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【視点別比較!】あなたはどの音声配信アプリを使えばいい?【アプリの規模・配信者・リスナー】

どうも。Radiotalk にて「文化人類はかしがましい!」という番組を配信している田舎の文化人類のASTRAYです。誰やねん。って方は是非以下から聴いてみてください。

今回、僕が愛聴しているドングリFMのなるみさんが音声配信にまつわるアドベントカレンダーを作るということで勝手に参加させていただきました。絡んだことは一度もありません。参加理由も面白そうだからという理由です(お邪魔してごめんなさい)。アドベントカレンダーについては以下をどうぞ。

さて、恐らくこの記事を見ている方は少なからず音声配信に興味があるorやっているor聴いている方だと思います。音声配信の主なメリットとしては、配信者にとっては動画やブログよりも簡単に、リスナーにとっては別の作業中にも聴くことができることがあげられています。そういった手軽さもあってか、アメリカを中心に徐々に業界が拡大しています。

そんな音声配信ですが、日本国内でも拡大していく見込みがあるとかで配信できるサービスが増えてきています。これから配信していく方々は、どれで配信していくべきか悩むと思いますし、聴いている方もどのアプリを入れればいいか悩むと思います。

というわけで今回は、それらのプラットフォームを「アプリの規模感」「配信者」「リスナー」の3つの視点で比較していきます。
これを読めばどのアプリを使うのが自分にあっているか、ある程度わかると思いますので、ぜひ最後まで読んでってください!

今回取り扱うアプリは以下の通りです。

・himalaya
・spoon
・Radiotalk
・Anchor
・stand.fm
・REC.

また、気合を入れて書きすぎたので長文駄文が続きます。Radiotalk で要点だけまとめたものを収録する予定なのでそちらもどうぞ。


※1:筆者はRadiotalkでしか配信していません。利用者の視点ではないことを予めご了承ください。間違いがありましたらコメント欄でご指摘していただければ幸いです。
※2:今回は僕が知っていて、音声のみを配信できるもの、配信に特別な要件を必要としていないもののみを列挙しています。動画も配信できたり、配信に審査が必要なものは含まれていません(ツイキャス、Voicy等)。
※3:ここに書かれているものは2020年12月5日現在の情報です。

アプリの規模感

ここでいうアプリの規模感というのは、アプリの基本的な情報(対象年齢やカテゴリ等)や運営会社やtwitterのフォロワー数等のデータを指します。以下に表示する表は左から正式版のリリース年月順に並べたものです。ちなみに表中の And は、Android を指します。

表1.アプリの規模感

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各項目について上から箇条書きで説明していきます。ただ、リリース日に関してはこれ以上のことは言えないので割愛します。

DL(ダウンロード)数は、google play のDL数を参考にしました。himalaya,spoon,Anchor に関してはグローバルに展開しているので比較にすらなりませんが、国内のみであれば Radiotalk が一つ抜き出てるように見えます。ただ、日本においては iphone が強いのであくまで指標として参考にできるかなくらいです。iOS版については、app store がDL数を公開していないので書いてません。

対象年齢に関しては himalaya 以外、各社Android版は軒並み12歳以上にしています。ここで注目してほしいのは、iOS版で Radiotalk の対象年齢が17歳以上(app storeで設定できる最高齢)に設定されていることとstandfmとAnchorが4歳以上に設定されていることです。今時コンテンツ制限をつける人も少ないような気もしますが、検索で引っかからなくなるのでアプリのダウンロード数には多少影響が出ている可能性があります。

カテゴリに関しても、オーディオブックの機能もある himalaya の「教育」、Anchor の「ニュース」を除けば「エンタメ」に設定されています。しかし、ここでもAndroid版の standfm と Anchor の「音楽&オーディオ」になっている点が気になります。深読みしてもしょうがないので割愛しますが、カテゴリ別ランキング順にしたときにDL数の多さに反して Radiotalk よりも standfm の方が早く表示されるので優位に働く可能性があります。

運営会社に子会社が多いのも現在の音声配信市場の特徴かもしれません。他のアプリも含めると実はそうでもなかったりするかもしれませんが、やはり子会社がやっている1事業というのが現状のようです。Anchor に関しては Spotify に買われてるので他の運営会社とはまた違いますが、いずれにしても日本において音声配信が稼ぎ頭とはまだ言えないかもしれません。

最後に twitter のフォロワー数ですが、spoon が圧倒的です。一時期(今も) Youtube で出していた広告の影響だとすれば Youtube の偉大さがわかります。twitter で盛んに運営がツイートしてるものと言えば Radiotalk があげられますが(2020/12/5現在:9,564 件)、全くツイートしていない standfm (2020/12/5現在:713件)とフォロワー数にそこまで開きがないのを見ると集客効果が得られているとは思えません。これはフォロワー数だけ見ればの話なので何とも言えませんが、少なくとも twitter からは人気には見えません。

配信者

次に配信者視点から、主にアプリの収録機能について見ていきます。

表2:主要な収録機能比較

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各項目の説明は以下をどうぞ。

録音時間:アプリ内で録音できる時間
BGM:アプリで録音した際にBGMをつけることができるか
SE:アプリで録音した際にSE(効果音)をつけることができるか
編集機能:アプリ内で録音したものを編集することができるか
音源アップロード:アプリ以外で収録した音声をあげることができるか
アプリ外からの配信:Webページからアクセスして配信できるか
RSS(外部サービスへの連携):Podcastなどに同時配信することができるか
コラボ:リモートで複数人と収録することができるか
収益化:リスナーからの課金アイテムや再生数などから収益を得れるか
下書き:収録した音声を後から編集することができるか
予約投稿:収録した音声を時間を指定して自動投稿することができるか
JASRAC:申請して楽曲演奏などができるか
アナリティクス:聴取者の特性や再生数などのデータが見れるか

ここでは、左から順にアプリごとに見ていきます。ただし、編集機能とアナリティクス(聴取データ)に関しては最後に各アプリでできることを比較します。

himalaya は、もはや収録アプリとしては使い物にならないといっても過言ではありません。表を見ればわかる通り他のアプリでできることはまずできません。手軽に収録をするなら選ばないと思います。ただし、この himalaya の恐ろしいところは podcast に配信されてる番組は全て聴くことができることです。つまり、Radiotalk や Anchor で RSS 配信すると Spotify, Applepodcast, googlepodcast だけではなく himalaya でも配信されます。こんなのあり?って感じですが RSS をキャッチすること自体は問題はないので…。また、他の録音アプリ(garageband 等)で収録した音源もアップロード可能(PC版のみ)なのでアプリで収録する必要性が皆無です(アプリの収録画面でもPC版を勧めてきます)。というわけで実質聴き専用アプリとも言えます。

spoon は、言わずもがなといった感じですが基本 Live 配信アプリなので収録に関する機能はほぼおまけのようなものになってます。仮に収録を中心にやっていくなら himalaya と同じくアプリ外で収録したほうが勝手が良いかもしれません。ただ、先日TBSラジオで出ていた方が「車を買えるほど」儲けているとのことだったので、市場規模としては他のアプリと一線を画するものと言えます。流石1000万DL。

さて、僕が配信している Radiotalk はどうでしょうか。他のアプリと比べるとスマホアプリ内で収録、配信を完結させています。音源アップロードに対応していない点では、配信する自由度が低いと言えます。更に配信できる時間も他のアプリと比べ短いです(収録もLiveも)。しかし、RSS 配信ができるのは Anchor を除けばこれだけですし、収録にも投げ銭ができるのは spoon とこれだけです。そう考えると結構バランスよく出来てるのかなぁといった印象です。SE についても REC. とこれだけですが、スマホから出た SE をマイクから拾っているという仕様なためイヤホン装着時には使用不可能です。ただ、今のところ Radiotalk にできて他のアプリにできないことがないので音源アップロード未対応な点や配信時間が短い点は、配信者にとって要らぬ枷になっているかもしれません。

続いて Anchor ですが、アプリで収録しても後から編集できるし、一つの配信をセクション毎に分けることも可能です。それだけでも十分なのにアップロードまで可能というのが流石というべきかもしれません。また、他のアプリと違って、舵の切り方が思い切りが良すぎることも配信者にとってありがたいように思えます。一例としては、世間がコロナ禍でワタワタしてた際に「Zoomで収録したものをそのままあげられるようにしたよ!」と自社のコラボ機能を使わなくていいよと言っているも同然のことをしたのことがあげられます(コラボ機能自体はコロナ禍前からあったのに)。ちなみに収益化についてはアメリカの方では動きがあったり、親会社である Spotify も様々動いているようですが、日本にはまだ来ていないようなので「×」となっています。

standfm については、特筆すべきは収益化の機能だと思います。他よりも何より収益化を自サービス内で確立させたいという印象があります。投げ銭が主要になっている音声配信業界において、パートナー契約を結んで配信者にある程度お金が入るようにしたり、コンテンツ販売を導入できるように動いていたりなど精力的です。また、RSS 対応していないので standfm でしか聞くことができない企業、芸能人(田村淳さん等)の配信もたくさんあります。他の機能も非常に優秀で自由度が高いとも言えます。しかし、収益化に関しては Anchor や Radiotalk(どちらも現在はやっていない?) と似たようなことをしている点、他のブログサービス(note 等)と被る点もあるので未来は明るいとは言い切れないのも事実です。

REC. はこの中で一番新しい音声配信メディアですが Anchor と同じようにいいとこどりをしたような音声配信アプリになっています。特に SE に関しては種類が豊富で配信を盛り上げる機能がついていて配信する側も楽しいと感じるようです。また、Youtuber事務所の UUUM が作っているだけあって人気Youtuber もラジオを出したりしています。それにあわせてかどうかは不明ですが、Youtuberとのコラボ企画もあったりするようです。収益化と RSS 配信に対応するかどうかが今後の注目ポイントです。

最後にアナリティクスと編集機能について書いていきます。ただし、表2でその機能が無い spoon を除いてのデータになりますので予めご了承ください。

表3:編集機能とアナリティクス比較

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編集機能については、色んな編集ができるけど一発撮り前提の Radiotalk と必要十分な3アプリという構図に見えます。ただ注意してほしいのは、Radiotalk は iOS版でしか出来ないということです。痒い所に手が届かない…という印象を受けます。かつ他の3アプリでは音源アップロードができますが、Radiotalk ではできません。うーん。。。

アナリティクスについては、Anchor と himalaya がより詳細まで見ることができるので分析が大好きな人には嬉しいものになります。特に Anchor については、どのアプリから聴かれているかの割合までわかるそうです。次点で Radiotalk がそれなりのデータが見れます。Radiotalk に関しては今後機能の拡充が期待されるので(先日プロフィールで性別、年齢入力ができるように)、もう少し詳しく見ることができるようになるかもしれません。standfm は note と同じ内容のデータしかないので詳細までは見ることはできません。アナリティクスとは?という感じですが。

リスナー

リスナー側の視点で見ていきます。主に聴く時、配信者へのアクションで使える機能について書いていきます。

表4:聴く際の機能等

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Podcast の強みとして、「音源をダウンロードし、アプリ内でオフラインで再生できるので通信容量を食わないで済む」というものがありますが、今回挙げたアプリでは himalaya と Radiotalk 以外ではできません。RSS 配信すれば ApplePodcast 等でオフラインで再生できたりするのですが、Anchor 以外対応していません。

連続再生は、配信者のページから聴く場合の連続再生を指します。軒並み過去回に飛ぶだけのシンプルな仕様になってます。なので一番古い回を聴くと再生が止まります。この中では、Radiotalk のみが聴いている回から新しい回を再生していきます。また、全て聴き終えても再生を続ける仕様(他の回に飛ぶ)になっているのも Radiotalk のみです。1から順番に聴きたい方、前編後編をわけて投稿しているものを聴く際には大半のアプリは不便だと言えます。

コメント機能に関しては、ここにあげたアプリではリスナーもコメントを見ることができるものが多いようです。Anchor だけボイスメッセージが送れるようです。コメントは送らなくてもリアクションを送れるものは多いのでコメント送りにくい方は、一先ずリアクションを送るのはありかもしれません。

正直何でついてるかわからない再生速度変更機能については spoon 以外付いています。更にスキップ機能も spoon 以外にはついています。やはり spoon は収録はおまけなんだろうなぁという印象です。スキップ間隔については15秒が標準かと思いきや Radiotalk は10秒となっています。一回の配信時間が短いからなんでしょうか。

投げ銭ができるのは spoon, Radiotalk, standfm(Liveのみ) の3つとなります。推しに課金したい!お金を落としたい!という方はこのアプリでやっている人に向けてなら投げることができます。

恐らく多くの方が望んでいるであろうプレイリストの作成は、himalaya 以外作れません。spoon はともかく他のアプリで出来ないのは何故でしょうか? RSS 対応の Anchor と Radiotalk は Spotify などで作ることができますがアプリ内で作ることはできません。この辺は多くの配信者を聴いて欲しいという運営の気持ちもあるのかもしれません。

再生数、リアクション数、登録者数については見れたり見れなかったり…とまばらですが公開、非公開を選べるものは無いようです(Youtubeではチャンネル登録者数の公開非公開は選択できます)。リスナー視点では気になることも有りますが配信者としては見られて気持ちいいほどいるわけでもないので個人的には再生数や登録者数は見えないほうが気が楽です。

最後に検索の機能について書いていきます。近年では検索よりも如何にユーザーに探させずにコンテンツを楽しんでもらえるかを考えるべきという風潮ですが、どんな配信があるか、何かの配信を探す時には検索の機能が欠かせません。そこで検索については、ほぼすべての音声配信アプリに配信している「カグア飯🍚」を検索してみます。

検証方法としては、「カグア」(完全一致)、「カグ」(部分一致)、「かぐあ」(かな表記)、「かぐ」(かな表記+部分)と「🍚(ご飯マーク)」の3つで検証します。その結果は以下の表5のとおりです。表5の中の「-」はご飯マークが使われていないものを指します。

表5:検索機能のテスト

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まさかの Anchor 全滅…。というか Anchor 自体 iOS版だと日本語の読み込みに対応してないのか日本語で入力して検索結果が出ないので Android で試したのですがこれなんですよね。何故。カグアさんは Anchor から配信していたはずなんですか。そして二度目のまさかで REC. がめちゃくちゃ優秀という事実。himalaya は流石という感じです。 Radiotalk と standfm では検索に期待してはいけないようです。ちなみに standfm はユーザー名で検索しかできません。Radiotalk はタグ機能があるのにタグ検索できません。ご飯マークは、全滅でした。

大事なのは「何がしたいのか」

ここまで書いてきましたが、一番大事なのは「何を配信する(したい)のか」「何を目的とするのか」ということです。

配信者にしてみれば、例えば「ビジネス的な話をしたくて、それで食べていきたい!」と思うならそういった話を Radiotalk でしても恐らく刺さりにくいと思います。個人的にはそういった話は standfm や himalaya で盛んに行われているイメージがあります。もちろん需要が無いというわけでは無いのですが、刺さる層が多い方がいいと考えるのは自然で、そういったプラットフォーム毎の風土も加味した方が良いと思います。今回のデータでは見えにくいものなのでぜひ各音声配信アプリを聞きに行くと良いと思います。

リスナー側も同様に深夜ラジオっぽい配信が聴きたい!と思ったらそういった配信者は Radiotalk に多く集まっている印象があります。また、最近では MBSラジオの番組の公開収録 Live を行っているのでダウンロードしといて損はないかもしれません。

なぜRadiotalkを選んだのか

ところで、何故僕はRadiotalkを選んだのかというと…始める前は、spoon と Radiotalk しか知らんかったからです()。

冗談は置いといて(冗談ではない)配信活動をするにあたって変に力を入れたくなかったというのがあります。spoon は広告にあるようなカワボ、イケボが全面に出てますし、どちらかというとLive配信アプリになります。Radiotalk は配信するハードルが低いように感じたのでやっています。「面白い人がいるよ」的な文言があって尻込みしたのも事実ですが、お陰様で楽しく配信させてもらってます。

ただ、一個のアプリにこだわってやる必要も特に無いような気がするのが現状です。今回のアドベントカレンダーの主催者であるなるみさんの「ドングリFM」や検索機能の検証としてお名前をお借りしたカグアさんの「カグア飯」なんかは良い例で、こだわらず広くやっていけるのも音声配信の強みだと思います。動画とは違って RSS で容易に連携できますし。

Radiotalk で配信している僕は恐らく等身大の自分なんだと思っています。無駄に特定されるのを怖がっている僕ですが、それでものびのびとある程度自由にやれています。変に虚勢を張り過ぎずにやれているのは Radiotalk だからなのかなと思います。

確かにアプリ内で出来ないことも多いですが、出来ないことがあっても自分なりに解決するのも楽しんでいたりします。それらに関しては別の記事を読んでくれればありがたいです。

長文駄文にも関わらず、ここまでお付き合いしていただきありがとうございました。皆様のよりよい配信活動をお祈りいたします。

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