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第十六話 ブロックGlassでの尋問

連載もだいぶ続いてきたが、この辺で息切れもしてきた(笑)。小説家というのは大変な仕事なんだろうなと勝手ながら思う(笑)
という、筆者の声は別にして、第十六話はサガワンがお届けする。

大草原

入国審査はこひなたんの巧みな話術でクリアできたが、この先はまだ2日は歩くという。まあ、期限がある旅でもないので、ゆっくりととも思うが、途中で何があるかわからないから、無理ない範囲で急いだほうが良いだろう。

しかし、この大草原はなんだ?北海道の真ん中にぽつんと降り立ったような草原である。アフリカのサバンナが青々したような、そんな広さである。水平線は海に行けば見えるけど、本当の地平線なんて初めてみたぞ。

そんな平原を歩いていると、前後左右がわからなくなるな。道は細々だが続いているのでとにかくそれに従って歩いている。ただ、平原なので、敵襲は遠くからでもわかる。それがなんだか安心材料な気もする。

もう半日歩いただろうか。まだ、草原は続いている。入国審査を受けたときの建物はもう私の小学校の時の記憶ほど、遠くへ行った。既に見えない。
とか、くだらないことを思っていると、
「見て」とこひなたんが言う。

かなり遠くだが、長い壁のようなものが見える。それはだんだんと近づいてきて、その大きさをアピールしてくる。高さは10メートル以上はありそうだ。ただ、半透明で向こう側が透けて見える。目をこらすと人が何人か見える。街の中のようだ。だが、入口はない。

左右に首をふると、左の方に少し出っ張ったところを見つけた。出っ張りは灰白く、縦に筒状に飛び出ている。大きさは直径20センチ、長さが1メートルほどか。まるで、システム手帳などのペン差しのバカでかい版だ。近くに行ってみると、上から声がする。

「その背中の剣をその筒に差し込め!差し込まないなら、立ち去れ!」

と。こひなたんにどうする?という眼差しを向けると、あごで入れろと指示される。仕方ないか。

(スーッ)と剣は吸い込まれていく。そして、剣の柄の部分が筒の端に引っかかって止まった。と思ったら、筒が剣とともにゆっくりと壁に吸い込まれていく。おいおい、取られちゃったよ。。。また、声がする。

「よし、ふたりとも壁に両手をついて立て。そして、おでこを壁につけ、壁を押せ」

言われたとおりにするしかなさそうだ。おでこを壁につけたと思ったら、そのまま前に倒れた。(ドサッ)
壁を抜けたのだ。抜けるならそう言ってくれよ、受け身が取れないだろ。
顔を上げると、3人の男女が上から見下ろしていた。こひなたんも知らない相手のようだ。

尋問

ゆっくり立ち上がる。3人はついて来いという感じで歩き出す。剣は返してくれるのかなあ。

一分も歩かなかったが、とても長い時間歩いたような気もする。足が重い。まあ、草原を長々と歩いてきたところに不思議なことが起こったからかも知れない。とにかく、小さな小屋に入れられた。さっきの3人と私達2人で円形のテーブルに座る。

ここでは食事したり、何かを飲んだりしないから、テーブルはあまり使わない気がするけど、立派なテーブルだ。一人が口を開く。

「ここに何しに来た?」尋問の始まりだなと思った。
「通りすがりです。Leafまで行きたい。ここを通らないとかなりの回り道になると入国審査で聞いたので」
「理屈は通るな。誰に会いに行く?」
「錬金術師のダイ」
「おお、あのダイか。確かにLeafにいるな。何を話に行く?」
「言わなきゃだめなの?」こひなたんが敵対的に言う。私が顔をしかめたが遅かった。
「言えないのか。そうか、仕方ないな。ブロックへ入ることは拒否するしかないか」
「ダイに新しいタイプの手帳を紹介するためなんだ」こひなたんが目で言う(言わなくていい!)
でも言わないと寒いブロックを通ることになる。それは嫌だ。私は寒がりなんだから。
「秘密の手帳なのか?」
「見たい?」
「私は錬金術師ではないから、見ても秘密かどうかはわからないし、それを見たところでブロックへ入れるかどうかは変わらないだろう。それより、あの剣はなんだ?」
「あれは周の国にいる錬金術師hoririumが作ったもの。私が持っていると不思議なことが起こる」
「不思議なこと?」
「剣がひとりでに動いて、魔物を倒したりする」
「本当か?強いのか?」
「強さは私にはわからないけど、二度、戦っているけど、私は何も手を下してないが勝ってることは間違いない。ね、こひなたん?」
「うむ、間違いない。この弱そうな勇者がSCISSORSを倒せると思う?それも一撃で」
「思わんな。さっき、あの剣を持ったが紙のように軽かったぞ。あんなものでSCISSORSを切れるのか?」
「バッチリよ。オラファーの脳天も割ったわよ」
「なんと!あの剣を置いていけば、ブロックへ入れてやろう」
「これは困ったな。この先、まだ、旅は続くから剣がないと魔物にやられてしまう。他の方法はないか?」

「うーん、どうする?」と、他の二人とコソコソと向こうの方で相談を始めた。「あれはどうだ?」と一人が言う。もう一人が「それは無理だろ」ともう一人が言う。「いや、やらせてみよう。失敗したら剣を貰えばいい。そうだろ?」3人でうなづいてニヤニヤと戻ってきた。

続き 第十七話 ジェームズ


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