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新しい不動産業のスタイル 。不動産屋ではない不動産屋とは?

2022年3月14日に行われた「#新しい不動産業 Meetup」4日目のセッション3。不動産屋さんではないが、極めて不動産業に近いお二人でないだろうか。治田 友香さん、唐品 知浩さんに伺った。 ※ 研究所会員は全てのセッションをノーカット映像でご覧いただけます。

不動産屋でない不動産屋

不動産屋さんでない不動産屋さんが増えている。三重県で移住コーディネーターをされている西川さんと西岡さんは、中間支援組織というかたちで活動。今後不動産の仲介も行なっていく可能性が高い。山梨県富士吉田市にある新世界通りの保存再生に携らわれている小林さんや、ヴィレッジインクの橋村さんも。彼は全国の辺境に注目し、地域プロデューサーとして活動されている。不動産屋さんでない不動産屋さんが増えている。

エンパワーメントカンパニーでありたい

治田さんは、 2012年の12月に関内イノベーションイニシアティブを立ち上げた。 自立した個人が活き、活かし合う社会の実現ということを目標に活動している。メンバーは、大磯で大磯市を仕掛けた原さん、横浜市東山田で地域づくりに携われている男澤さん、北海道を拠点に地方創生プロデューサーを行なっている石井さんら。 幅広い力に支えられながら活動されている。株主は横浜を中心とした神奈川県の地場の多くの企業だ。人材育成に関しては特に広く支援を行い、10年でソーシャルビジネススタートアップ講座の修了生は1000人ほどとなった。

転機となったのはコロナによるソーシャルビジネスの変化。令和3年度経産省委託事業として進めているのが、「都市部の社会課題解決に向けた空き店舗・空き家の社会目的利用を基軸とする地域経済活性化モデル」の創出。不動産を社会目的利用していくということは、これまで不動産屋では扱えなかった部分を扱えるようにし、たくさんの企業に知っていただき広げていくことにもなる。

社会課題はいくらでもある。大事にしているのは、課題としっかり向き合っている方の支援。エンパワーメントカンパニーでありたい。

不動産を編集し直していく

唐品さんはもともとリクルートで15年ほど住宅情報の仕事をしていた。2012年退社後に、株式会社リゾートネットの取締役として別荘リゾートネットの運営管理をしながら不動産の界隈で多角的な活動を行っている。 自身のテーマは変身ヒーローだ。

別荘リゾートネットでは、様々な物件そのものが面白いということが一番大事だと思っている。別荘にもいろんな観点があるのだと話す。建築面ではYADOCARI小屋部のみんなと小屋を作る。課題解決型アイデア出し飲み会「面白がる会」 を2014年ぐらいから全国で行っている。例えば「そば屋の物件が空いちゃってどうする」という話をテーマに。使い方を考えながら物件の利活用に入っていく。

公園や野球場が映画館に変身する「ねぶくろシネマ」。2019年に競馬場でおこなわれた会には一万人(!)の集客があった。40回から50回開催されている。 建物のお葬式「棟下式」では、解体現場自体をイベントスペースに変身させる。人々が集まる先にあるのは、その場の思い出の共有だ。不動産業を変身させるオーナーとの繋がりが参加の仕方自体を変身させると言う。

どんなアプローチがよいだろうか。治田さんは言う。関内の価値をどうしていくか、そのための機会をつくっていきたい。自分の得意なところに持っていくべきと思っている。アクティブシニアにマインドセットをすすめたい。唐品さんは言う。やれと言うわけではないし、追わない。 関わりしろをつくっていく。応援する人たちを含めてコミュニティだ。無理をしないスタンスが大事。次第にコミュニティとしてつながっていく。不動産業も副業、兼業農家のような人たちを歓迎していいと思っている。

それぐらいの柔軟なつながりや関わりができないと、若い人たちも手を出せない。新しい彼らの動向、バランスについて注目いただきたい。

●登壇者紹介

治田友香 (はるた・ゆか)

関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役
マンションデベロッパー、NPO支援組織、起業家支援財団を経て、2013年6月から現職。NPO法立法運動、自治体・企業のNPO支援策の企画を経験。「地域の課題に取り組む人やそれを応援する人を育てるための、講座事業や伴走支援事業等、さまざまなソリューションの提供を通じて、次の時代の街・社会の未来を担うエコシステムの形成を目指す」をコンセプトに、人材育成や組織の成長支援、調査研究やコンサルタント事業、不動産利活用などに取り組む。
mass×mass関内フューチャーセンターのファウンダー。コワーキングスペースとソーシャルビジネスの創業支援プログラムを併設。横浜市のモデル事業として2011年に開設、自主運営。

唐品知浩 (からしな・ともひろ)

合同会社パッチワークス
1973年生まれ。東京都出身。旅行会社勤務の後、株式会社リクルートへ。別荘系不動産広告営業に15年間携わる。その後独立し、別荘・リゾートマンション専門のポータルサイト『別荘リゾートネット』の運営を開始。同時にプロに任せず、施主を中心とした素人集団で小屋を製作する『YADOKARI小屋部』を発足。また調布を拠点に活動するデザイナーたちと、まちをリデザインする集団『合同会社パッチワークス』を立ち上げる。

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