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カレーライス

好きな食べ物は?と聞かれたら、私は迷いなく
「カレーライスと餃子です」
と答える。
(バイト先のオーナーに「少年か」とつっこまれたことがある)

カレーライスと餃子なら、毎日食べても飽きない。
とは言い切れないけれど、多分一週間くらいなら食べ続けられると思う。
朝昼晩カレーは余裕。
夜ご飯がカレーの時は、夜、翌朝、翌日の昼のコンボが当たり前。

今日は本当になんとなく、カレーライスについて少しだけ語る。

私はカレーなら、味わうどころじゃなく辛いもの以外は大体好きだ。
カレーライスに留まらず、ナンをつけて食べるのも好きだし、スパイスの香るカレーも好きだし、グリーンカレーのような、ココナッツ系・青い辛さ(ししとうとかの痺れるような独特の辛さを私は「青い辛さ」と呼んでいる)のものも好き。

でもその中でも一番好きなのは、市販のルーを使った"おうちのカレー"。
(市販のルーを使ったカレーが一番好きだなんていったら、本当にカレーが好きな人たちに怒られそう。いや私だって本当にカレーが好きな人たちの一員であるはずなんだけど)

にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、豚バラ肉が入った、スタンダードなカレーが一番美味しいと思ってる。
適度な甘さとコク、トロトロの玉ねぎ、ホクホクのじゃがいも、旨味を出してくれる豚肉。(にんじんのうまい描写が思いつかなかったので、にんじんにはこの場を借りてお詫び申し上げる)

特に私が好きなのが、給食のカレーと、キャンプで食べるカレー。
一切の手間をかけずに、最もシンプルな調理方法と材料で作られた気取らない味。そしてあのドロドロすぎず、シャバシャバすぎない、ご飯とよくマッチするあのルーの絶妙なテクスチャ。何杯でも食べられるなと思う。
私は、必要最低限の調理工程で作られる給食やキャンプのカレーを親しみを込めて"キャンプカレー"と呼んでいる。(まれに街によくある食堂や、大学の学食などでも思いがけず"キャンプカレー"の味に出会えることがある)

私の祖母は、私がカレーを好きなことを知っていて1ヶ月に1回くらいカレーを作ってくれる。祖母はカレーには独自のこだわりを持っているので、いつもスタンダードな材料以外に、セロリやすりおろしたにんじん、りんご、蜂蜜、ウスターソース、ニンニク、生姜、トマトピューレなど、本当にいろんなものを入れている。いつもこれらの分量が微妙に異なるので、祖母のカレーは毎回味が違う。ルーがドロドロな日もあれば、シャバシャバの日もある。でも毎回ちゃんと美味しい。いろんなものを入れるだけあって、なかなか奥深く、立体的な味がする。

ただ、やっぱり私は時々どうしても"キャンプカレー"が恋しくなる。
あの余計な装飾のない、シンプルなカレーが、無性に食べたくなる時があるのである。
(ちなみに、"キャンプカレー"は少し硬めに炊いたご飯とものすごく相性が良い)

"キャンプカレー"を人間に例えるならば、白いスタンドカラーシャツとベージュのチノパンを履いた、純朴な青年だと思う。
周りがスパイスを入れて味わいを出してみたり、ご飯を鮮やかなサフランライスにしてみたり、おしゃれに盛り付けて卵の黄身を飾られたりと、まるで大学に入ってから少しずつ垢抜ける学生のように洗練されていく中、ただ一人"キャンプカレー"の彼だけが自分のスタイルを貫き、余計な飾りをつけることなどなく、シンプルであり続けているのである。

ちなみに、私はあまり話したことがない人や、まだお互いのことをそんなに知らない人と会話する時、どうしても「好きな食べ物は?」と聞いてしまう。「好きな食べ物は?」という質問は、聞くことが思いつかないときに使う鉄板クエスチョンなのかもしれない。でも聞いてみると、その人の意外な一面が垣間見えたり、その人がその食べ物を異常に愛していた場合、熱いエピソードなんかを聞けたりするので、案外盛り上がる良い質問だな、と思う。

「好きな食べ物は?」という質問は、多分これから先も何度か聞かれる機会があると思われる。
だから、「うーん、なんでも好きですねえ」みたいな面白くない答えにならないように、自分なりの答え、それも「米と、肉と、麺と…」みたいなパッとしないふわふわしたものではなく、ズバッと、これだ!というものを用意しておくべきであると私は勝手に思っている。

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