見出し画像

記録 2022/12/21 (2022/10/11 #3)

2022年12月21日、WOWOWで10月11日の武道館公演のスペシャルエディションが放送された。私にとっては当日以来。しかも、当日は最後が強制終了になっているので、特別インタビューも含めて、期待が膨らむところ。

そして、見ていると、#2で書いたことには、だいぶ記憶違いがあることも分かり。書き直そうと思ったけど、そこを直してしまうと、周りも直さないとおかしくなって、そうすると私の感じた思いごと消えてしまうのが嫌で、懲りもせず、3回目のレポートを書くことにした。

過去記事も読んでみたいと思ってくださる奇特な方は、リンク先へどうぞ。そして、1万5千字越えの果てしない長文になっているので、休み休みご覧ください。

なお、おまえの駄文なんか読んでいられるか!と思われる方は、こちらをどうぞ。素敵なレポートで感動しました。



オープニング

愛の讃歌。
曲がかかると歓声が上がる。

終盤、ビジョンに、メンバーの名前が映って、一人ひとりステージに上がる。

Yoshitomo Akamatu。
Keiichi Miyako。
Yoshio Kuroyanagi。
Kazutaka Toyota。

黒柳は、両手を広げて、お決まりの投げキス。シルエットしか見えないけれど、待ち焦がれた黒柳の姿。

あれ。松岡の名前、映ったっけ。

01. 大切なもの

ドラム、ベース、キーボード、ギターと重なっていくところ、もう少し浸りながら聴きたいと思っていたけど。イントロ、ずっとみんなが手拍子をしている。これってそういう曲だったっけか。

当日は復習が足りず、歌えなかったことを後悔した私だけど。会場では、ビジョンに詞が出ていたようで。
現れては消える言葉たちが、大切だけれど、すぐになくなってしまうものたちを暗示するよう。

この曲、ベースはずっと淡々とルートを刻み続けるけれど。最後のサビの後、うしろでトモくんが微かにリズムを刻むだけで、その、黒柳のルートだけが響く。黒柳が、バンドを動かす瞬間。

楽器隊をバックに、「9年間、長い間、待たせたな!」「ただいま!」と語る松岡。これは、会場にいたら泣けるヤツだ。

そして、最後を「大切な場所」と締めた松岡。
そうだ。ここは、約束の場所だ。ここに、また帰ってきた。変わらない、5人が。夢みたいだ。

そう思いつつ、SOPHIAにとっての「場所」は、"Place~"だと頭の片隅で思っていたりもする私。そういえば、この武道館ではやってないな…。

02. Early summer rain

いきなりアッパーチューンでギアを上げてくるSOPHIAさん。銀テープでテンション上がって、自然と体が動き出す。松岡も、ステップ踏んで踊ってる。都さんもノリノリで歌ってる。

黒柳が壇上に上がると、ジルくんが近寄ってきてのツーショット。この二人、全然違うんだけど、揃うと何故だか画になる。

映画館ではうまく聴こえなかったベースソロ、イヤホンで聴くといい感じ。やっぱり、低音がないと、ね。

03. ゴキゲン鳥 ~crawler is crazy~

「声出されへんけど、行けるか?」と煽る松岡。
実は私、この曲のライブバージョンはあまり好きではなかったりする。でも、イヤホンで聴いているせいか、なかなかいい感じに思える。…単なる感慨か。
そう。幸せなんてちっぽけなものなんだよ。

映像:メンバーインタビュー

「9年間、一瞬でもSOPHIAのことを考えたか?」というお題。
トモくんは、みんなそうだったろうとの前置きで、「セットリストも決まっていないのに武道館に立たされる夢を何度も見た」。
同調するように、ジルくんは「違う曲始まってイントロで大失敗こいた」といい、黒柳も「曲なんか一曲も覚えてないのに復活ライブの日になっててめっちゃ焦った夢を見た」。
トモくんの「リハーサルやってると、夢か現実か分からんような感じで、9年前の続きみたいな感じ」っていうのも、都さんの「ちょっと気恥ずかしさを感じる」っていうのも、こっちもなんとなく分かるし、黒柳の「当日まで本物が出てくるかどうかすら分からんドッキリ」っていうのには笑ったし。
松岡の「泣くと歌えないから泣かない」という発言、結果は如何に。

04. 君と揺れていたい

音源は、かなり硬めの音がしていて、冬の朝の、冷たくてでも清らかな空気を感じると曲だと思っているけど。イントロの都さんの音がとっても柔らかくて、温かさを感じる冬のイメージ。キーボードソロも、新導入機をつかっているのか、とても楽しそうに弾いている都さんでした。

05. Eternal Flame

そんな都さんの真骨頂、フリーのキーボードソロ。これが来ると、次の曲は何だろうって期待が高まる。答えを知ったうえで聴くと、原曲を意識したフレーズが随所に見え隠れして、さすが都さんだなぁって思う。

ジルくんのギター、エレキだったから、やった、と思ったんだけど。私の一番好きな、サビのフレーズは演奏してなくて、ちょっと残念。初めて獅子に翼Ⅰで聴いた時以来、あのアレンジがお気に入りだから。

黒柳は、白いベースにチェンジ。
そして、やっぱりキーは下げている。2回目に聞いたときは、あんまり違和感なかったんだけどね。1回目の方が感覚が鋭いのだろうか。でも、松岡のロングトーンが短いから、もうすでに、多少きつかったりしたのかも。

映像:1995年~2022年 SOPHIAの軌跡

時計が時を刻む音をバックに。
この「時計」は、"KURU KURU"を彷彿とさせ、そして最初のベストアルバム「THE SHORT HAND」「THE LONG HAND」でその伏線を回収している、SOPHIAのもう一つの象徴ともいうべきモチーフだと、私は思っている。

SOPHIAがデビューし、阪神大震災があり、それは順番が逆だろうと思いつつ、2008年のスターライトコウベの様子が映る。
2010年、都さんの闘病が始まり、2011年に東日本大震災が起きる。
そして、2013年、無期限活動休止。

「SOPHIAの旗は降ろさない。」

この松岡の言葉について、思うところはいろいろあるけれど。
SOPHIAが、変わらない5人で戻ってきてくれたことだけは確かで、もうそれだけで、経緯なんてどうでもいいと思わせてくれる。

そして、COVID-19の流行。松岡は、これが復活のきっかけになったといろんなところで言っていて、アーティストってそんなもんかなと思いつつ、若干の胡散臭さも感じないではないのだけれど。でもそれが本当なら、これもある意味悪くなかったのかもしれないと思ってしまう。

06. Like forever

「時が過ぎ、誰もが震災のことを口にしなくなったとき、SOPHIAの曲が思い出させてくれるはず。」

この言葉は、そっくりそのまま、私の中で生きることになった。
1995年1月17日、愛知県にいた私も、大きな揺れで目が覚めた。関西にいた人とは比べ物にならないけど、あの衝撃は、忘れない。
そして、Lipsで松岡が「阪神大震災の時に俺たちが作った曲です。」って曲紹介したこと、それが、私の中のあの記憶と、Like foreverを強く結びつけた。

いつ聴いても、胸を締め付けられるような、泣きそうな気分になるけれど。それでも前を向かせてくれる、大好きな、大切な曲。

07. ALIVE

Like foreverの次に、この曲。必然か。
私は、ラブソングを歌わないSOPHIAが好きだった。発売当時、この世の中で生きることに疎外感を感じ、抗い、受け入れ、それを言葉にして歌い上げる松岡に、「大人になりたくないとつぶやいてる大人」を感じた。

「一人で生きていこう 誰にも頼らないで…」
 それができるなら向日葵ハナ/ヒマワリは枯れない

歌えなくなるから泣かないと言っていた松岡が、感極まっている。
声が出ていない理由は分からないけれど、これだけ重い曲を歌い上げるには、魂を燃やすしかないのは当然だ。
それは、もしかしたら、この曲の演出として定番である燃える炎に、象徴されているのかもしれない。

映像:ライブ前の映像、メンバーインタビュー

「19年間痛みを分かち合いながらやってきた5人なのに、何故そこに戻れないのだろうと思った」とは松岡。そうねぇ。
都さんは、「SOPHIAがなかったら、ミュージシャンとしてこうやって弾いていなかったと思う」。そうか。都さんでもそういうことを思うんだ。
ジルくんはジルくんらしく、「SOPHIAは、メンバーは友達。SOPHIAのギタリストとして生まれてきたことが誇り」。ジルくんは本気でそう思ってるからかっこいい。
トモくんも、ジルくんとは違う意味で彼らしく、「9年休んでよかったかもしれない。2、3年後に始まってたら、この熱量にはならなかったかも」。気持ちは分かる。いろいろやってきて、それでも戻る場所はここなんだって思ったんでしょ?
そして黒柳は、「(SOPHIAのことを)考えないことなんてない。この公演は、ロックバンドをやろうと思ってる人に見てもらいたい」。そしてジルくんがすかさず、「ええなぁ」。この二人、息が合わなさそうで、きっといちばん似ている。好きなこと、やりたいこと、かっこいいことを突き詰めて、それがSOPHIAでプレイすることであるっていうのが、二人の共通点。同性にかっこいいと思われるのは、こういうところなんだろうな。
そして、「これが最後だって、この歳になるとそういう気持ちでいないとダメかなって、毎日思ってる気がする」とは黒柳。一度辞めた人の口から聴くと、この言葉は重い。そうか。今、ここに彼らがいることは永遠じゃない。彼らが歌うとおり。

08. 蜘蛛と蝙蝠

自然に体がリズムを取ってしまう。サビ前のキメが心地いい。

…ヤバい。声、聴こえた。

09. 黒いブーツ ~oh my friend~

ライブでのこの曲がしっくり来ないと思うのは、私だけだと思うけど。
エピソードを知らなくても、この曲は、淡々と刻むのが似合うと思ってしまう。

ジルくんがコーラスしてるのが印象的だった。

10. ビューティフル

都さんが、いつにもまして自由に歌ってる。ヒュ~ンって、星が流れる音(笑)がする。

「あの頃よりは少しは大人だろう」

そうだろうか。時間は経っても、あの頃と、彼らへの想いは何も変わらない。そう思い知らされる、この曲。

映像:メイキング、MCの順番決めくじ引き

「今回のMCはヤラセなしで(笑)」との松岡の号令で、MC順番決めのくじ引き。それだけのことなのに、一筋縄ではいかないのがこの5人。「くじを引く順番、どうやって決める?」との都さんに、「同時に引けば?」との黒柳の案が採用されて、いざ。

順番は、①ジルくん ②都さん ③松岡 ④黒柳 ⑤トモくん。
ラストのトモくんに向かって「微妙な空気にしてやる」と言い放つ黒柳にも、トモくんは優しくて、黒柳の番号がカメラの方に向いてないのを律儀に直してる。なんだろうな。トモくんって、いい子ね。

くじ引きの順番でMC 

まずはジルくん。
奇をてらわない、素直な言葉をしっかりと並べていくジルくん。そんな言葉が、まっすぐ胸に届いてくる。
「時空を超えて、青春しようぜ?」なんて、ジルくんじゃなかったら、全然かっこよくない。

次は都さん。
「待ってんで、って声は聞こえてた」って言ってくれるのは、都さんの優しさ。
そして、みんなの顔がよく見えるように、人生三度目のコンタクトにしたのも、都さんの優しさなのです。

お次は、SOPHIAで歌を歌っている松岡さん(笑)。
コルベットは1968年式だということを再確認。
西武ドームで初お披露目して以降、リアル炎上を乗り越えて今回の武道館に間に合わせたかったのにできなかったのは、エアコンが直らないから、という衝撃の告白。
それを聞きながら後ろで笑っている都さん、「屋根開けてくるからエアコンいらんやん!」って冷静にツッコむ。そして大笑い(笑)。

次は…。黒ちゃんです!
「僕の半分って、優しさでできてるじゃないですか」と真顔で言ってのける黒柳。そして、お決まりのように「え? は(笑)?」とツッコむ松岡。黒柳さんは、もう一度優しく答えてあげますが、松岡に「おい!何やと?」とどつかれて、思わず「痛い!」と逃げ回る黒柳。それにもめげず、「で、残りの半分は、可愛さでできてるんです」。「おいおい!短パン履いとるけど、50のおっさんやで?」と、比較的対抗心をむき出しにしている松岡が笑える(笑)。
次に何をするかと思ったら、白のモッキンバードの新しいベースを持ってきてもらい、「カメラさん、ズームズーム」と促して、「かわいい」。ストラップもズームして、「肉球。かわいい」。それでも自慢は終わらず、「見て見て?」と、衣装替えで着てきたTシャツを見せる。そして、「かわいい」。あなた、今日、何回「かわいい」って言いましたか? 「おうちで猫が待ってます」って書いてあるから「はよ帰らなあかん」と言い、「ということは、もうこのライブ、そんなに時間残ってねぇってことだぞ」と言って「え~?」と言われ、「え~?じゃねぇよ」と返すあたりは、いつもの黒柳なのでした。

最後は、トモくん。
9年間、"愛の讃歌"を聞くたびに、泣いたりびくっとしたりしてきたトモくん。
新調したドラムは、数ある青の中でも、松岡のコルベットをイメージした色だとか。「SOPHIA愛」ってトモくんは言ってたけど、みんな、SOPHIAを愛しているのが伝わってくる。

トモくんのドラムから、都さんのキーボードの話になり、何故か武道パンの話になり、5分の2ちゃんねるの話になり。遠藤くんががんばって撮った映像は、WOWOW待ちか?って言われてたけど、とりあえず、この放送には乗らなかった模様。今後の5分の2に期待かな。
コンドル、ケツ食いこんどる(笑)。

次の曲紹介は、トモくん。どうもシナリオに組み込まれていたようで、松岡からの振りが。

「ここに咲く…、鈴蘭たちに贈ります!!」

でも、これはアドリブだったのかも。松岡からも、都さんからもツッコミが入り、会場は大ウケ。さすがはトモくんです。

11. ヒマワリ

この景色が、9年間、ずっと見たかった。

黒柳と肩を組んで、その肩をポンポンとする松岡。この曲ではお決まりのシーンだけど、復活ライブで見るこのツーショットは、胸に迫るものがある。

12. KURU KURU

この曲も、いつもと違うフレーズを弾いてる都さん。かっこいい。

ビジョンには、シングルのPVだけじゃなくて、blue on blueの映像まで映ってる。そういうのを見ると、彼らが、そして私たちが重ねてきた時間の重みを感じずにはいられない。

MC:SOPHIAの始まり、活動休止中の思い

松岡の一人語り。

休止から3年4年過ぎたころ、もうないなと思った。
僕たちは、ものすごい勢いで活動してた。週に何回もラジオをやり、撮影をし、取材を受け。全都道府県ツアーを3回、しかも1回が七十数本って、数が合わん(笑)。でも、嫌々やっていたことは一つもない。
あの時に、僕らは飽和していた。自分の人生の中で、やり切った感があった。でも、時代は動いていた。なのに、走り続けるのを止められなかった。空回りしていた。休止前数年間は、メンバーが車輪として回ってるけど、全員が違う方向を向いて空回りしてて、何なら逆回転していた。
休止を決めたとき、なぜ解散しなかったか。絶対に戻ろうと思っていたから。でも、数年経って、もうないなと思った。悔しかった。苦しかった。正攻法では伝わらないことがあるのかと思った。子どもの頃から、まっすぐ前を向いていればいつか伝わる、と思って生きてきた。
「人間なんて、社会なんて腐ってる」と思えば楽かもしれない。でも、そうじゃないことを信じて生きていきたい。
俺たちも必死やった。歯を食いしばって。全員違うけれど、きっとみんな同じ。絶対にまた、苦しみも悲しみもやってくる。誰かを傷つけることもあると思うけど。最後は優しさで抱きしめてほしい。
ウクライナでたくさんの人が死んでいる。そういうことを、ひまわり畑を見ると思わずにはいられない。

あ、なるほど。メンバーとの出会いの部分が端折られてるのね。確かに、あそこまで入れたら長すぎる(笑)。意味のある話をしてたのかも疑わしいし。その部分は、#2に書いたやつで我慢しよう。

13. little cloud

2回目に聴いて、他の曲はあんまり分からなくなってたけど、この曲は完全に分かる。キーが全然違う。低いところは低いのにね、この曲。
ベースソロのところ、イヤホンでもいまいち聴こえなかった…。そして、「やがて流れゆく…」のところ、裏声じゃない。ふ~ん。

キーボードソロ。松岡が、都さんの後ろにそっと近づいて肩を抱く。ちょっと驚いたような都さん。松岡は、都さんの耳元で何かを囁き、笑顔でうなずき合う二人。こういうのがSOPHIAだと思う。

黒柳は、前のMCの間に白いベースにチェンジしてました。

14. cod-E  ~Eの暗号~

あら。気付いてなかったけど、これもキー下げてるね。
…いかん。この曲、聴いてる回数がほかの曲より全然少ないから、感慨も比例して少ない…。

黒柳は、これも白ベース。

15. ―僕はここにいる―

あぁ。これもだ。あんまり言いすぎるのもあれだけど。そろそろ声が出なくなってきて、結構苦しそうに歌ってるから、そういう意味でも、後半の曲は特に下げてるのかもね。
当日、歌ってて、気持ちよくて、鳥肌が立ったこの曲。
ライブバージョンで聴いたことはほとんどなかったんだけど、アウトロ、最後、めっちゃかっこいいじゃん。黒柳のフレーズもいいし。

思ったけど、キーを下げてる曲は、全部白ベースだ。音域変わらないはずだから、単なる偶然だと思うけど。

MC:客席いじり・今後の意気込み

ここのMCもカットだね。概要は#2参照

16. 夢

「遥かなる宝島」と紹介しただけあって、ブラスの音が聴こえる。
黒柳はピンクベースに戻してる。

さっきのMCにあった彼らのことを象徴するように、
 そこはとても残酷で 吐き出せば吐き出すほど
 もがけばもがくほど光放つ
と歌うサビが胸に刺さるこの曲。
彼らの夢、私たちの夢、ここでまた、現実になった。

都さん、前より歌上手くなってない?
黒柳の「おうちで猫が待ってます」は、リベンジでちゃんと聴けました。これ、リハーサルからやってたんかな(笑)。

17. 街

声がないから、Aメロの都さんのピアノがよく聴こえる。そうか。こんなふうに弾いてたのか。
メンバー紹介で、しっかりと黒柳の両肩を抱く松岡。この姿を見られるのが本当に嬉しい。
このカメラワーク、黒柳のコーラスがあんまり映らなくて残念。いつも、もう少し多く抜いてもらえるんだけどな。

18. エンドロール

止まることなく流れるように転がり込む"エンドロール"。

都さんの前に座って歌う松岡と、黒柳の隣に静かに歩み寄り、2人並んで弾くジルくん。
そうそう。こういう5人が私は好き。こんな姿をもう一度見られるとは思わなかった。

疾走感が切なさを加速させるこの曲。でも、きっとこれは、未来に向かって走り出しているんだ。

MC:都さんの病気の話 「ありがとう」

松岡のこのMCを聴いていると、黒柳のこの記事が、未来を見透かしたように思えてくる。都さんが寛解して戻って来られたこと、5人が再び集まったこと、そしてまた私たちの前で歌ってくれたこと。全てが奇跡の重なりで、それ故に、「有る」が「難しい」ことなのだ。

都さんの病気のことがやっぱり大きかった、というのは、5人の、偽りのない思いだろうと思う。初めて4人でステージに上がった時、Happy Birthdayの復活ライブの時、万感の思いだったろうことは、想像に難くない。
私はこの頃離れていたので、「都さんががんになった」という事実だけをニュースサイトで見たのだけれど。それでも、頭を殴られたような気がした。まだ40前後、なんなら今の私とほぼ変わらない歳で、まだまだ突っ走っている最中に、最後通告を受けたようなものなわけで。
だからやっぱり、そこは「有り難い」んだと思う。

「俺たちみたいな変わりもんバンドを、よう支えてくれるなと思う」と松岡。
「ややこしいもん、俺ら。ややこしいもん、このメンバー」。そうね。知ってるよ。知ってる。だから、私はあんたたちが好きなの。
分かりやすくて易しい音楽じゃ、嘘くさかった。SOPHIAは、松岡は、他の誰も歌わないことを歌ってた。大好きだった。そして、今でもその頃の青臭い自分を忘れられなくて、十分すぎるくらい大人の年齢になった今も、50になったSOPHIAが好き。

19. Thank you

今回は、何にも惑わされることなく落ち着いて聴けたから、メロディーと詞が、すっと入ってくる。だから、鳥肌が止まらない。
まだ、胸の奥にトゲは残っているけど、時間が解決してくれることもあるから。

それにしても、松岡、だいぶキツそう。こっちが息苦しくなってきちゃって、没頭しそびれるというか(笑)。


そしてここからは、初めて見るところ。

「『煽るけど声は出すな』なんてことを言う日が来るとは思えへんかった」とは松岡だけど、本当にそう。
10月11日、何が辛かったって、歌えないこと。歌いたい、叫びたい。名前呼びたい。思いっきり笑いたい。キャーって叫びたい。
…あぁ、そうか。コールアンドレスポンスで盛り上がる曲が少なかったのは、その辺も考えたうえでの選曲だったのか。苦しいし、もどかしい。

20. Kissing blue memories

「手をあげろ!!」と煽る松岡。
黒柳は再び白ベース。

いくぜぃっ!! Kissing blue… memories!!

黒柳のベースソロ、歪ませてるとは聞いてたけど、なかなかに。
そして、都さんのショルキー、あんな形とは。ギターソロとのユニゾンって、ありそうでなかったよね。そして途中からはハモってるし。
でも、都さんが前に出てきたおかげで、せっかくのベースソロなのに黒柳があんまり映らなくて残念。

そして。ピアノバージョン、聴く機会が少ないので、すごく嬉しかった。5分の2ちゃんねるバージョンとはまた違う雰囲気で、この、対極にあるようなアレンジ、すごく不思議。

21. Believe

やはり、ラストはこの曲がふさわしい。SOPHIAの始まりは、この曲なのだから。

黒柳、段に上がってのプレイ、少し笑顔が見える。そんなの見たことない。それだけで、彼がどれだけSOPHIAを愛しているかが分かる。

Bメロのところで、松岡がトモくんの後ろに回り、肩に手をかける。驚いたような顔で振り返るトモくん、すぐに笑顔になる。そんなトモくんの頭を軽く撫で、しばらくドラムセットの後ろで歌い続ける松岡。
トモくん、この9年の間に、SOPHIAのお母さんみたいになったと思う(笑)。いちばん落ち着いてて、いちばん気を遣ってて、いちばん無難でまとまったことをしゃべって。でもちゃんといじられキャラは健在で、ボケるところはちゃんとボケる。めちゃくちゃかっこいい、トモくん。

「何かに怯えてる君だからずっとそばにいる」のところで、黒柳の肩を叩く松岡。
この二人の間に何があったのかは知る由もないけど。仮に復活だとしても、ベースはサポートメンバーになる可能性も覚悟していたくらいなのだから、今、こうやって、同じステージに立っていてくれる、もう、それだけでいい。だって、その証拠に黒柳は、とびきりの笑顔を見せてくれたから。

「みんなの声を聴かせてくれ!!」の代わりに、「みんなの代わりに俺が歌うぜ!」と叫んだ松岡。
それでも、ファンの声が聴きたくなったのか、都さんの前に腰を下ろし、マイクを外す松岡。自らも口ずさみつつ、声なき声に耳を傾ける。

…どうしようもなく泣ける。
何なんだ、これ。

これ、もし、みんなが歌えていたらどうなっただろうか。会場にいなかった負け惜しみと言われるかもしれないが、この状況が作り出した奇跡と言えるのかもしれない。歌えないからこそ、みんなが、声に、想いに耳を傾けた。いつもなら聴こえない想いが、きっと、聴こえたはず。

「最高の明日に踏み出すため、今日にけりをつけるため、みんなで跳ぶぞ!!」
始まりの最後にふさわしい、全員参加のBelieveでした。

MC:最後の挨拶

黒柳の「今度はみんなの黄色い声が聴きたいと思います。あんまり黄色くないと思いますが。」っていうの、本当に一言なんだけど、さすが黒柳、と思わせる言葉の選びかた。

松岡は、「みんなから命をもらったSOPHIAです」って言ったけれど。
私は、私たちは、ずっとSOPHIAから生きる勇気、希望、力をもらってきた。帰る場所は、いつだってSOPHIAだった。だからね。「ただいま。」って言いたいのは、私たちなの。本当は、「おかえり。」って言ってほしい。そんな思いが、少しでも伝わったら嬉しい。

最後、ハグし合うメンバーをよそに、いつもどおり我関せず的に単独行動をとる黒柳。それを見たトモくん、黒柳の腕を引っ張って輪の中に招き入れる。それを見たオーディエンスも歓声。
そうね。そういうところもSOPHIAだよね。私たちが大好きな、大切な、5人のSOPHIA。

アフターインタビュー

little cloudに乗せて、スペシャルインタビュー。前に松岡・都の2人が座り、後ろにトモ・黒・ジルと並んだ関係上、何故だか黒柳がセンターに来るというミラクル。こういう時って、いつもは前3人、後ろ2人じゃなかったっけか。それか、黒柳はいつも向かって左端にいて、カメラ目線を外して画面の外を見てる、みたいな。
まぁ、今回もご多分に漏れず、センターにいて居心地が悪いのか、且つ目線のやり場がないようで、終始腕を組んで下を見ている。これが本来の黒柳(笑)。

松岡は、「俯瞰から見ているような自分がいて、そのまま進むのかと思ったら、怒涛に突っ込んでいくようなライブだった。オーディエンスが俺を歌わせてると思った。精魂尽きた」。これは、たぶん本当。声が出ない云々じゃなくて、ありったけの思いを乗せて、心の底から歌っていたのはよく分かった。
都さんは、「よく知ってる曲をプレイすることが、9年間の時間を戻してくれてる」。それは同感。久しぶりに昔からの親友に会って、一瞬でその時間のギャップが無くなるような感じ。もちろん、私たちは9年の間もずっと、SOPHIAを聴き続け、見続けてきたけれど。
「愛が溢れる空間だった。思いを精いっぱい乗せてプレイした」とはジルくん。一貫してそう言い続けてきたジルくん。あなたが幸せだと、こちらも幸せになれるのです。
黒柳は、「9年離れてたから、体も動かないし、プレイも完璧だったわけじゃないけど、リラックスしてできたから。いい場所だな、と思った」。そうなんだね。黒柳にとって、ライブはホームなんだ。あなたがそう思ってくれることは、私にとっても嬉しくて幸せです。
「コロナ禍でSOPHIAやるの初めてで。正直、『歌えや』って心の中で思った。声が聴こえた気がしたから、ドラム小さく叩いたけど…」というトモくん。松岡によると、それは妖精の声らしい(笑)。黒柳には「それは間違えた言い訳をしてるの?」と言われ。そんな黒柳も、「聞こえたよな?」と松岡に訊かれて頷いている。…よかった。黒柳もそう思っててくれて。

9年ぶりのファンとの再会

「トモも言ったとおり、裏で"愛の讃歌"を聴いた時点で「ヤバいな」と思った。お客さんと同じ気持ち。あの瞬間は二度とないから」と言う都さん。
そうね。確かにそうだけど、休止して復活、なんてことはもう二度と味わいたくない、というのが本音かも。

9年ぶりの再始動

松岡の言葉。「9年とは言うが、間に3年コロナが入っているわけで、その間、SOPHIA云々なんて考えられずにいたけれど、いや、待てよと。ここまでメタメタにされて、そのままでは終われないと思い、SOPHIAに立ち返ることが出来た」。
そして、「デビュー19年で急死したから、20周年をやっていない。今日からが20周年の始まりだと思っている」とも。

私は、98年からSOPHIAファンをやっているけれど、そんなころ、20周年なんて先の先すぎて、そんな日が来るなんて全く想像できなかった。でも、あれよあれよという間に10年経ち、20年経ってしまった。もちろん、私もその分年齢を重ねたわけだけれど、いい意味でも、悪い意味でも(笑)、SOPHIAも、私も、変わったし、変わらなかった。変わらないことがあること、大切にしたい。

9年ぶりに音を重ねて

まずはアスパラさん(笑)ことジルくん。「5人には絶妙な役割分担があって、トモがビート刻んだ瞬間から、黒ちゃんが乗って、俺が乗って、都が乗って、まっちゃんが乗った瞬間に、時を全然感じさせなかった。もっとぎこちないかと思ったけど、ミーティングで会話してる段階からもうセッションみたいで、これはスタジオ入ったらおもろいことになるなと思ったら、みんな最新型で来てて感動した。過去の何かを再生するんじゃなくて、今のSOPHIAで勝負できると思った」。
ジルくんの素直な言葉、ジルくんの感じたそのままだって分かるから、そこにいるかのように感じる。19年と言わず20年以上一緒にいるわけだから、10年離れていたって、何も変わらないよね。

お次は都さん。「もちろん懐かしさはあって、その上に、新しいSOPHIAとまでは言わないが、活動休止中に磨いたスキルや音楽に向かう姿勢を乗せて、新しいSOPHIAとは言わないまでも、今の年齢でのSOPHIA を見せたいと思ってた。音を出したらそういう感じで行けそうだと思った。今回のいちばんの主役はファンだと思っているから、そこに応えられるようなサウンドを作りたいと思ってやっていた」。

次。黒柳。「ずっと離れてたから、トモと2人で4回スタジオ入って十何時間やった。みんなは休まずやってたわけだから、俺が出来れば問題ねぇ、俺が追い付けば何とかなると思ってた。みんな自分にしか出せない音を持ってるから、それでやりゃあ大丈夫だろうという安心感は、俺は最初からあった。一番不安だったのは俺だから。そんな感じ」。
そうだね。当時はまだトモくんしかツイッターしてなくて、そこに神出鬼没に現れる黒柳に歓喜してたっけか。YouTubeの本人が弾いてみた動画から1年半余り、みんなが待ち焦がれた黒柳だから。だからこそ、彼はファンを裏切りたくなかったんだろうな。彼はそんなに素直に言わないけれど。

次はトモくん。「始まってみれば、スキルアップはしてるけど、9年前の続き。カウント入ったらみんな始まって、こうしたら終わるって、暗黙の了解というか。やりやすいです」。
SOPHIAを後ろから見守って支えるトモくんだから、この言葉には実感がこもってる。伊達に時間を重ねてきたわけじゃない。

最後。松岡。「バンドはあんまり練習したらあかんなと思った」との言葉にみんなが笑う。「俺らは真面目にやってきた。ミュージシャンとして真面目にやる、練習するのはいいけれど、一瞬でバンって音出して一つになれるっていうことの方が大事だから」。
それはきっと、練習に練習を重ねてきたから言えることだよね。それがあるから、阿吽の呼吸で一発で心と音が重なる。いろんなすれ違いや空回りがあったかもしれないけど、それでも、彼らは一つ。
思うに、SOPHIAファンって、それぞれ好きなメンバーはいても、箱推しが多いんじゃないかな。それは、彼らが一つである姿が好きだから、誰が欠けてもSOPHIAじゃないと思ってるからだと、私は思う。

どの曲を届けるか

ここは、すごく関心のあるところだったけど。
松岡曰く、「全員で、どの曲をやりたいか、やるべきか出し合おうって。それを、1曲ずつ聴いて、リハーサルやってみて、お客さんの気持ちをどう持っていくかとかを考えて決めました」と。
…そうだろうね。そうでしょうよ。なんか、もう少し、込めた思いとかを聞きたかった。タイミング的に言えなかったりっていうのがあったんだったら仕方ないけど。

武道館公演の見どころ

ジルくんは、「5人の関係性。今日のライブは、久しぶりに会った友達と飲みに行く感覚。悪ノリ、じゃないけど」。ジルくん、ずっと言ってることが首尾一貫してる。他のことを考えてない、言ってないとも言うけど(笑)、でも、それがジルくんだから。

都さんは、「申し訳ないけど、今の時点では、僕にとっては全部が見どころ 」。「ファンのみんなが涙してるところをめっちゃ見たい」とも言っていて、そういうファン思いのところが都さんだなぁと思う。

そして黒柳。「ステージに置いてる猫のぬいぐるみと、このTシャツと、今日に間に合わせた白いモッキンバード。それだけ見とけばいい」だと。都さんに「3つもあるやん」って言われ、「見どころ満載」と返す黒柳さん。
え。っていうか、そこですか(笑)。だんだん分かってきたけど、あなた、相当自分が好きですね? まぁ、昔からそうだったけどさ。路線転換が過ぎる。

トモくんは、「メンバーとオーディエンスのやり取り。声は出せないけど、思い出して来てくれてるはず」。でも、自分で「誰にとっての見どころ? 後ろの方のファンならそれも見えるよね?」とか言ってしまったので、みんなに白い目で見られて微妙な空気に。
そんなところもトモくんらしくて、大人になったかなと思いきや、そうでもないあたりがまた、トモくんの魅力。

最後は松岡。「9年ぶりだからこうだけど、あり得ないメニュー。普通に歌ってたら、どれだけ鍛えてても声が出なくなる。アルバムのテーマ曲やタイトル曲の大作が多いから、全部がフルスロットルでないと」。
言ってることはそうだろうけどね。その言葉、どう受け止めていいのか、私は分からん。

今後のSOPHIA

「来年の大阪城ホールは、メンバーの4人が関西出身なのもあるし、デビュー前から応援してくれる人がたくさんいたり、大阪行かないツアーはないし、大阪はもう一つの故郷だから、武道館をやって、やっぱり大阪にも挨拶しに行こうよ、ということ。その後は、メンバーがやりたいならやる、やりたくないならやらない。一人でもやりたくない人がいたらやらないから、僕の一存では言えない」と松岡。
そうか。そうだよね。でも、そんなこと言われたら、いろいろ邪推してしまうではないか。休止前は、誰かが何かをやりたくないと言ったのか?とか。やりたくなくなりそうな人は一人しかいないよね、とか。…最近の某黒柳さんを見ていると、幸せそうにやってるから大丈夫かなとも思うけど。

というところで、特にまとめもなく、唐突にインタビューは終了。あっけなさ過ぎて、余韻を感じることもないエンディングでした。

感想その他

このライブ、本当に見てよかった。
いちばんは、セットリスト。私のような、結構頻繁に穴が開いてる人間にとっては、90年代の曲を中心に組んでくれたこの選曲は、本当に懐かしくて、ありがたかった。活動休止前ラストライブは、1年くらい前に映像で見たのだけれど、正直がっかりというか、拍子抜けというか、期待外れだったから、余計に今回のライブがよく見えたのもあるかもしれない。
ここから始まる!という期待感で胸がいっぱいで、それを裏切らないSOPHIAがそこにいて。何より、黒柳がそこにいるっていうのが幸せすぎて。
何がどうなろうが、私はSOPHIAが好き。これからもずっと、私の中にはSOPHIAがいて、彼らと一緒に生きていく。そして老けていく。
そう。"―&―"。今回はやっていないけど、これ、今、すごく刺さる曲。


この記事、今読み直すといろいろ感じるところがあるので。

サポートくださった方には、スキのお礼画像の種明かしをします。 そうでなくても、スキをたくさんしてくださると、きっとどんな秘密が隠されているか分かります。