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夏の音

実家は長崎の五島列島。
父方の故郷が五島であり、そこで生まれた。
母は長崎本土の出身であり、実家は多良見町という。

多良見町はいい。ゼリー工場のタラミもある。他にも母が好きなじゃがちゃん(ジャガバターに似ているが、母から言わせると全く違うらしい。)もある。実は私もお気に入り。
祖父は過去にみかんを育てていたこともあり、田舎のよくある、段々畑に住んでいる。

祖父の家を訪れるのは決まって夏だった。
もともと母と祖父は、仲が良いとは言えないし、母から言わせると法事くらいでしか会いたくないらしい。
母には厳しかった祖父も、孫の私にはとても甘い。甘いってもんじゃない。
20歳を超えても、玄関先で遊ぶ用の花火を準備してくれていた。いつまでも孫でいれて嬉しかった。最近は長らく会っていない。

田舎はクーラーがいらないとは本当のことで、多良見町は窓を開けているだけでひんやり心地よい。おまけに鈴虫の音やらで、なんとも言えない寝心地なのだ。
自然の中に溶け込んで、眠る瞬間は満ち足りた気分になる。

今の何不自由ない生活には、何かが足りない。貨物列車の音、新幹線のレールを点検する音、それではつまらないでしょう。
いつだって過去の方がキラキラしているのは何故なのだろう。
たまにあの夏が、恋しいと思う。

今年は敬老の日を送らなくちゃ。

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