Antelope Zen Quadro Synergy Core レビュー

日本語でレビューしている記事がまあ驚く程に見つからないので、発売日に購入したZen Quadroについて書く。

スペック/技術詳細なんかは日本語マニュアル読んでください↓


サウンドについて

まずはMonitor Out/Line Out.
Audient iD44からの乗り換えだが、レンジが広く、解像度が高い今時のサウンド。
サブウーファーに割り振っている、可聴域ギリギリのローエンドのアタック感がしっかり把握出来る。所有しているZen Goと比較しても、正統進化といえる。

Headphone OutはZen Go比でかなり良くなっている。
Zen Goでは、Monitorのクオリティと比較して、おまけなのか?といった感じだったが、Quadroにおいてはしっかりとドライブしてくれる安心感がある。
iD44の堅剛さに対し、Amariに見られるリッチさの片鱗を感じた。
(ちなみに、Zen Goのスペック表にはヘッドホンアウトの記載がないが、Quadroにはちゃんと書いてある……マジのおまけだったんだろうな。)

Inputセクションは基本的に、味付けしない扱いやすい方向性に思える。アナログ的な歪みはEdgeマイクかFPGAエフェクトでどうぞ、なのだろう……
Discreteマイクプリを推しているが、フラットで解像度高くSN比をよくするために採用しているのであって、アナログ感を演出するためではなさそう。iD44もDiscreteだが、あっちの方が色付けを感じた。
こちらもZen Goに見られた音の細さはない。

総じて10万円切っているとは思えないクオリティの高さだ。この価格帯で解像度とレンジ感と量感を備えた製品って無いんじゃないか?
Apogee Symphony Desktopに勝てるとは思わないものの、いい線を行っていると思う。方向性も似ている。

また、Zen Goで見られるパワー不足感は全面的に解消している。とはいえ、しっかりと電力供給が可能な接続をするべき。

安定性や快適さについて

おそらく音より気になるところだろう。
私の環境では、毎日使用し、トラブルはほぼ起きていない。(M1 Pro MBP / macOS Sonoma)

稀にUnified Driverを掴まないことはあるが、刺し直せば1発で認識するし、音切れやCPUスパーク、コンパネの重大な不具合もみられない。
本体からルーティングを触れるようになったためか、コンパネの設定が上手く本体に保存されないこともなくなった。

ただし、Antelope製品は全体的に、USB規格の通信帯域と電力に厳しい印象がある。
私はThunderbolt Dock経由で接続しているが、PC本体に直接刺すと電力不足っぽい不安定さを感じる。DockのPCへの給電能力が、純正チャージャーより低いためかと思われる。
通信量も電力消費量も多いことから、セッティングには配慮した方がいい。音の良さとはトレードオフ。
2個目のUSBポートに追加の給電が可能らしい、不安定な環境では試すと良いかもしれない。
2PC環境は使わないので試してない。

また、Antelope製品は電源Offができないため、ケーブルをぶっこ抜くかPCシャットダウンで電力供給を断つことになる。
Zen Goでは電源が切れるたびポップノイズが生じてストレスだったが、改善されている。わざわざコンセントから24時間給電してやる必要がなくなった。

(電源周りが良くなったしか言ってないな……)


サポートについて

不具合が一切ない訳では無い。Clear Qエフェクトの描画バグがあったため、日本語サポートに問い合わせた。
ブルガリア本社の日本語担当が対応してくれる。普通に翌日返答が来るし、普通に丁寧に対応していただけた。

ちなみに、Clear Qエフェクトでスピーカーのキャリブレーションをしている。便利。

総括

ウェブサイトの情報の集めづらさやレビューの少なさ、未検証な部分など多いが、クオリティとしては間違いなく進化している。
ルーティングの自由度なども高いため、音響の基礎知識とデジタルのトラブルシューティング得意な人にはおすすめできる。
させば使えて安定していて音がいい、とは違うため注意は必要。


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