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セキュリティ芸人とは何者なのか

はいどうも!セキュリティ芸人のアスースン・オンラインです!

先日、ありがたいことに IT media というビッグなメディアにセキュリティ芸人が取り上げられていました!

「お前、ネットニュースになってたぞ」ってやつです。

ここで、当たり前のように「セキュリティ芸人」という言葉が使われていますが、そもそも「セキュリティ芸人ってなんだよw」というのが正常な反応だと思います。

このセキュリティ芸人とは、一体何者なんでしょうか。

セキュリティ芸人のパイオニアであり第一人者であろうアスースン・オンライン本人が解説していきます。

セキュリティ芸人のはじまり

セキュリティ芸人が誕生したのは2019年まで遡ります。

大学院生の当時、SecHack365というセキュリティ人材育成プログラムに応募したことがきっかけでした。
セキュリティに関する開発やモノづくりを1年掛けて磨いていくプロジェクトで、研究だったり、セキュアなプログラミング言語やOSを自作したりと、さまざまなコースがあります。

自分は、セキュリティに興味がある一方で、テレビやお笑いが好きだったので、セキュリティ啓発コンテンツを制作するコースに決めました。

その応募のときに提案したものの1つが「セキュリティ芸人」でした。

応募の書類を見返してみると、自分でも驚くほどに鮮明なビジョンが綴られていたので、当時考えていた内容を書き残しておこうと思います。

「もしSecHack365に採択されたらこうしたいです!」という構想なので、実際にやっていないことも書かれています。ご容赦ください。

↓↓↓ 以下、2019年当時の考え ↓↓↓


セキュリティ芸人のコンセプト

IT界のさかなクン

キングコングの西野亮廣は実業家になり、劇団ひとりは小説家として本を出版するなど、お笑い芸人の活躍の場はお笑い番組にとどまりません。さかなクンや手相芸人の島田秀平など、専門分野の知識を活かしたテレビ出演も多く見受けられます。しかし、セキュリティの知識・啓発を兼ね備えた芸人は未だかつて存在していません。

結局のセキュリティーホールは人にあると考えています。いくらセキュリティが技術的に安全であっても、それを扱う人の教育が徹底されていないと元も子もありません。例えば、パスワードの管理ミスや誤操作によるコンピュータウイルス感染などが挙げられます。情報漏えいのうち8割が人的脅威によるものです。今後、IoTの普及が加速してシステムは複雑化していき、それを扱う人のリテラシはますます重要視されます。

セキュリティ芸人の社会的背景

そこでセキュリティ芸人の出番です。

セキュリティに関するネタで笑いをとるという、セキュリティ啓発の新たな形になるイメージです。

ネタとして、①セキュリティに疎い一般人向けのものと、②セキュリティにある程度は精通している人にウケそうなものの2種類を用意してみました。

参考:提案したネタの1ページ
(この時点でパスワード付箋のネタの原型がありました)

最終目標は、IT界のさかなクンのような存在になることです。
テレビ番組でネタを披露することや、IT関連の解説者として呼ばれることで一般人のセキュリティ意識が向上することです。そうはいかなくても情報処理関連のイベントのオープニングや講演で呼ばれるような存在になりたいです。

セキュリティ芸人の養成

◆ネタの作り方
面白いネタと啓発的なネタの両方を兼ね備えたものというのは難しいと思います。そのため、面白いネタで見る人の興味を惹きつつ、合間に肝心な啓発ネタを入れるという構成を考えています。

ネタを作るために一番欲しい情報は、一般人がよくやってしまいがちな誤った知識や行動です。自分にはこの情報が不足しています。SecHack365では、セキュリティコンサルタントとして働いている方々にインタビューをしてネタに積極的に取り入れていきたいです。

また、SecHack365合宿の度にネタを披露して、見ている人の反応を元に面白いネタになるように磨いていこうと考えています。

1年間の開発期間では、セキュリティ関連の書籍を読むだけでなく、Webアプリケーションを開発したり、CPUの自作を通してコンピュータの仕組みを理解するなど、実際に手を動かしてセキュリティの知識を身につけ、それをネタ作りに活かしていきたいです。

◆自分が芸人になる
自分が芸人になる場合と、実際の芸人にネタを提供する2つの方針を考えました。

自分が芸人になることを考えて、NSCから資料を請求して問い合わせをしました。NSCとは内閣サイバーセキュリティセンターの打ち間違いではなく、よしもとのお笑い養成所のことです。創造力が豊かな授業を通じてより分かりやすく面白く伝えるにはどうしたら良いかについて教わることができるようでして、非常に魅力的です。
しかし、大学院との両立は難しいので、通うとしたら大学院卒業後となります。

私自身は声が低いため、声が通りにくいという短所があります。見た目にそこまでインパクトも無いですし(髪型やメガネ、衣装をコーディネートしてそれっぽくなったら良いですが)、もしかしたら芸人には向いていないと言われる可能性もあります。
その場合は実際の芸人にネタを提供してやってもらうということも考えています。しかし、芸能人とのコネが全く無いので、いきなりお願いしても話を聞いてもらえないと思います。

そのため、ネタの重要性や面白さをわかってもらうために、とりあえずは自分でネタを披露していきたいです。

◆デビュー方法
お笑い養成所に行かないとなると、私には芸能関係のコネがありません。
LTなど登壇できる場所でとことんネタを披露することでセキュリティ界隈ではある程度知れ渡るかと思います。
TwitterやYouTubeなどのSNSで拡散されるような面白いネタ動画を投稿して、認知度を高めていきたいです。


以上です。
つまり、自分でプロデュースして自分で演者になっているということですね。

その後、SecHack365は無事採択されて、ネタに磨きをかけたのちに、最終成果発表で総務省のお偉い方々の前でネタを披露したりしました。

LTなど登壇できる場所でとことんネタを披露することでセキュリティ界隈ではある程度知れ渡るかと思います。

"◆デビュー方法"より引用

ちゃんと有言実行してる!?!?

セキュリティ芸人のネタ

その後、趣味のお笑い好きが高じて、R-1グランプリに出場します。
一般の方向けのセキュリティネタを披露したところ、1回戦を通過してしまいました!

これを見たセキュリティ・キャンプの関係者にお声がけをいただき、セキュリティ・キャンプフォーラム2023で、セキュリティに精通した方向けの本気ネタを披露しました。

ありがたいことに、このネタの動画がYouTubeで90万回も再生されています。(2023年8月現在)
想像以上の反響で驚いております。わかる人だけわかる置いてきぼりなネタでいいってことですか……?

セキュリティ芸人としてのスタイルはいまだに模索中です。
セキュリティ・キャンプ全国大会2023のLTでは、コント要素も取り入れてみました。

ご覧の通り、普通のエンジニアが技術系イベントのLTでネタを披露しているだけでして、アマチュアの芸人です。
デビューなどしていないので芸歴0年目です。

セキュリティ芸人の未来

セキュリティ芸人は、セキュリティやITの面白さをより多くの人に届けることを目的としています。

セキュリティ芸人の未来像はIT界のさかなクン

そのために、まずは面白いエンジニアになることを目指していて、お笑いの賞レースなどにも挑戦しています。

すでにYouTubeでは、いろいろな表現でネタを発信していますが、ネタ数と場数さらに増やしていって面白さに磨きをかけていきたいです。

これまでの活動を踏まえて、大きく2つの可能性が見出されました。

一般の方々のセキュリティ意識の向上

当初のコンセプトにもあるように、セキュリティ啓発の新たな形になることを目指していました。

セキュリティ・キャンプフォーラムで披露した「脆弱-1グランプリ」というネタの「優勝は人的脅威!?人が一番脆弱だったわ」というネタに対して、「教育的なオチ」「会社のセキュリティ研修これでいい」というコメントをいただいたことから、セキュリティに意識を向けるきっかけになってくれてはいるようです。

セキュリティ研修に代替されるほどのものではないですが、退屈かもしれないセキュリティ研修も「脆弱じゃんw」と思いながら興味を持って受けてもらえると嬉しいです。

「このネタがわかるようになるために勉強したい」というコメントは、とても嬉しく思っています。
一方で、そう思ってくれている人が実際に内容を理解できるようになるためのハードルは高いと思うので、別途、解説記事などを展開しようと構想中です!

1つのネタに対して、原作となる技術や脆弱性があって、その原作(=解説)を読めばさらにそのネタを楽しめるという。
セキュリティ界のYOASOBIみたいなイメージですね!

高度IT人材の発掘と支援

これは意外な発見でした。

セキュリティ・キャンプ全国大会2023にお邪魔したときに、
「セキュリティ芸人の動画を見て、セキュリティ・キャンプの存在を知り、全国大会に来た」という人が2人もいました!
これは大変喜ばしいことです!

驚くべきことに、自分の動画を楽しんでくれている中高生がわりといるみたいです。(自分のYouTubeチャンネルのDiscordにちらほらいました……)

こうしたスーパーキッズを「セキュリティ・キャンプ」「SecHack365」「未踏」などの高度IT人材育成プログラムに贈り出すのが自分の役目なのだと思いました。

スーパーキッズの発掘とその支援

興味がありそうな人たちには、Discordでこうしたイベントへの参加の支援をしていこうと思います。

おわりに

セキュリティ芸人とかいうおふざけをしていますが、セキュリティ意識の向上IT人材発掘という社会貢献の一端を担っているようです。

今後も引き続きセキュリティ芸人としてコンテンツの制作を進めてまいりますので、応援よろしくお願いいたします!

2017年 セキュリティ・キャンプ全国大会 修了
2019年 SecHack365 優秀修了

セキュリティ芸人
アスースン・オンライン

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