコミュニケーションの可能性を探る実践を行っている。
主な仕事として「ヨコハマアパートメント」(JIA新人賞、ベネチアビエンナーレ審査員特別表彰)、「湘南港江ノ島ヨットハウス」(日本建築学会作品選奨)、島根県海士町の地域学習拠点「隠岐国学習センター」、復興まちづくり「ISHINOMAKI 2.0」、DeNAベイスターズが仕掛けるまちづくり「THE BAYSとコミュニティボールパーク化構想」、「街のような国際学生寮」、工事現場の仮囲いをひらく「吉日学校」など。
東京理科大学准教授、大阪工業大学客員教授。ソトノバパートナー。建築とカルチャーを言語化するメディア「BEYOND ARCHITECTURE」発行人。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?