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第二十話 賢者ダイ&錬金術師ゴウ

なんと、二十話である。ここまで続くと誰が予想したか?いや、誰も予想しなかったであろう。かくいう、筆者もその一人である(笑)
さて、今回はなんと、ダイたちの視点でお送りする。

賢者ダイの悩み

はじめまして、私はダイです。錬金術師をしております。が、以前よりなぜか賢者と呼ばれてもおります。

さて、風の噂で、こひなたんというエルフとサガワンと呼ばれる勇者が私のところを訪ねてくるという話は聞いています。私には情報のネットワークがあるのです。彼らがなぜ、私に会いに来るのかは聞いていませんが、私は私に会いたいという人は詐欺師でない限り、可能な限り会っています。そういう性分なのです。

私は永年、ブロックマンスリーという種類の手帳を作り続けています。弟子のゴウとともにより良いブロックマンスリーとはなにか、研究しています。最近はカレンダーとは違う6週間がきちんと並んだブロックマンスリーを開発して、好評を博しています。

ただ、ブロックマンスリーの限界も感じています。月ごとに区切って働く人たちには大変良いと思っていますが、週で働くエルフたちにとっては周の国の手帳が合っているようです。一方でエルフたちは全体感を持つために、月での情報管理も必要です。この矛盾した点を解決するには、デジタル波に負けるしかないのでしょうか?

ゴウの苦悶

私はダイの弟子でゴウです。ジャパン!
永年、ダイを信じて仕えてきました。ダイとともに作るブロックマンスリーは、月の国のどの錬金術師が作る手帳にも負けない作りだと自負しています。しかし、研究も怠ってはいません。

ただ、その研究を進めるなかで、なぜ、周の国の手帳と我らの月の国の手帳は相容れないのか?という疑問が沸々と湧いています。まだ、ほんの小さな泉ですが。

一方で、永年、研究してきたダイに対する尊敬は、そういった疑問を否定する部分もあり、悶々としています。ダイにこの悶々さを話すことには壁があります。どうするべきか、悩んでいます。

そんなところへ、周の国のギルドから使者が来ると聞きました。彼らの目的は何なのでしょうか?

訪問

「来たか」私(ダイ)は思わずつぶやきました。どんな人間が来たのか、不安でもあり、楽しみでもありました。
「お忙しいところ、痛み入ります。お時間を頂戴して、誠にありがとうございます。サガワンです」と丁寧な発言ぶりだ。
「いらっしゃることは風の噂に聞いていた。私も暇ではないので、早速、用件を伺おうか」
「ありがとうございます。周の国のギルドにも、月の国のギルドにも見放されたhoririumという錬金術師を御存知ですか?」
「ああ、以前、イメイが権勢を増していた頃の話だな。今はセーラー女王のこともあってあまり、イメイも表に出てこなくなったから、その話は過去の話だな」
「そうですか。その錬金術師hoririumが以前から研究していたこのじゃばらんだについて意見が欲しくて伺いました」
「研究の話は聞いていたが、本物を見るのは初めてだ。どれどれ。なるほど、これは超5S手帳とはまた違った蛇腹だな。そして、我々の研究するブロックマンスリーに形態が近いな。一方で週でも使える形でもある」
「そうなの。あ、私はこひなたんです。この特徴からエルフの間では少しずつ広まっているの」
「確かに、これはエルフの仕事の仕方にぴったりかもしれんな。人間にも一部、受けそうに思うぞ」
「本当ですか!こひなたん、来た甲斐があったね!」
「いやいや、喜ぶのはまだ早い」とゴウが言う。
「これはどちらのギルドからも認めてもらえないだろう。ましてやイメイが過去、排除した者の作品となれば、反発するものも居るだろう。なかなか、月の国でやるのは厳しいぞ」
「確かに、ゴウの言う通りだ。しかし、わしはこのブロックマンスリーに似た形が好きじゃぞ」
「ありがとうございます。で、私達はhoririumに頼まれて、一緒にじゃばらんだを作ってくれる錬金術師を探しているのです」
「なんと!なぜ、horirium氏が直接来ないのだ?病気なのか?」
「いや、そういうことでもないのですが、やはり、歳もあり、長旅は難しいだろうとの本人の判断で」
「そうか。しかし、これを一緒にやってくれる錬金術師か。超5S手帳の錬金術師を紹介するわけにもいかんだろうしな」
「師匠、シノンはどうでしょう?彼なら柔軟だし、他の錬金術師の手伝いもいろいろしているはずです」
「そうか、シノンがいたか。彼はどこのギルドにも所属していないしな。ゴウ、よく思いついたな。よし、わしが紹介状を書いてやろう」
「え!本当ですか?しかし、なぜ、そこまで?」
「実はな、ゴウにも話したことはないんだが、ブロックマンスリーに限界を感じていたのだ。いや、ブロックマンスリーにはブロックマンスリーの良さがあり、これでないとだめだという人々は確実にいる。一方で、週単位の仕事をする人たちとの間には溝がある。そんな風に考えていたのだ。すまん、ゴウ、黙っていて」
「いえ、師匠!実は私も同じことを考えていたのです。なんという偶然!」
「やはり、永年、一緒にいると考えが似てくるものだな、はっはっは」
「師匠!一生ついていきます!」
「あのお、お取り込み中すみません。紹介状を。。。」
「おお、そうだったな(笑)」

続き 第二十一話 再びの旅


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