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zealous0475
2022年6月22日 15:44
その日の第五層には、霧雨が降っていた。 排気ガスで汚れた空気中にじっとりとした細かな水滴が漂って、その臭いを天井のついた第五層の空間に閉じ込めてしまう。風もないので不快な湿度が立ち込めていた。 空は濃い灰色だ。その正体がガスか煙か、はたまた人口の雲かの区別など誰にもつかない。第五層の人間にとって、そんな区別などどうでもいい。空の向こうに超大量の塩水の塊があることも、たぶん気にしている者はいな