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第二十九話 倉庫の裏

シノンに連れられていく二人。倉庫の裏で待っていたのは?
最終回前は、TTがお知らせする。

工場

シノンは倉庫の横の細い道を通り、裏の方へ行く。サガワンとこひなたんも続く。かなり長い。というか、倉庫はこれだけ大きいのか?とふとサガワンは疑問に思う。
「シノンさん、倉庫は大きいんですね」
「ははは、そう思うだろ?実は異世界とつながっているところなので、ちょっと奥まっているんだよ。倉庫自体はそれほどでもないよ」
「なんと!シノンさん、異世界に行けるんですか?」
「いや、人は通れないんだよ。ときどき、ものが飛んでくることはある(笑)。さあ、ついたぞ」
と聞き、サガワンとこひなたんが顔を上げると、そこには大きな設備がたくさん並んだ工場があった。
「多くの錬金術師たちは、殆どを手作業でやっている。だから、ギルドなどの組合を作って仕事の融通をしたりしている。しかし、それでは限界がある。私達はその限界を超えるために、これらの機械を開発して錬金術師たちの手伝いをしているのです」
「なるほど、そうだったんですか。でも、このことを知っている人は少ないのでは?実際、私も知りませんでした」とこひなたん。
「そうかも知れない。しかし、私達はそれでいい。あまり大量に来ても困るからな(笑)」

じゃばらんだへの協力

これを聞いてサガワンは安心した。これなら、シノンにじゃばらんだへの協力を頼めそうだからだ。
「シノンさん、これなんです」とサガワンはじゃばらんだを出した。
「噂には聞いていたが、なるほどな。まあ、これならうちでもできるな」
「本当ですか!よかった」
「だが、条件がある。錬金術師hoririumがその条件を飲めるのかどうか、そこが問題だな」
「どんな条件ですか?」サガワンが尋ねた。
「大した条件ではないのだが、これを作るなら、その剣を置いていってほしいのだ。どうだ?」
「なんだ、そんなことですか。そもそも、この剣はhoririumにもらったものだし、じゃばらんだをここでやってもらえるなら、hoririumも喜んでこれを差し出すでしょう」
「サガワン、そんなこと言っていいの?」「大丈夫、俺にはわかる」と朝ドラで聞いたセリフを言うサガワン。
「怪しいなあ」とこひなたんは言ったが、たぶん、間違いないだろうと思った。
「じゃあ、決まりだな」3人は手を組んだ。

hoririumとシノン

「では、私はこの足で、hoririumに報告に行きたい」とサガワンは言った。が、シノンが遮った。
「いや、それは私の部下に行かせよう。君たちは何日も旅をしてきて疲れただろう。しばらくは休んでゆっくりした方が良い。実は私はhoririumにも会ったことがあるのだよ」
とシノンは言った。

実はシノンはhoririumのことを知っている。数年前になるが、hoririumがシノンを訪ねてきたのである。そのとき、hoririumはじゃばらんだの原型になるものを持っており、シノンに錬金術師としての協力を求めていたのである。しかし、そのとき、シノンは自身が非常に微妙な立場にあったのである。
火の国の中で錬金術師として活動はしていたものの、ギルドには入れず活動していたこともあって、Ittoにも目をつけられていた。だから、こうして倉庫の奥に工場を作り、少しずつ新しい活動をしていたのである。そして、シノンはずっとhoririumのことを気に掛けていて、周の国からも月の国からもギルドから外されたことを知って、気にしていたのである。
だから、風の噂でhoririumのじゃばらんだをなんとかしようと旅をしている二人を実際のところ、待っていたのである。

そういうわけで、シノンは彼らの申し出は快く引き受けたし、実際、邪破乱打の聖剣はhoririumに会うとき、返そうとさえ思っていた。なぜ、サガワンから聖剣を得たのに、返すかって?それはhoririumとシノンの関係性を知ればわかるのだが、それはいずれまた。

hoririumからの手紙

サガワンとこひなたんはシノンの部下がhoririumを伴って帰ってくるかと思っていたのだが、hoririumは健康上の不調を理由に来なかった。その代わり、手紙が届いた。

シノンへ、そしてこひなたん、サガワン
シノン、今回は私のじゃばらんだへの協力を引き受けてくれてありがとう。君とは以前から知り合いだったが、じゃばらんだの件は一度話して、それきりになっていたことを詫びたい。ただ、君はあのとき、微妙な立場だったし、その後の立場の変化を私も知らなかったから、このような形になった。許して欲しい。
そして、こひなたん、ひ弱なサガワンを支えてくれてありがとう。君のおかげであらためてシノンと繋がることができ、じゃばらんだは大きなステップを踏んだことになる。心から感謝する。
最後に、サガワン。私の無理なお願いを聞いてくれてありがとう。訳のわからないままに旅立ち、今もなぜ自分がこうなったのかわからないままだろうが、人生なんてそんなものだ。しかし、君のこの異世界での活動はきっと君の人生にも役立つとを信じている。
では、みなさん、あらためてお礼をもうしげて、この手紙を終わりにしたい。どうもありがとう。
horirium

hoririumからの手紙

hoririumからの手紙を読み終えると、サガワンの姿は見えなくなった。そして、聖剣だけがその場に残された。
hoririumからサガワンに渡されたじゃばらんだは、そこになかった。

続く 次回は最終回
第三十話(最終話) hoririumの技能と異世界


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