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写真とフレーズで物語をつむぐ

ステキな明日はくるのだろうか?

久しぶりに手にとった書籍。Tomorrow。

書籍の整理をしていて発掘された。

平成16年出版当時、国内で90万部を突破し、ベストセラーになった。

あれから、16年?

表紙のオランウータンの写真をみて、かなしくなる。

「森の人」とよばれるオランウータン。東南アジア(スマトラ島、ボルネオ島の熱帯雨林)に生息する彼らは、過去100年の間にその数は80%も減少したといわれています。違法伐採や農地開拓等による生息地の減少、地球温暖化、ペット等にするための密輸などが主な原因です。

レッドリストでは、CR=1近絶滅種に指定されており、危機的な状況にあります。

さて、本に戻ります。この本は、いまは困難なことがあったとしても、きっと明るい未来はくる。というテーマを、様々なフレーズと写真で事例を積み上げ、展開しています。

They say these are our darkest days, and the future looks bleaker than ever.

(本書p36)

本の特徴(日本語版)は、日本語の文章と、英語のフレーズが対になっていることです。上のフレーズは、「いまだって絶望的だけど、未来はもっと暗いと」と訳されています。

ところどころにブラックユーモア的な文章をはさみながら、本質的なフレーズをはさみこむことで、印象を説教くさくしないようにしている。

You will find that here is always beauty and hope in even the most awful circumstances.

(本書p46)

When it comes to ne`er-do-wells who betray and hurt others for their own personal gain, their wicked ways eventually catch up with time. They pretty much always get what they deserve in the end.

(本書p74)

たとえば、上記2つのフレーズをみると、上はどんな状況でも希望がある。下は、ろくでなしは、かならずむくいを受ける。

そして、これらを受けて、問いかける。

What is it that you truly want?

(本書p80:あなたの本当の望みはなに?)

その後展開する、

Be your own cheerleader.

(本書p98:自分自身の応援団になろう)の写真が、ヒグマが爆笑して手をたたいているようなシーンだったり、

So follow only your own road, wherever it leads you, one step at a time.

(本書p102:自分の道を一歩ずつ進もう)の写真が、アリのアップの写真だったり、

写真で物語を語り、簡潔なフレーズでも物語をつむぐ。

活字が苦手な人でも、なんとなく読めてしまうような感じになる。

本書の最後は、Tomorrow.の一言で締め括られているのですが、その写真がペンギンの後ろ姿だったり。

人への啓蒙書としては、たしかに。。。と思います。

ただ、一方で、素材としてつかわれている冒頭のオランウータン、ラストのペンギン、ライオン、ホッキョクグマ、チンパンジー等、たくさんの野生動物たちの写真をみると、かなしくなります。

なぜなら、彼らの生息状況は、この16年の間で悪化の一途をたどっており、まったく好転していないからです。

それはさておき、物語をフレーズと、それを効果的に説明することができる写真とを組み合わせることで、感情にうったえ共感させていくプロセスは、おもしろいものでした。

それは、追い詰められている人ほと、もしかしたら強く感じることかもしれません。それはだれかに言って欲しいフレーズたちだからです。でも、だれも言ってくれないし、救ってくれない。から、自分で自分を立て直さなくてはならない。そんなときに、救いになる本だったから、ベストセラーになったのでしょう。

シンプルなフレーズと、それを表現するビジュアルがあると、ものごとは伝わりやすくなる。それを再確認した本でした。

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