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【アルバムレビュー】Foregone

2023年にリリースされたIN FLAMESの作品。
彼らに、原初の暴虐性と悲哀が帰って来た。

創設メンバーであり、メインソングライターの1人であったJesper Strömbladが脱退してからすでに13年の月日が流れた。

作曲担当のもう1人であるBjörn Gelotte、そしてvo.のAnders Fridénは作詞だけでなく作曲にも参加しプロデューサーやレコーディングエンジニアすら兼任している。

シンセを多様し、モダンでもはやオルタナティブメタルの先駆けであり記念碑とも言えた6thアルバム「REROUTE TO REMAIN」辺りからAnders Fridénの『色』というものは現れ始めてはいたし、続く「Soundtrack To Your Escape」では米国市場を意識したのかメロディックデスメタルという枠は取り払われていた。

この頃の作品から即効性が無く一聴しただけでは良さを正しく理解するには視聴回数と時間を擁すようになった。

あれから約20年。

IN FLAMESは、2000年代に回帰した。

「colony」や「CLAYMAN」を経た次の作品と言われてもおかしくない仕上がりになっている。

「REROUTE TO REMAIN」が産まれなかった世界線のアルバムと評してもいいかもしれない。

どこかノスタルジックな感覚に包まれるインスト曲の『The Beginning Of All Things』

禍々しいリフワークが魂をゾクゾクさせつつ、メロディアスなギターソロを堪能出来る『State Of Slow Decay』や『Meet Your Maker』

昔からではあるが、Anders Fridénのクリーンボイス歌唱はどこかMarilyn Mansonを彷彿とさせる。
それの最たる例であり、かつエモーショナルに歌い上げる『Bleeding Out』

これぞIN FLAMESという数々のフレーズをちりばめて再構築したかのような
『Foregone, Pt. 1』

有象無象のエモバンドが裸足で逃げだしてしまいそうな『Foregone, Pt. 2』や『Pure Light Of Mind』は米国市場を意識し、オルタナティブメタルへのシフトしたが故の楽曲だと感じる。
とはいえ、このメロディは北欧のバンドでなくては作曲出来ない情緒がある。

ライヴでは『The Beginning Of All Things』から2曲目に繋げられる、これこそが、この曲こそが、IN FLAMESと言える名曲『The Great Deceiver』

モダンでヘヴィな『In The Dark』
如何にもミドルテンポで重い北米な曲だが、その中に北欧の空気を纏ったIN FLAMESだからこそ作ることが出来るのだろう。

続く『A Dialogue In B Flat Minor』もミドルテンポで2010年代のアルバムに入っていても不思議ではない良曲だし、『Cynosure』も相変わらずモダンでヘヴィ、かつメロディの奔流に溢れている。

速度を落としながらも飽きない旅を続けることが出来た終着点の『End The Transmission』
オルタナティブでありながらメロディックデスメタルの、いや、イエテボリサウンドを体現することを忘れていない、この新作は約30年となるIN FLAMESの活動の集大成とも言えるアルバムなのかもしれない。

95点

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