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第八話 手帳大陸談義

連載第八話は、こひなたんの立場から送る。サガワンの手帳知識を試したのである。

手帳大陸がなぜ4つに分かれているか

「弱そうだ」
私のこの人間への感想である。さっきのSCISSORSとのやり取りは完全に聖剣のおかげだ。しかし、なぜこのような弱そうな勇者もどきに聖剣は力を発揮したのか?理由が知りたい。そうだ、こいつにいろいろ質問してみよう。
「ねえ、手帳大陸は4つに分かれているんだけど、なぜか知っている?」
「いや、まず、4つに分かれていることを初めて知ったよ。どんな国に分かれているんだい?」
「念の国、月の国、周の国、火の国よ。」
「言葉で聞いただけでは、文字が想像できないけど、年、月、週、日といえば、完全にカレンダーだね」
「カレンダーってなにかわからないけど、スケジュールを表示するもののようね。手帳との違いがわからないけど、あなた、概念は理解しているようね」
「もし、そうなら、その4つは本来、入れ子構造だけど、この手帳大陸では四分割されているんだね」
「そうよ。それぞれ、独自の進化をしている。特に、周の国はたくさんの種類の手帳があり、それぞれが宗派として成立しているわ」
「なるほど。それぞれの手帳の使い方で国が分かれたんだね」
(なかなかやるな、こいつ)

知識を試す

そこまで理解できるなら、こんな質問はどうだ。
「周の国で使われている手帳の種類に、バーチカルというのがあるの。わかる?」
「私の知識がこの異世界で通用するかわからないけど、バーチカルは一週間が横に並び、時間が縦に流れるフォーマットだね。フランスのクオバディスがはじめに作ったと言われているね」
(なに!ヴァディスのことを知っているのか!)
「頭になぜ、クオがついているかわからないけど、あなた、ヴァディスを知っているの?」
「俺の世界では有名なメーカーだよ。あ、この世界では錬金術師と言うのか」
「ならば、レフト式は?」
「あ、最も一般的なフォーマットだね。これを使っている人が多いんじゃない?バーチカルも多いけど」
(なに!最近の周の国の勢力図も理解しているのか!)
「このあたりは手帳好きなら基本だよね?」
「お、お前は何を使っているんだ?」
「俺はスライド手帳のライト式だよ」
「ライト式?初めて聞いたぞ。見せてみろ。見た目がレフト式と同じじゃないか。何が違うんだ?」
「よくみてよ。日付が左右反対に印刷されてるでしょ?こうするとページめくりのときに日付を探しやすいんだよ。それに紙の左にToDoを書くところがあるから、システム手帳のリングに手が当たりにくいんだ」
(なんてこった!手帳の知識で手帳大陸のエルフの長が押されている!こやつ、只者ではなかったか!)
「確かに。。。」
この知識を持っていることを聖剣は見抜いたんだな、きっと。これなら、他の賢者や錬金術師と渡り合えるかもしれん。よし!
「明日、周の国の別の錬金術師たちに会わせる。彼らと話をしてみてくれないか?」
「それが、あの爺さんのためになるなら」
「彼の名は、horirium(ホリリウム)だ、覚えておけ。」
「わかった、ありがとう」
(意外に素直なやつだな)

続く 第九話 魔王SHREDDERと魔物


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