見出し画像

note58 デキる人財は身近に潜んでいる

私が「なるほど!ザ・ワールド」を制作していた頃、スタッフの一人が、年末年始の一番忙しい時期に、3週間休みたいと言ってきました。
年末年始は番組にとっても超多忙期なので痛手です。
私も辛かったのですが、しょうがないので「わかった」と渋々承諾しました。
 
そして翌年、また同じことを言ってきたのです。
「一体、この忙しい時になんで休みたいのか?」と、問いただしたところ、なんと、彼自身がパリダカールラリーにドライバーとして競技に出場していると。
これにはびっくり仰天。
まさかスタッフの中にそんなすごいことをやっている人がいたとは?
 
いろいろ話しているうち、ふと私は思いつきました。
「そうだ、取材だけでなく、いっそ番組丸ごとレースに参加できないか、レースをしながら取材し番組化できないか」と。
それであれば、彼は休みをわざわざ取らずに済むし、仕事にもなる。
 
かくして、「なるほど!ザ・ワールド号」というレース車を仕立て、ディレクター自ら選手となり、出場しながら取材もしました。
結果なんと、レースではクラス優勝という栄冠を頂いたのです。
帰国後凱旋会見をして、大いに番組も話題になりました。
 
本当に人財はどこに潜んでいるかわかりません。
あの時、休む理由を聞かなかったら、この件は成り立ちませんでした。
意外と近くに天才が隠れているかもしれない、ということを学んだ1件です。
 
以前、話したかもしれませんが・・
ある会社の新卒採用で、私が学生相手にワークショップをやりました。
テーマは「この会社は将来どうすべきか?」です。
目的は、もしかして斬新なアイデアが出るかもしれないという期待が一つ。
もう一つは、人間観察です。
 
ワークショップのやり方はマトリックス法を使いました。
※マトリックス発想法に関しては、詳しくは別な機会で。
 
5,6人のグループごとに分かれて、アイデアを出し合います。
観察していると、面白い現象がみられるのです。
それまでじっと無口で、恥ずかしそうにしていた体の小さな女の子が、そのグループの議論を仕切りだしているのです。
そして最後に、各グループから1人代表が出て、プレゼンするのですが、なんとその子が出てきました。
人は見かけによらない、とは正にこのことです。
 
しかし採用の結果ですが、その子は入社しませんでした。
その後の面接で落としたのか?又は本人が辞退したのか?は不明ですが。
会社の人は、そういう人材を見抜き、ステージに引き上げられるかどうか、
そこが重要ですね。
 
昔の話で恐縮ですが、字がへたくその放送作家がいました。
放送作家とは書くのが商売なのに、とにかく字がへたなのです。
皆から彼はいつもそのことを周りから突っこまれていました。
そこで、私は彼にワープロを使うことを勧めました。
彼はすぐにワープロを使いこなして、そのうち文章も全く変わってきて、放送作家としての才能が花開いたのです。
 
2016年にワンダイニングという会社を取材させていただきました。
関西を地盤にする焼肉としゃぶしゃぶ店を展開している、(当時)年商200億円以上の会社です。
正社員が300名超、代わりにアルバイトを5000人以上抱えています。
店舗数は100を越えていて、各店に社員がわずか3人、他はアルバイトが約50人~70人で運営しています。
 
すごいのは、アルバイトがアルバイト以上の働きをしていることです。
アルバイトの中にアルバイトリーダーがいて、全アルバイトを統率、スケジュール調整、問題意識などすべてアルバイト自身が行っています。
他にも、毎日「気づきメモ」を書いてもらい、張り出します。その数全店合わせると1万枚以上になるそうです。
その中から厳選し、本人取材も行って、「気づき通信」という社内報にまとめ全店に配布されます。
そういう仕組みにより、アルバイト達も自身の成長を実感しています。
 
会社のアルバイトに対する表彰制度も厚く、やりがいを創出しています。
したがって学生のアルバイトからそのままその会社に就職する方がとても多いそうです。
アルバイトは社員幹部候補生なのですね。
 
デキる人財はいないわけではなくて、周りにいるので、それに気づき、育てることが大事だと思っています。
 
 

ついでに、こちらが現在私が熱海で活動している会社です。
お問い合わせはこちらまで。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?