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答辞

 去年、生徒会長だった時に外部の団体で一緒に仕事をした友達が答辞をアップしているので便乗してアップすることにしました。私よりもすごい二人の答辞は以下に貼っておくので読んでみてくださいね。

以下、本番で読んだ答辞です。

答辞

 厳しい寒さも和らぎ、冬ごもりしていた生き物たちが徐々に目覚める季節となりました。
 本日、私たち卒業生のためにこのような素晴らしい式を挙行してくださり、本当にありがとうございます。また、本日はお忙しい中ご臨席を賜りましたご来賓の方々、並びに保護者の皆様には卒業生を代表して厚く御礼申し上げます。私たち一四三名は、先ほど頂戴致しました皆様からの温かい言葉を胸に立教池袋高等学校を卒業します。

 新しい緑のネクタイを締め、このホールに見知った顔と新たな仲間が集った入学の日から、私たちの高校生活は始まりました。一つ違っていたのは全員がマスクを着用していたことでした。私たちの高校生活は新型コロナウイルスの規制と共存の時代の中にありましたこの答辞を述べている最中にもコロナによって規制された無念な記憶やそこから解放されてきた日々の喜びの記憶が蘇ります。

 高校一年生として生活していく中、中学校とは違う専門性の上がった学問に戸惑うこともありました。特に数学には苦労させられ、今でも理解できているのか非常に怪しく、高校三年生のぎりぎりまで延長戦を戦い抜くことになってしまいました。また、体育祭の規模縮小やオンライン限定のR.I.F.などイベントが次々と中止や規制されていく中で初めて行われたイベントがキャリア学習でした。自身の興味のある職業に就く方々の生の声を聞き、自分自身が将来の職業を考えるきっかけとなりました。仲間とそれぞれが学び、感じた内容を発表資料にまとめていく時間は替えのきかないものであり、その大切さを認識しました。

 高校二年生となり、我々は生徒会やR.I.F.、体育祭など生徒会活動において大きな役職に就くようになり学校のリーダー的立ち位置を担うこととなりました。私自身、生徒会長として一年間活動していく中で生徒会に抱いていた幻想と現実の差に打ちひしがれ、人を頼ることの難しさを痛感し、生徒総会で発議した次点副会長制度に関する議題が否決され、私が生徒会長でいいのかと悩む日々もありました。そんな中でも生徒会内で私を支えてくれた役員や代議員会での激しい議論によって自身が選挙時に掲げた目標三つの内、広報力の強化と目安箱の設置という二つを達成したことは大きな経験であり、自身が悩んだ時間もまた今後もいき続けることと思います。答辞という素晴らしい役目を担っている今でも、私のコロナウイルス感染により体育祭の選手宣誓ができなかったことは今でも悔やみきれません。
 また、校外学習が我々の学年から復活し、北九州、南九州。沖縄本島、沖縄離島という南西に寄りすぎている四コースにて実施されました。もちろんコロナ禍という言葉がまだ残っている中での実施だったためマスクの着用など様々な制約があったことは事実です。そんな中でもコース作成委員や先生方の努力のおかげでコロナ禍のなかでできる最大限の校外学習であり、我々の記憶の中に今も色鮮やかに輝いているものとなりました。

 高校三年生になると前年までのコロナへの規制が嘘のように消え始め、中止されていたイースター礼拝・創立記念礼拝・クリスマス礼拝などがタッカーホールで復活し、それまで屋内で行われていた朝礼は屋外で行われるようになりました。R.I.F.には一般公開と飲食物提供が戻り、日常生活の中でマスクの着用は完全に個人の判断に委ねられ校舎内ではマスクをつけないものの姿を多く見ることができるようになりました。そんな中で卒業論文の執筆が春から夏にかけて行われ、調べ学習と研究の違いとは何かに苦悩しながらもそれぞれが自分自身の選んだテーマについて深く学び、自分自身の結論を導き出し、論文を完成させました。自由を取り戻した生活の中で私はその恩恵に預かりつつも、その自由を取り戻した生活の中で躍動する高校二年生に対して嫉妬心を覚えたのもまた事実です。

 ここまで、多くの人々に支えられて生活をしてきました。私の父は厳しくも常に家族のことを考え、遅くまで働いてくれています。私の母は毎朝私のために弁当を用意して、私がしたいことを黙って応援してくれました。。同級生は共に同じ学問を学び、ともに悩み笑いあいこれから母校を共にします。後輩たちは私たちの去った後の立教池袋を素晴らしいものへ変えていくことでしょう。先生方には私の成績不振で進級や卒業について常に頭を抱えさせてしまったことをこの場を借りてお詫びいたします。

 世界は悪意に満ちています。そんな世界の中で人々から悪意を向けられることがあったとしても、それと同じかそれ以上の愛が私たちを包んでくれているような高校生活であったことは間違いのないことでした。現代社会はSNSが発達し、地球の裏側で一羽の蝶が羽ばたいたというような小さな情報をすぐにキャッチできると同時に、心無い言葉によって多くの悪意を受けてしまう場所となってしまっています。人々は誰しも一夜にして注目の的になることができる可能性を秘めると同時に、一夜にして誹謗中傷の的となり全世界から攻撃される可能性をも秘めています。そんな世界が広がり続けてしまっている今だからこそ、そして家族や学友、先生方などが集うこの式だからこそ、自分たちが周りの愛にいかに包まれているかを実感し、自分たちの生きる身の回りの愛を胸に秘め、愛されていた時代から巣立つ者として大切にしていきたいと思います。私たちがこの三年間で得た学びを一四三名がそれぞれの場所で発揮し、人々にまた温かい愛を与えられる人間たちになることができるよう、これからもどうかまた見守っていてください。

 最後に、私たちの前途が栄光に輝くものであること、私たちを支えてくださった皆様のご健康、そして立教学院のさらなるご発展を祈念いたしまして、私の答辞とさせていただきます。

二〇二四年三月一一日
卒業生総代 岡部 優司


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